フワちゃんとやす子さんのSNS上のトラブルがフワちゃんの活動休止で幕引きになった後、女性アナウンサーの方が、SNS上で?男性の体臭が苦手という発言をして、それで事務所を契約解除になったというニュースがありました。
こんなんばっかりやな、というのが、僕の率直な感想でした。
第一段階は、家父長制の時代で、女子供に決定権はないし、口答えも許されませんでした(意見や感想を述べることが許されない)。次に、組み伏せられていた人たちが、解放されて、自由に発言できる段階がやってきます。若者は思ったことを言ったりやったりします。女性も思ったことを言うようになって、自分の衣類をお父さんの下着と一緒に洗ってほしくないと言い始めます。
聞くところによると、お父さんと娘の関係は、最初はお父さん大好き、結婚したい、というものだったのが、そのうち、お父さんと一緒は恥ずかしいとなって、洗濯物をを分けて洗って欲しいと言うようになるとか。
そういうものだと思っていたので、家庭内ではともかく、それを外部に発信すると、批判される時代になっているんだな、という感想を持ちました。
汚いとか臭いとか言われたら、女性だけでなく、男性だって傷つくという、ある意味、当たり前の理解が、常識化してきたのかもしれず、それ自体は、あらゆるいじめが不正と認識されるようになったことを示しているのかもしれないので、進歩なのかもしれません。
でも何か変だなと思うのは、不寛容だからでしょう。謝っても許してもらえない感じ、集団リンチのような感じ、これ自体がいじめみたいです。
弱い者いじめはいけないという認識を持っている人は、権力を持っている人、特別な権限を持っている人には厳しくしても、一般人や一般人と変わらない何の後ろ盾もない人には温情をかけると思います。
しかし全員がそうじゃなくて、多面的に考えられず、ひとつの見方しか持てない人は、悪いことをした人の悪のみを批判するのではなくて、人間ごと断罪して、徹底的に処罰しようとするようです。
今回の体臭が苦手発言は、男性の体臭が苦手と言っているものの、発言した人自身、自分の体臭のことも気にしていて、匂いがしないようにいろいろ気を付けているということでした。自分と同じようにしてくれたら、誰のことも嫌いにならなくて済むということを言っているわけです。
多分、老人施設やスラム街で仕事をしている人だったら、そんなことは言っていられないし、そんな感受性は持っていたとしてもすぐになくなってしまうと思いますが、そんな場所には縁がなかったんでしょう。
自分の生きてきた経緯においては、かなり人に優しい発言をしたつもりだったかもしれません。臭い人は嫌いとか、人として許されないと言っているわけではなくて、マナーとして匂いを抑える対策をしてほしいと言っているだけなので。
他にもっと、男性に対して圧迫するような発言をする女性は多くいるような気もするので(男なんてこの世界で歓迎されていないんじゃないかと悲しい気持ちにさせるような)、それと比べると、スルーしてもいい発言じゃないかとも思えてきます。
なのに契約解除や発言の全面撤回と謝罪という結果に終わったのは、芸能事務所の社会的責任の感覚や、スポンサーの自分たちのブランド・イメージの保護の感覚が、厳しくなっているせいじゃないかと思えてきます。
好意的に見れば、商売で儲かればいいので、少々不道徳があっても見逃しにしてきた、これまでのあり方を見直して、泣き寝入りする人がないように、業界を刷新していく、という流れになっているように見えます。
しかし実際は、最近は人権主義者や世間一般の目が厳しくなってきて、人権に配慮しないと、自分たちの商売が危ういと考える人がいて、その人たちが、君子危うきに近寄らず精神で、問題発言、問題行動をした人をすぐに切り捨てようとしている、ということかもしれません。
企業のスポンサーが付いていて、何かあったら、いつでも資金を引き上げられるリスクを負っている、という人の場合、発言に気を付けなければならないし、失言をすると即座に謝罪する必要があります。でもそれって、人間が道徳的になったということなんでしょうか。脅されて、道徳的振る舞いを強要されている人がいて、そのこと自体、発言の自由が保障されない奴隷状態じゃないかとも思えてきます。
ひと昔前の、有力芸能事務所が後ろで手を回して、マスコミ報道を抑え込み、不祥事をもみ消すようなことは、被害者が泣き寝入りに追い込まれて、非常に不道徳と認識されているでしょう。しかしスポンサーの利己主義が、芸能人の運命を左右する事態が、芸能事務所によって阻止されていた、と見ることもできます。事務所がかばうことで、芸能人の表現の自由が確保されていたとも思えるわけです。
結局、パワーバランスが重要で、強い人がアンタッチャブルなほど強すぎ、弱い人が誰からもかばってもらえず弱すぎるような事態が良くないのであり、勢力均衡が成り立つように、強すぎる存在は叩き、弱すぎる存在はかばうような、調整を入れる必要があるということかもしれません。
長年、虐げられてきた女性は、少々やんちゃなことを言っても許されるという状況は、そろそろ終わって、女性にめちゃくちゃ言われて苦しんでいる人がいたら、その人たちをかばう時代になってきたのかもしれません。
そんな中でまだ、スポンサー企業は強いなという印象です。ボイコット運動によって、圧力をかけることは可能ですが、日本ではまだ企業に対する抵抗運動はそんなに強くないのではないでしょうか。
SNSで、匿名で批判的なことを書く人や、ビュー数稼ぎの目的で過激な投稿をする人も、強い立場にあるようです。これに関しては、被害を受けた人が、個別に裁判を起こすことが、逆襲の効果を持つかもしれませんが、数が多すぎるのと、ビュー数稼ぎの人の場合は、裁判で懲罰金を支払っても、儲けの方が多く出るということがあるみたいです。