古賀茂明さんがDMMでやっているサロンでは、お試し的に一部だけ無料で見られる動画を出してくれています。

 

さきほど新しい動画を見たんですが、CSISのレポートをどう解釈するかという話でした。CSISのレポートは地上波テレビでも取り上げられていたそうで、台湾有事のシナリオを多角的に検討した内容であるようです。

 

CSISはアメリカのシンクタンクなので、アメリカの利益のためには何をすべきかということを、アドバイス的に述べているわけですが、古賀さんがそれを、日本の利益のためには何を考えるべきかという観点で、再構成してくれていました。

 

白井聡さんは、台湾有事や台湾有事のための準備だけ切り離して考えるより、米中の覇権戦争の全体を視野に入れて考えた方がいい、というような観点を示しているようですが、米中戦争が漠然としているのに対して、台湾有事は具体的に考えることが可能なようで、それはそれで具体的にイメージしておいた方がいい、というふうに思いました。

 

まずこのレポートを書いた人は、台湾有事に率先して参加しようと思う国はほとんどなくて、台湾、アメリカ、日本だけだと見ているようです。台湾の人だって戦争は嫌だと思う人が多くいるだろうし、攻撃された以上、応戦するのはやむを得ないと考えたとしても、戦力が全てなくなるまでどんな犠牲を出しても戦い続けると考える人もそんなに多くないと思われます。しかしレポートでは台湾は途中で降伏せずに最後まで戦い続ける前提で話が進んでいるようです。

 

日本が参戦することも(いわば勝手に)前提にしていますが、その理由は、台湾の併合や独立に干渉する動機はないとしても、在日米軍が攻撃された時点で日本人の居住地域にも被害が出るので、自国が攻撃されたとみなして参戦するだろう、という話になっているようです。

 

だったら米軍基地の使用を許可しなかったらどうか、というと、それだと日米同盟を無効化することになり、同盟破棄の流れができるかもしれない、だから日本はそんなことはしないだろう、ということになっています。

 

僕もそれはそうかなと思います。日本に基地を置いているのに使えないとなると、何のために置いているのか、ということになるからです。

 

ベトナム戦争の時には、北ベトナムに日本を攻撃する手段がなかったために、報復攻撃を受けなかったということかもしれませんが、中国は日本を攻撃する手段を持っているので、最初から日本を敵視して全面攻撃をするなんてことはないとしても、待っていれば自分たちを攻撃してくる米軍基地を先に攻撃して潰すことはやるでしょう。

 

そして米軍基地は南方の島だけでなくて、日本中に点在しているわけです。そしてウクライナの事例を見ても、ミサイル迎撃を行うと、爆発による拠点の損耗は避けられるとしても、巨大な破片がかなりの範囲に飛散するそうで、民間人の物的人的被害がそこそこ出るようです。

 

韓国は、自国が戦場になる北朝鮮との間の戦争では、アメリカに協力してもらいたいと思っているとしても、それ以外の戦争に関与させられることについては、何とかして避けようとしているようです。それでレポートにも韓国は参戦しない前提になっています。

 

古賀さんは、レポートを読んで、軍事オタクが趣味であれこれ検討しているように感じたそうで、この方向性で実施されるものなのかわかりません。ウクライナと違って、台湾が島国でそんなに大きくもなく、ウクライナと同じように長期戦を戦えるのかと考えると、アメリカも日本も参戦せずに、台湾の人たちもそんなに抵抗せずに適当なところで停戦交渉をするのがいいような気がします。頑張っても侵攻を防げないのだったら、犠牲を出しても意味がなくなるからです。戦争は矜持を示す程度にしておいた方がいいんじゃないでしょうか。

 

とはいえ戦略を考える人は、勝てるシナリオを何とかして見出すのが仕事なので、最初から降伏や停戦交渉を勧めることはしません。戦争を有利に運ぶためには、アメリカはすぐに参戦すべき、という結論になるようです。遅れると不利になるというのがその理由ですが、中国が根負けするくらい抵抗を見せられるのか、というと、そんなシナリオを描けるのだろうかと思ってしまいます。とりあえず台湾と日本は戦場になる、ということになります。

 

まあこれはレポートなので、平和主義的な人は、こうならないように頑張ろう、というふうに受け止めてもいいのかもしれません。