東京都知事候補の安野貴博さんの出馬会見の動画があったので見てみました。

 

テクノロジー一本槍という感じでしたが、そんなに悪い印象はなかったです。テクノロジーを弱い人のために使うという発想が見られたからかもしれません。

 

石丸さんの場合は、反対勢力を叩き潰すという雰囲気があって、物騒な感じがします。政治闘争の場を離れて、穏やかに話せる場では、違う印象になるようですが。

 

図式的に考えると、テクノロジー分野は、アーリマン存在が中心的に活動している場なので、アーリマン的な極に向かって極端化する危険性を持っているのだと思います。

 

そういう時に、世界観や人生観の中に仏教的教えやキリスト教的教えを受け入れている人だと、極端に向かう傾向に対して抵抗して、均衡をはかることができるのではないかと思います。

 

それで関心事は、この人は仏教的要素、キリスト教的要素に通じているのかということになります。

 

この観点から見ると、安野さんも石丸さんも、あまりそういう要素は感じないということになるんじゃないでしょうか。

 

安野さんは、民主主義のシステムについて、基本の構造が提案されてから長く経つのに、あまりアップデートがされていないことを問題視して、テクノロジーを利用しながら、システムのアップデートを考えるという話もされていました。

 

こおではおそらく、民主主義を歴史的文脈から抜き出して、システムとして見て、それをもっと合理化できないか、発展させられないかと考える姿勢なんだと思います。

 

しかし歴史的文脈、霊的文脈というものがあって、それは一部の人だけでなく、多くの人が、自由や社会参加の権利を手にすべき時代が来たという認識になると思います。

 

それは多くの人にとって自分自身を進歩させることのできる時期が来たという意味にとらえてもいいと思います。

 

システムとして考えると、ニコニコ動画のコメントみたいに、一般の人たちの感情的反応がすぐさま、全体に投げかけられるというような像として結実するかもしれません。

 

既に指摘されているように、高められる前の精神が発する言葉や感情は、公共空間の議論の質を低下させる、ということがあるでしょう。

 

それで、近代の民主主義の到来によって、本質的には何が求められているのかの理解を外していると、理想を掲げて始めたつもりが、理想的とは言えない状況を招いてしまうのではないかと思います。

 

鳩山友紀夫さんが、出身大学が同じという縁もあって、安野さんを応援しているそうですが、鳩山さんと同じ時期の政治家は、簡単に人を信じすぎるという感じがします。

 

それはもちろん良い面もあって、誰にでもチャンスを与える、誰でも受け入れるという面があるわけですが、その人を選り好みしない傾向によって、野田首相が誕生することにもつながるのだろうと思います。

 

平野貞夫さんは、野田さんが地元で利権政治家のようなことをしていると聞いていて、細川さんが野田さんを首相に推している時に(細川さんは日本新党の出身者が首相になることを単純に名誉と考えていたようです)、反対したという話をされていました。安倍さんや麻生さんが政治家になるという時に、それに反対した人もいたそうです。この人を政治家にしたら大変なことになる、と気づく人はいるのですが、他の人が理解しないために、結局、後で困ったことになる、ということを繰り返しているようです。

 

小沢一郎さんも、同じような傾向があって、政権交代を実現するために動いてくれるのなら、小池百合子さんでも橋下徹さんでも歓迎するという姿勢でした。根本には、人様のことをとやかく言うことは僭越だという、基本的な道徳感情があるようなのですが。

 

一方、山本太郎さんは、人間愛の要素を持っているので、その点で、安心できます。一般的な人間愛では、虐殺はよくないやめろ、という発想になりますが、山本さんの場合は、自分が実際に会った、死に近づいている人のことを思い浮かべながら、死んでほしくない、生きていて欲しいと願うことができています。

 

個々の人間は、具体例であり、現実なので、抽象的になりにくいです。抽象思考は、どこにでも持って行くことができ、どこにでも当てはめられますが、その特徴によって、場違いな判断に導くことがあります。具体例が思い浮かんでいると、それは現実なので、現実から離れずに済みます。

 

弱者とだけ会っていると、偏りが生まれるかもしれませんが、山本さんは、中小企業経営者とも会っているので、経済界への支援も必要だという認識を得ています。消費者や年金生活者だけでなく、生産者の立場にも目配りできているわけです。

 

山本さんの反対の立場に立っているのが、例えば、財政再建派の人たちで、この人たちは、個々の人間の像をほとんど持っていなくて、国家財政を健全化することだけに興味を持っているという感じじゃないでしょうか。