朝、梅田の梅田コマシルバーで『夏に抱かれて』を観る。 

 

(珍しくミニ・シアター系の映画ですな。と言っても、この劇場はミニ・シアターではなかったですが。小さい洋ピン専用劇場を仕方がないからミニ・シアターとしてるだけで、いわば仮ミニ・シアターというか、なりすましミニ・シアターって感じでしたな。当時の大阪にはまだミニ・シアターなるものが正式には無かったので、こういう扱いになった訳で、本格的なミニ・シアターのブームが訪れるまでは、まだもう少し時間が掛かりましたな。

それにしても、こんなノー・スターでスタッフも誰も知らない人ばかりのフランス映画を何故観たのかと思ったら、当時のロベール・アンリコ監督の最新作だったんですな…原作はフランソワーズ・サガンで、結構有名な小説らしいですが…。男二人と女一人という、まるであの『冒険者たち』をほうふつとさせるシチュエーションにまず驚き、自転車を漕いでるファースト・シーン及び、ナチスに対する憎しみが漂っているストーリーにはあの『追想』をも思い起させ、とにかくこれは完全なるアンリコの映画になっておりましたな。確か映画評論家の石上三登志氏だったと思うのですが、「この映画は『カサブランカ』をベースにしている」との事だったのですが、“アメリカ映画の『カサブランカ』は、ボギーという男のヒロイズムで彩られていたのに対し、このフランス版もしくはアンリコ版『カサブランカ』は、夏から秋にかけて季節が移りゆくのと同様に、人間の心も生きている証として徐々に移りゆくものであるといういう事を、ナタリー・パイの爽やかな笑顔でもって描き切った、まぎれもない感傷タップリの映画であった”と、当時のワタシの映画ノートには書かれてあるので、多分、そういう素敵な映画だったんでしょうねぇ。

という事なので、そんなに感動したならと、この映画をもう一度観たいと思ったのですが、何とDVDにはなっていない模様で、誠に残念ですな。当時の配給はキネマ旬報社がFCIと共同でやっていたという珍しい映画なんですが、その辺の事情もあって、今は権利関係がどうなっているのか分からないんでしょうかねぇ。そうそう、「キネ旬」でもその事が強調して宣伝されていたので、それでこの映画に興味を持ったという事もありましたですな。

因みにこの映画、レッキとしたドルビー・ステレオの作品なんですが、上映されたこの劇場は、普段洋ピンを上映している所なので、当然ながらドルビー常設館ではなかったので、上映されたプリントはドルビーのエンコードなしのプリントだった模様ですな。東京方面ではどうだったのか尋ねてみたい気もするんですが、多分観た人はもう既に亡くなっているか、或いはほとんど記憶にございません状態でしょうねぇ…)

 

 

 夜、近所のトーワブックスでレンタルしたビデオで『摩天楼<ニューヨーク>はバラ色に』を観る 

 

(前にレンタルで観た作品だったのですが、再び借りたのは、多分に同居人が観たいと言ったからでしょうね。LDで所有していたら良かったんでしょうが、この映画は所有しておらず、しょうがないからもう一度レンタルしたものだったような。まぁ当時は徐々にレンタル料も安くなってきている時期だったし、こういう事が出来るんでしょうけども、まぁ、面白い映画だったから良かったですな。同居人もケラケラ笑って観ておりましたな。そりゃ結構な事で…)