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 朝、難波の南街劇場へ『007/ムーンレイカー』を観に行く。ロジャー・ムーアにとっては4本目の、ルイス・ギルバートにとっては3本目の007である。前作『007/私を愛したスパイ』がギルバート監督の007の1本目『007は二度死ぬ』の焼き直しであったにも関わらず、一応好評を得たので、今作にはオリジナルな魅力をと期待したのであるが、まぁ何とも全く持って不出来なのだ。007の不出来といったって、そんなには差は無いのが今までのシリーズだったのだが、今度の不出来さは、シリーズ中最低の出来ではないかと思えるほどの不出来さなのだ。一体、この作品のどこがそんなに不出来なのか。まず、見せ場が少ない事。その見せ場、即ちアクション・シーンが短い事。見せ場と見せ場を結ぶ間のシーンが長くてダレる事。アクションに工夫が無い事。アクションやサスペンスが盛り上がらない事。ギャグのタイミングが悪い事……etc.。これは全く前作の逆なのである。前作だって見せ場の羅列という感じもしないではなかったが、そこが前作ただ一つの魅力だったのに、今作はその魅力さえも消えうせてしまっている。クライマックスの宇宙のシーンももう一つダレていたし、見せ場はオープニングの空中ダイビング・シーンだけという尻すぼみ。ムーア=ボンドにも張り合いが無いし、ギルバートの演出もモタモタして、何だか今まで全部やり尽くして、みんな疲れてしまっているみたい。そういえばジョン・バリーの音楽もどうも調子に乗らなかった。次回作辺りでは、やはり人員整理する必要があるみたいだ。テレンス・ヤング監督、ショーン・コネリー主演、ナンてね![1回目:3/4、2回目:満席]

 帰りに梅田のビクター・ミュージック・ショップで『007/ムーンレイカー』『グローイング・アップ』『地獄の黙示録』のサントラLPを買う。

 夜、水曜ロードショーで『爆走!キャノンボール』を観る。

(この年最初の劇場での観賞作品が007でしたな。当時は、正月といえば007という雰囲気がありましたが、これで9作目『黄金銃を持つ男』、10作目『私を愛したスパイ』に続いての3作連続での正月映画登場でしたな。これ以後、007の正月公開は、15作目の『リビング・デイライツ』まで待たなくてはなりませんでしたな。
上記の感想ではボロクソに貶しておりましたが、これはあくまでも当時の感想でして、今は結構好意的に見ております。オフザケに徹した007としては最後の作品になる事もあり、今はこのノリが懐かしいですな。この後『ユア・アイズ・オンリー』で、ちょっとばかりシリアス路線に回帰しますが、やはりムーア=ボンドといえば、この軽くて明るいノリですな。確かに前作と同じ事をやっていて、しかもボルテージとしては落ちてる感じなので、あまり面白さは感じられないのも事実ですが、このラテン系とでもいえるノリは最高で、最近の妙にかしこまったダニエル・クレイグ版のお口直しにはピッタリの楽しさに満ち溢れていますな。
あと、これも当時あまり良い印象が無かったジョン・バリーの音楽ですが…貶してる割に観終わった後サントラを、それもLPを買ってますが…、今だととても心地良く聴こえ、特にシャーリー・バッシーが唄う主題歌は、ワタシ的にはシリーズ中のベストだと思うぐらい素晴らしいですな。エンディングのディスコ・バージョンも良かったですしね。この主題歌を聴くと、冬というか、正月気分を思い出してしまうぐらい印象的なんですな。作品に対する印象といい、音楽に対する印象といい、時が経てば変わってしまうものなんですね。
その『ムーンレイカー』と一緒に買ったサントラは、前年に劇場で観てお気に入りだった『グローイング・アップ』と、まだ公開されていない話題作の『地獄の黙示録』。『グローイング・アップ』の方は、『アメリカン・グラフィティ』同様の懐かしのオールディースを集めたコンピ盤で、なるべく『アメグラ』とカブらないように工夫されているのが分かって面白いですな。また、『地獄の黙示録』の方は、音楽スコアのサントラというよりも、ドラマ編に近い感じで、セリフと効果音が目白押しのド迫力アルバムになっていて、そこに例のドアーズの歌が入り込んでいるという形の、爆音テンコモリの2枚組でしたっけ。音だけ聴いていると、どんなに凄い映画なのか、想像するのが楽しかったですな。
テレビで観た『爆走!キャノンボール』は、この2年前の正月映画として公開された作品で、その丁度1年前に、やはり正月映画として公開された『激走!5000キロ』と同系統の大陸横断レースもの。辿るコースがロスからニューヨークと、逆バージョンになっていたのが対抗意識丸出しでしたが、監督ポール・バーテル、主演デビッド・キャラダインといえば、『デス・レース2000年』のコンビで、そういう意味ではこれはその現代版という感じでもありましたな。その関連で、シルヴェスター・スタローンがチョコっとと顔を見せていましたっけ。ただ、同じ題材ながらも、『激走!5000キロ』と比べてコメディ性が薄かったのが残念で、クライマックスのクラッシュ・シーン等、シリアスな雰囲気だったのは意外でしたね。
この手の映画はその後、『キャノンボール』に引き継がれましたが、思えばアレも正月映画でしたな。やはり正月は、こういったオールスターでゲラゲラ笑えるレース映画が、お祭り気分にピッタリという訳なんでしょうな)