鹿目さんのこと | Proof of...

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祈る神を持たない僕は、ただ言葉の力を信じている。全ての言葉に僕の意味を。

かくして私はその男と同棲することとなったのです。
そこには止むに止まれぬ悲しい理由が多々あるのですが、今はよしましょう。なにせお腹が減りました。腹が減っては戦も出来ぬとは良く言いますが、腹が減っては寝てもいられないのが人間です。
 ごそごそと冷蔵庫を漁る。しかし無いのです。私はすぐさま理解しました。賢明なる読者諸方様も察しがつくでありましょう。
私の『亀屋』の豆大福はヤツに食べられてしまったのです。午前二時夜の帷に、うら若き乙女が恥を忍んで空腹に負けを認め、眉も睫も無い恥顔を悲しいかな青白い光でライトアップして、ようやく刹那の至福を得ようとしたにも関わらず!四つも残っていたにも関わらず!
きゅるる……と、私の心は泣いたのです。これは魂の慟哭なのであります。この恥を償わせずには置けません。私のアングロ・サクソン的闘争心がむらむら頭を持ち上げ始めます。こうなれば戦争だ。略奪だ。ヤツを、この家を、私の支配下に置くのです!
しかし、腹が減っては戦はできないのです。まずは腹ごしらえ。幸いにしてカップラーメン(豚骨しょうゆ)がありました。ぎょうこう、ぎょうこう(変換不可)。
 これから栄光ある死地に赴く私にとって、体重計などという俗世の兵器はまったく恐るるに足らなかった事は、言うまでもないでしょう。しかし深夜二時にずるずると啜るカップラーメン(豚骨しょうゆ)の麻薬的な中毒性には十分な警戒が必要であることも蛇足に付け加えておきます。