安藤裕さんの勉強会に原口一博さんが講師で呼ばれたことがあって、そこにれいわ新選組の支持者の方が参加して、質問を投げかけたということがあったようです。その方は多分、れいわの支持者でありつつ、野党共闘や政権交代に期待を持っている方で、積極財政派の人が集まって一大勢力を作り、選挙を通じて規模を大きくしつつ、新しい政権の誕生につなげていけないか、ということを期待されているんだと思います。

 

それで安藤さん、原口さん、れいわの山本さんなどに、質問という形でコンタクトをとって、新しい政権のために動いてくれないかとお願いして回っているのではないかと、僕は受け止めました。

 

そういう動きをする人は以前からいて、選挙区ごとに候補者を一本化することができれば、政権交代が実現すると考え、強引なまでに一本化をお願いして回る人がいました。そういうアプローチは、強引なだけに、反発されることもありました。

 

今回の方は、強引さはなくて、お願いでもなくて、協力の可能性はありますかと聞いただけでした。しかし結果としては、逆効果で、山本さんも反発気味だったし、原口さんも反発気味でした。質問した人の、政権交代を望む気持ちは、山本さんにも原口さんにも、あまり汲んでもらえてなかった感じでした。

 

忙しい人たちは、ひとつの案件にあまり多くの時間を割くことはできないので、真意を汲み取ることなく判断してしまうことが多くなるのかもしれません。そういうこともあって、簡単に誤解が生じるように思います。
 
それで、なるだけ真意を伝えるように努力すべきですが、頑張っても伝わらないことも多々あることを知っておいた方がいいのかもしれません。
 
人のことを悪く言わず、褒めるようにするという処世術も、そんな中で生まれてくるのかもしれません。心にもないおべっかを言うことは、かえって失礼だと言うこともできますが、褒め気味にしておかないと、簡単に誤解が生じるとも言えます。
 
原口さんは、山本さんが立憲に対して拒絶的な態度をとっていることを感じ取っていて、自分も立憲の一人と見られていて、原口個人としては見てくれていないと感じているようでした。そして党として立憲がれいわに対してした失礼な対応のことは承知しているので、それで感情的にわだかまりができてしまったのだろうと考えているようでした。それで大体合っていると僕も思いますが、それでは言い尽くせていない部分が少し残っているかもしれません。
 
山本さんは、少なくとも以前は、新しい政権ができる場合、理想の政権ではなくても、消費税の減税が実現できるのであれば乗っても良いと考えていました。しかし立憲では、消費税の減税を一時期言ったけれども、また撤回したりするという一進一退の動きなので、もう期待できないとさじを投げたかもしれません。以前とは認識が違っている可能性があります。
 
それでも、理想的とは言えないまでも、部分的にでも国民のためになる政治ができる新政権ができる流れができたらそこに合流する可能性はゼロではないと思います。国民にとって良い状況が生まれる見込みがあるときに、山本さんは自分の個人的な不信感に引きずられるような人ではないと考えられるからです。
 
問題は、原口さんも理解しているように、立憲の中に、ザイム真理教とか戦争屋のエージェントみたいな人が含まれていて、国民のための政治をやろうとする勢力が頑張ると、彼らが逆方向に引き戻すために頑張ることです。山本さんは、立憲が国民のための政治に徹しきれない姿を見ていて、立憲に期待を持ってずっと待つということを選択できず、自分たちだけで状況を変えるべく動くことを優先すべきだと判断しているのだと思います。
 
原口さんの方では、立憲の中で、一緒にはやれない人は少数で、多くの人は少々問題があっても、一緒にやれるし、やっていくべき人だと見ているようです。原口さんは、中にいて、多くの人と長く付き合って、よく知っているので、山本さんのように外から見て組織の異様な動きを見る立場の人とは違うイメージを持っているということかもしれません。
 
今回、質問した人は、原口さんや安藤さんに質問をした後で、山本さんの集会に言って、そこで原口さんや安藤さんの回答を伝えつつ、山本さんの見解を聞いています。配信者の世界でこういうことをすると、喧嘩のもとになるそうですが、それと同じことが起きたんでしょうか。
 
記者の「当てる」という作業と同じようにも思うのですが、批判を引き出す時には良くても、友好的態度を引き出すにはあまり良くないのかもしれません。
 
友好関係を築くのであれば、やはり直接話し合ってもらう方がいいのかもしれません。
 
山本さんが言っていたことは、いつもと同じですが、状況を変えるには、まず国民が変わるべきという考えでした。国民といっても、サイレント・マジョリティーではなく、市民意識に目覚めた少数の人たちが先に変わるということです。そして彼らが選挙運動に参加して、統一教会や創価学会と張り合えるほどの運動力を持ち、自分たちが支持する候補者を当選させられるようになるべき、という考えのようです。
 
山本さんは、既存の政治家一般に対しては不信感を持っているみたいで、お願いすれば言うことを聞いてくれるとは思っていないようです。彼らは票やお金にならないことには見向きもしないというのが、山本さんの一般的な政治家のイメージで、それを変えるには、自分たちが彼らが欲しいものを提供できるようになる、あるいは彼らと取引できる条件をこちらが手にする、ということなんだと思います。
 
お願いしても何も動かないので、力を手にし、力で動かすということかもしれません。
 
山本さんも、旧・自由党で一緒だった議員の方々とは深い信頼関係があるんだと思いますが、人間性だけで見ると他にも信頼できる人がいるかもしれません。しかしいくらいい人でも、戦争屋やザイム真理教のエージェントを平気でやる人を、認めるわけにはいかないということだと思います。政治家をやめたら、もっと多くの人と仲良くできるかもしれないが、今はそういう時期じゃないし、ここはそういう場じゃないということだと思います。
 
こうやって見てくると、原口さんはインサイダーで、山本さんはアウトサイダーという感じがしますね。実際にこれまでどこに立って見てきたかで、立場が分かれているので、見え方も違うということなのかもしれません。
 
ジャーナリストの佐藤章さんは、内部に食い込む政治記者をされていますが、見方としては山本さんに近い見方をしているようでした。立憲は何をやっているんでしょうね、と、立憲の態度は理解に苦しむという見方でした。
 
原口さんは、一連の展開を、支持者の方から教えられて知ったそうです。山本さんの発言に、原口さんや原口さんの支持者にとって、きつい表現があったので、侮辱されたと受け止められ、報告があったものと思われます。
 
山本さんの方では、怒りがあったとすれば、政権交代の旗振りをしてくれない、野党をまとめてくれない野党第一党に対する怒りや、悪政を止められない政治家一般への怒りで、原口さんに対して悪感情はないと思います。
 
でも、今の時点で、野党共闘をやれと言ってくるジャーナリストや市民に、とばっちりみたいに怒る場合があるかもしれません。全然いいアイデアでないことを、何回も何回も勧められて、いい加減嫌になっているということかもしれません。
 
原口さんについては、同じくとばっちりで、きつい表現になってしまったと思われます。
 
山本さんが言ったのは、(皆さんが望んでも)原口さんはれいわと合流したりしないですよ、ということです。なぜかと言えば、れいわがまだ議員を何人も当選させられるだけの力を持っていないからです。
 
山本さんが言いたかったことは、れいわがまだ力不足ということだったと思いますが、言い方が悪くて、原口さんが来ても当選できないから来ない、と言っていました。
 
原口さんの方では、無所属で出た選挙でも勝ってきたし、党と関係なく自分についてきてくれる支持者が多くいてくれるということを言いたいようでした。

 

山本さんは、原口さんが党を離れると落選するということが言いたかったわけじゃなくて、れいわが自民党などと比べて、まだまだ国民に認知されておらず、信頼されてもいないということを言いたかったのだろうと思います。プラットフォームとしてまだ非力なので、人が集まってこないし、人を集めようとしても集まらない、ということが言いたいんじゃないでしょうか。

 
山本さんが議員になって、一人で結集を呼びかけた時には、ほとんど何の動きも起きませんでした。今では沢山の人が集まっていますが、それでもまだ小さく、人を結集するには、ただ呼びかければいいというものではないんでしょう。何らかの地道な努力が必要なのかもしれません。
 
原口さんは、人を信頼し、声をかけ、少しずつ広げるということをやっているようです。山本さんは、呼びかけをして、誰も応えてくれないというところから出発して、少しずつ人を集めていっています。山本さんの場合は、人は呼びかけてもそう簡単には応えてくれないものだという理解でやっているかもしれません。原口さんの方は、大きな党にいて役職があり、チームを組んで仕事をするような場で、グループを組むことを学んでいるのでしょうから、発想が全然違うのかもしれません。
 
山本さんは、永田町の野良犬と自称している時代がありましたが、ちょっとカルチャーが違い、カルチャー・ギャップが起きているのかもしれないなと思います。
 
山本さんは、安藤さんとは一緒にコラボ街宣をしたりしていたと思いますが、原口さんとはタイミングが合わなかったということかもしれません。原口さんにもコラボ街宣か何かの誘いがれいわからあったそうですが、その時原口さんはご病気で応じることができなかったそうです。
 
もしかしたら、原口さんと一緒にやれと勧める人が多かったことで、余計にこじれてしまっている可能性もあるかもしれません。
 
山本さんは以前から、野党第一党との話し合いは、信頼関係じゃなくて、交渉や取引と考えていて、変なまとめ方をされないか非常に警戒しているようでした。
 
亀井静香さんなんかが、そういう策略めいたことをすぐすると聞きますが、実際にそんなことを画策する人がいるんでしょうか。それとも山本さんが警戒しすぎなんでしょうか。
 
山本さんの方では、緊張感を持ちつつ、交渉や取引の相手として見ているのでしょうから、相手をする側も、そのレベルで話す必要があるのかもしれません。