皿男「タスポ貸してくれ」
財布から取り出したタスポを渡してやる。まあいつものことだ。
ここまでは。
おもむろに手を伸ばしたボタンは、皿男のトレードマーク、マルボロではなかった。
に「ちょ…」
それは俺が吸っている銘柄、winston。
ちょっと吸いたかったんだと、ニヤニヤしてみせる皿男。
苦笑しつつタスポを受け取り、自分の分を買おうとした俺の目に飛び込んできたのは
─売り切れ─
悪夢\(^O^)/しかも皿男俺に譲らねーし!
久しぶりにひとりで酒を煽ってみる。
なんかもういやだ。
なんでみんなそんなふうに辛かったり苦しんだりしながら生きてかなきゃならないんだ。笑ってるあの人も、嘆いてるあの人も、何も言わないあの人だって、結局みんな悲しんでるじゃないか。何かが歪んでいて、出口がない。僕だってもう何年も同じところにいる。
救いたい人がいて、救えなくて、救いを求める人がいて、見落として、やってみればいつも裏目に出て、
なんか何が言いたいのかわかんね。理屈っぽいんですって。僕。でもしゃーないしょ。そうやってしか世界が見えない。感じられれば、たぶんもっとうまくやれる。人の気持ちが分からない人間だと言われたのも、たぶんそのせい。でもけしてクレバーじゃない。ロジカルでもない。詭弁と大言と皮肉とひとりよがり。
あー
みんなが幸せになればいいのにな。
なんかもういやだ。
なんでみんなそんなふうに辛かったり苦しんだりしながら生きてかなきゃならないんだ。笑ってるあの人も、嘆いてるあの人も、何も言わないあの人だって、結局みんな悲しんでるじゃないか。何かが歪んでいて、出口がない。僕だってもう何年も同じところにいる。
救いたい人がいて、救えなくて、救いを求める人がいて、見落として、やってみればいつも裏目に出て、
なんか何が言いたいのかわかんね。理屈っぽいんですって。僕。でもしゃーないしょ。そうやってしか世界が見えない。感じられれば、たぶんもっとうまくやれる。人の気持ちが分からない人間だと言われたのも、たぶんそのせい。でもけしてクレバーじゃない。ロジカルでもない。詭弁と大言と皮肉とひとりよがり。
あー
みんなが幸せになればいいのにな。
全ての思いを言
無理でし
それでも僕ら
逃げられな
全てが行
そんな時代
音楽は既
僕達は何を歌
言葉にす
何時からか
思う
僕は
言葉だけでは遠く
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『夜のコール』
朝。
行き過ぎる雲は上空の風の速さを思わせる。東海道線の車窓を流れて行く街並みは、多分誰もが見飽きてしまって、そこに在るのに無い。目を凝らせばそこには、自転車を飛ばし病の恋人のもとへ駆けつけんとする青年の姿や、疲れきった顔で今まさに命を絶たんとする女学生の姿、代わって愛と祝福に迎えられ産声をあげた赤子。それが誰かによって語られれば涙無しには聞けないような、ありふれたドラマが在るのだ。そしてそれのどれもが、生きた人間の物語であるのだ。
しかしそれは、電車に乗る僕たちからすれば一瞬で通り過ぎる景色でしかなく、彼らの思いを想像することも叶わない。
座席にもたれるサラリーマンも、正面に立つ僕の姿など見もしない。俯いて、固く目を閉じ、イヤホンで耳を塞ぎ、この奇妙な密室で必死に自らの場所を守っている。ほんの一時。ほんの一時のことだと、隣座した学生の通話の煩わしさも、
身重の女性の苦痛に歪んだ顔も、何も見ない。聞かない。それは間違ったことではない。知らなければそれで済むことは、世の中にごまんとあるのだ。しかし問題は、彼が“知らんぷり”していることにある。それ故に彼は罪悪感に押し潰されそうになり、より頑なにこの場所を守ろうとする。それがほんの一時の居場所であるにもかかわらず。ほら、彼は既に席を立ち、そそくさと降車する人の流れに乗る。入れ替わりに先ほどの女性が席に着き、安堵の溜め息とともに化粧道具を取り出す。化粧品売り場のような匂いがあたりを満たす。
再び車窓に目を向けると、線路脇の路地で人が倒れている。事故か、と思う間もなく、その景色は通り過ぎる。いやはや、世界はドラマチックだ。あちこちで事件がおきる。しかし誰もそれに目を向けようとはせず、液晶画面の中でそれを知るのだ。それが世界のルール。しかしなんだろう、この罪悪感は。
行き過ぎる雲は上空の風の速さを思わせる。東海道線の車窓を流れて行く街並みは、多分誰もが見飽きてしまって、そこに在るのに無い。目を凝らせばそこには、自転車を飛ばし病の恋人のもとへ駆けつけんとする青年の姿や、疲れきった顔で今まさに命を絶たんとする女学生の姿、代わって愛と祝福に迎えられ産声をあげた赤子。それが誰かによって語られれば涙無しには聞けないような、ありふれたドラマが在るのだ。そしてそれのどれもが、生きた人間の物語であるのだ。
しかしそれは、電車に乗る僕たちからすれば一瞬で通り過ぎる景色でしかなく、彼らの思いを想像することも叶わない。
座席にもたれるサラリーマンも、正面に立つ僕の姿など見もしない。俯いて、固く目を閉じ、イヤホンで耳を塞ぎ、この奇妙な密室で必死に自らの場所を守っている。ほんの一時。ほんの一時のことだと、隣座した学生の通話の煩わしさも、
身重の女性の苦痛に歪んだ顔も、何も見ない。聞かない。それは間違ったことではない。知らなければそれで済むことは、世の中にごまんとあるのだ。しかし問題は、彼が“知らんぷり”していることにある。それ故に彼は罪悪感に押し潰されそうになり、より頑なにこの場所を守ろうとする。それがほんの一時の居場所であるにもかかわらず。ほら、彼は既に席を立ち、そそくさと降車する人の流れに乗る。入れ替わりに先ほどの女性が席に着き、安堵の溜め息とともに化粧道具を取り出す。化粧品売り場のような匂いがあたりを満たす。
再び車窓に目を向けると、線路脇の路地で人が倒れている。事故か、と思う間もなく、その景色は通り過ぎる。いやはや、世界はドラマチックだ。あちこちで事件がおきる。しかし誰もそれに目を向けようとはせず、液晶画面の中でそれを知るのだ。それが世界のルール。しかしなんだろう、この罪悪感は。