


2本目は『沖縄やくざ戦争』。激しい躍動感と凄まじいヴァイオレンス。これこそがヤクザ・アクション映画の醍醐味。この作品もまた、そのヤクザ・アクションの1本であるが、出来不出来云々よりもまず、とにかくやってくれる。何たって千葉真一の凄まじい形相と演技、これに尽きる。『仁義なき戦い/広島死闘篇』の時の千葉ちゃんも凄かったが、今回はもう狂ってるのやら恐ろしいやら、共演者全てを喰ってしまいそうな気迫である。その死に方がまた強烈。何と最後には逆立ちして死んじゃうんだから。室田日出男がアソコをチョン切られるシーンの、その何とも痛そうな、イヤ~、『バラキ』にもピストルで撃たれるところがあったが、とにもかくにも強烈なのだ。地井武男のイヤラシさもいい。尾藤イサオの執念。そして我らが片桐竜次のチンピラの死に様。ラストでは、松方弘樹がもう全てを殺してくれる。普段は死なない成田三樹夫も血まみれになった。今頃になってヤクザ映画に目覚めたとは悲しきかな。でもこれからも上映してくれれば観るよ。絶対に![ガラガラ]
3本目は『ゴキブリ刑事<デカ>』。やってくれました。哲ちゃん扮するゴキブリ刑事。この前の『やくざの墓場』も刑事だったが、今回はもう完全な正義のヒーロー。云ってみりゃあ、完全な“ダーティハリーの日本版”! 最初の方の敵のセリフを最後に言い返す辺り、まさにそんな感じ。パワーシャベルでプレハブを壊したり、尋問すりゃあ拷問スレスレだし、ハリー顔負けの“ブラッフ”ぶり。そしてトビー門口によるガン・アクションとそのスペシャル・イフェクトの妙技。特に大門正明が殺されるシーン(『俺たちに明日はない』か『ゴッドファーザー』か!?)とラストの一発(何と髪の毛が飛ぶのだ!)が優れている。テレビの「西部警察」とはエラい違いのモミアゲ刑事。哲ちゃんの魅力を如何なく発揮した紛れもないアクションである。何でも同じ監督(アメリカへよく出張に出かけるトム・コタニさんなのだ!)による続編『ザ・ゴキブリ』というのもあるらしく、是非観てみたい。そして出来る事なら、新作の『ゴキブリIN USA』を完成させて欲しい。いや、何もアメリカまで行く事はないが、とにかく哲ちゃんに早くスクリーンにカムバックして欲しいものだ。[ガラガラ]
(この日の天六も懐かしの日本映画3本立てでしたな。今でも懐かしいのは当然ですが、この当時でも懐かしいというか、古い映画を観たという印象が強かったですな。この中では『日本の首領』が一番新しいですが、後の2本は、凄く古い映画という感覚でしたな。
さて、まずその『やくざ戦争/日本の首領』ですが、70年代の東映の実録やくざ映画集大成として作られた作品でしたな。キャスティングからして、東映実録路線のオールスター・キャストといった趣きで、一昔前の任侠映画の大御所・鶴田浩二も出演、さらに普段はこの手の映画には縁がなかった佐分利信が実質的な主役を演じるという事で、そういった面でも話題を呼んだ大作でもありましたな。
とはいうものの、基本的な設定は『ゴッドファーザー』と同じというのが引っかかり、音楽も含めて、そこまで真似なくても…といった印象を受けるのも事実でしたな。まぁ、実録路線のスタートである『仁義なき戦い』が既に、『ゴッドファーザー』や『バラキ』の二番煎じといった感じだったので、これは一種の原典回帰だったのかも知れませんが、そういう意味ではこれで良かったのかも…。ただ、この手の映画は、後に『制覇』なんてのも作られているので、東映はこの路線が好きだったんでしょうけど、これはもしかすると、今まで散々協力して頂いた某組織に対してのささやかな“お礼”でもあったのかも知れませんな。
今でも時々観たくなる映画で、その時は続編も含めて3作セットでいつも観てしまう訳ですが、3本中、やはり一番面白いのはこの1作目ですな。2作目以降は、もうやくざ映画の範疇から逸脱してましたからな。ここでも千葉ちゃんがイケイケで飛ばしてくれてましたが、途中で、組織の方針に疑問を感じ、獄中で自決してしまう辺り、ちょっと寂しかったですな。
その千葉ちゃんがフルスロットル全開なのが、次に観た『沖縄やくざ戦争』。実録やくざ映画も末期になると、大阪や北陸、北九州等、地方を舞台にした、いわゆる“ローカルやくざもの”が多くなりましたが、これもその一編で、今回の舞台は沖縄。現地の沖縄やくざと、沖縄を食い物しようと企む本土やくざとの決戦を描いた映画で、やくざ映画ではあるものの、むしろハード・アクションといった感の方が強い過激な映画になってましたな。
監督は先ほどの『日本の首領』と同じ中島貞夫で、この人、『実録外伝/大阪電撃作戦』もそうでしたが、ハード・アクションものを得意としていて、深作欣二とはまた違ったテイストで活躍ぶりを呈しておりましたっけ。その『大阪電撃作戦』と同じく、ここでは主演の松方弘樹が、大組織に歯向かってしつこく戦いを繰り広げる訳ですが、その松方が霞んでしまう程の印象を残すのが、松方とは兄弟分を演じる千葉ちゃんですな。本土やくざの策略で、結局は敵対してしまう松方と千葉ちゃんですが、その千葉ちゃんの暴れっぷりと来たら、あの『仁義なき戦い/広島死闘篇』も真っ青の強烈さでしたな。もう誰も手が付けられないといった暴れっぷりで、何せ、狂犬のような性格に、さらにカラテが得意と来てるもんだから、まさに無敵といった感じ。これぞ最強のやくざというキャラクターが、ここでも最高に光ってましたな。そういう意味では、この映画は、その千葉ちゃんを楽しむ映画でもありますな。
因みにこの映画の元になってるのは、笠原和夫が映画化を目指して書いた『沖縄進撃作戦』という未映画化のシナリオのようで、クレジットには記されてませんでしたが、笠原氏曰く「オレに無断でパクりやがったな」との事。出来れば実際の『沖縄進撃作戦』も観たかったですな。また、後に『沖縄10年戦争』という同系統の映画も作られましたが、話の構成は、この映画とほぼ同じでしたな。それも松方&千葉コンビが出ていて、これもまた似たようなキャラクターでしたが、千葉ちゃんは、この映画ほどの弾けっぷりではなかったですな。さすがにそこまで似せる事はしなかったようで。
3本目の『ゴキブリ刑事』は、渡哲也がハミだし刑事を演じたポリス・アクション。日本では不得手とされるダーティー・ヒーロー型の刑事アクションを、こうして堂々と作ってしまうところが、独立系の石原プロの強みではありましたが、まぁ言えば、完全なる“日本版ダーティハリー”ですな。当時はテレビでも刑事役がお馴染みだった渡哲也でしたが、スクリーンで観る渡刑事は、もっといかつくてもっとダーティというのが良く、それが新鮮な魅力ではありましたね。これが好評で、続編も作られましたが、どちらも面白く仕上がってましたな。出来ればこの路線でもっと、スクリーンを跋扈する渡哲也が見たかったですが、今はもう無理なんでしょうかねぇ。せめてあと数本、こういった映画を残しておいて欲しかったですな)