今は当たり前のように日本語のブログや情報サイトで、Second Lifeの情報を調べる事ができますが
2005年くらいには、まだまだ公式サイトの英語情報しかなかったようで、
その時期からSLを楽しまれてる方は本当に苦労されているようです。


しかしそんな中でも、SLを始めてから始めてスプリクトをマスターし、
Second Life Wiki Japanでも徹底したサポートを続けられ、
今では日本を代表するスプリクト職人として活動されてらっしゃる、
Seagel Nevilleさんにお話をお伺いしました。
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emo8889 Xeno: まずSL始めたきっかけからお願いします。


Seagel Neville: 昔の話になりますが、元々AmigaというPCを使ってCGを作っていたことがありました。
その時、Amigaの情報を得るには海外の人とIRCでチャットするぐらいしかなくて
そのチャットにけっこうはまっていたんです。


Amigaもなくなってしまってその後、DiabloIIとかのネットゲームにハマったんですが、
やっぱり以前のIRCでのチャットのような、ノリが忘れられなかったんです。
そもそも戦闘するのあまり向いてないようだったんですけどね。


emo8889 Xeno: なるほど。


Seagel Neville: で、当時から使っていたマシンがMacで、ゲームでも何でも限定されてたんですが、
実はUO(ウルティマオンライン)とかに憧れていたんです。
日がな一日何も戦わずチャットしてたとか聞いたりして、家を持てたり、働いたり、とか。
でもMacなのでUOが出来なくて。


emo8889 Xeno: チャットメインのゲームを探してたんですね。


Seagel Neville: そうこうするうちに2004年の10月頃、CNETだかHOT WIREDだったか
なんかゲーム内で自分の土地の隣の住人が、エロ画像をかかげて困っているという記事がでたんです。
そりゃ本人は困ってるだろうけど、なんてほのぼのとしたトラブルだろう、と思って読んで知ったのが、
Second Lifeでした。


で、すぐにMacでも入れる事がわかったんですけど、
当時仕事が忙しかったし、年末に休みになったら本腰入れて入ってみようと思い
実際にそうして入ったのがきっかけでした。


「当時は自分が何を知らないのかさえ解りませんでした」

emo8889 Xeno: 最初はどんな感想を持ちました?


Seagel Neville: ええ、その頃、みんな入ってくるところは一カ所で、
Ahernにあるwelcome areaだったんです。
そこにはいつも常連が居ついていて、私もその仲間に入りました。
毎日チャットだけの日々だったので、3Dで凄いなとか、特に何とも思いませんでした。


emo8889 Xeno: 当初の目的が3Dとかじゃないですもんね。


Seagel Neville: そもそも知らない事が多すぎて、自分が何を知らないのかさえ解りませんでしたから。
ただ、そこでチャットしていたり、他の人が他の人に教えているのを聞いて、
徐々に理解していった、って感じでした。


emo8889 Xeno: そこからはどのような活動を始めたんでしょうか。


Seagel Neville: 2ヶ月ほどwelcome areaに入り浸り、3ヶ月めぐらいにFirst Landを試しに買いました。
でも、welcome area で知り合った友達が、自分の土地の一部をあげるから、
そっちに住めと言われて引っ越ししました。今でもずっと住んでます。


emo8889 Xeno: スプリクト弄りはまだなんですね。


Seagel Neville: で、最初、私が出来た事はスライダーをいじってシェイプを変えるぐらいで、
エイリアンを作って自分にしていました。
そのうち、私よりあとに入ってきた人がクラスをやるので参加してくれと。


emo8889 Xeno: クラスって?


Seagel Neville: クラスというのは、当時リンデンがイベントを奨励していて、
色んな事を教えたりするクラスを開くとL$500とか貰えたんですよ。
で、その人がビルディング・クラスを開きまして。
始めて2ヶ月以上たってから、「へー、そうやって作るのか」と知ったわけです。


emo8889 Xeno: 当時の人はそうやって知識を徐々に蓄えていくんですね。


Seagel Neville: で、そうこうしているうちに、友達がパーティクルの調整に悩んでいて
手伝って私も数値をいじってたら何とか出来たのがスクリプトとの出会いですね。
私はRLで、全然スクリプトとかプログラムとか出来ないので、
まったく知らなかったんですけど、なんとか助けてあげようという一心で、
クラスにも行って覚えようとしました。


emo8889 Xeno: スクリプトは人助けから始めたんですね。


Seagel Neville: で、私も何かクラスを開こうかと考えた末に、
そろばん教室でもやろうかと思ったんです。

で、そのためにそろばんを作るらなくちゃいけなくて、
本格的にスクリプトを勉強しだしたのはその頃からでした。
公式フォーラムで一から教わった感じですね。


ま、そろばんは上手に出来たんですけど、
出来たら面倒臭くなって結局クラスは開きませんでしたけど。あはは。
それからはずっと誰かのスクリプト直したりしてました。


emo8889 Xeno: クラス開かなかったんですかw


Seagel Neville: で、スクリプトの勉強をしているうちに、
冷蔵庫や、鏡台なんかのアイデアが生まれたので、
ちょこちょこと作ってフリーアイテム配ってる所に寄付したりしてました。



Seagel Neville: と、まあ、全然役に立たないんですけど、こんな感じのアイテムです。


emo8889 Xeno: ユニークですね、これw


Seagel Neville: 元々友達の手伝いのためにスクリプト勉強しましたが、
そうこうするうちに色んな人から頼まれるようになりました。
なんか私の見た人がこういうの作ってくれとか、
で、未だにそういうのが続いています。ちょっと手が回らない状態で、放置しちゃてるのも多数ありますが・・・。


emo8889 Xeno: フォーラムも有効活用されてるようですね。


Seagel Neville: で、私の当初の目的だったチャットなんですが、
スクリプトを学ぶために入ったフォーラムに逆にハマりまして、
SLはむしろフォーラムで話すためのネタになっていた時期があります。
公式のフォーラムではAnimationとかScriptとか色々あるんですよ。


http://forums.secondlife.com/


emo8889 Xeno: SL情報の宝の山ですもんね。


Seagel Neville: ただ、去年からリンデンがフォーラム運営に消極的になってしまって
面白くなくなってしまいましたが。
・・・SL内の情報源はそこに集中していたんでけどねぇ。
最近では日本人のみなさんが書いてらっしゃるblogを読んで勉強しています。


emo8889 Xeno: 今のBlog凄い数でもんね。


Seagel Neville: 略歴をまとめると、入った、スクリプト勉強した、フォーラム楽しかった、今に至る、
なんて中身のないSecond Lifeでしょう。あはは。


「wikiがなくなった今すごく自由を感じてます(笑)」

emo8889 Xeno: 他にもSecondlife Wiki Japanと雑貨店があるじゃないですかw


Seagel Neville: なるほど、すっかり忘れてました!
そうだ、まず、日本人と出会えるとは思ってなかったんですよ。
そしたら2005年の夏頃、IMでHelperやってる人から、日本人がきた。助けてくれ」と(笑)


emo8889 Xeno: 日本人担当みたいw


Seagel Neville: そんで慌てて飛んで行ったのが日本人との出会いでした。
実は私が知らない所では何人かすでに入っていて、wikiとか作り始めていたんです。
それがPikaruさんやTonkotsuさんでした。
助けに行った時、出会った人の紹介で、彼らと出会えました。


emo8889 Xeno: 大きな出会いですよね。


Seagel Neville: それでWikiに記事の投稿手伝ったりして、
紆余曲折で一時wiki辞めちゃったんですけど、もう1回やろうっって言う人がいて、
それで現在(休止中ですが)のwikiが2006年の春に始められました。


http://secondlife-wiki.main.jp/modules/pukiwiki/


emo8889 Xeno: 今休止中なんですね。


Seagel Neville: 当時1日のカウントも2桁がやっとだったんですが、
2006年の暮れ頃になると、余裕で1日2000カウントとかになって
日本人の人ふえているのはひしひしと感じていました。
結局アクセス数が多すぎて、今の所を追い出されちゃったんですけどね。あはは。


emo8889 Xeno: 復活の見通しは?


Seagel Neville: うーん、そこはすべてTonkotsuさんに任せちゃっているから、私では何とも。
ただ最後の方、結構辛い状態になっていて、なくなった今すごく自由を感じてます(笑)


emo8889 Xeno: 辛い状態?


Seagel Neville: ええ、ひっきりなしに質問入ってましたから。
なんか追われるような脅迫感に襲われてました。
私の場合、朝起きてチェック、会社に行ってチェック、夕方にチェック、帰ってきてチェックと
一日何度もアクセスしてました。
なんか気になっちゃうと言うか、そういう性格なんでしょうねぇ。


emo8889 Xeno: そもそもwikiをなぜ手伝い始めたのですか?


Seagel Neville: 最初は少ない日本人同士で情報交換をという感じだったんです。
で、私も多少なりとも知っていることを書きましょう、みたいな。
最近も日本人が増えてきていて、どうしてもチャットでは教えづらい部分があるじゃないですか。


あと、まだ入ってきていない人への情報も出せないので、
それを伝えるのを目的に、あと、何度も言わなくてすむように、
という意味を込めてwikiを始めました。


といっても私は誘われたから参加した、という感じですけど。
フォーラム見たりチャットなどで、私は教えてもらった知識を披露しているだけなんです。


emo8889 Xeno: 人が増えてきて、これからもっと大変になるんじゃないですか?


Seagel Neville: 私はそのへんは楽観的に考えています。
昔とは違って、今Blogの量もハンパじゃないし、
色んな企業も遊び方みたいなページを作っているじゃないですか。
正直、私達のwikiの役目は終わったかな、とさえ思っています。


前に一度、創始者が言ったことあるんです。
「あまり情報を出し過ぎると、自分で見つける楽しみを奪ってしまうかも」と。


emo8889 Xeno: あれだけまとまった情報が格納されてるのはJP Wikiくらいですよ。


Seagel Neville: うーん、どうでしょうねぇ。わたしもすべてのサイトを丹念に読んだことないんですけど
結構まとまってる所もあるような気がします。
また、これからも出てくるんじゃないでしょうか?
それに断片的な情報でも、それを縦断して知識を得るのも面白いですよ。


emo8889 Xeno: ではSecond Life Wiki Japan自体も終わる可能性も?


Seagel Neville: いや、わからないです。
ただ、創始者が止めちゃってる状態で、Tonkotsuさんや私はむしろ手伝いだったので
あまり率先してやろう、みたいな意気込みはないかもしれません。


emo8889 Xeno: 次にシーゲル雑貨店についてご説明お願いします。


http://slurl.com/secondlife/Shaka/135/164/27


Seagel Neville: 私のアイテムは全部フリーヤードに寄付していたんですが
そこで困ったのがバージョンアップに上手に対応出来ない事でした。
出した後、手直しすることがあるんですけど、フリーヤード経由では誰に渡ったかわかりませんし
バージョンアップをしたくても出来なかったんですよね。
それにフリーヤードに渡しても、それが追加されるだけで古いのはそのまま残ってたりします。
で、とりあえず自分の家に置く事にしたんです。


emo8889 Xeno: バージョンアップのサポートの為だったんですね。


Seagel Neville: 今はL$0でも残りますが、当時それだとトランザクションに残らないって事もあって
L$1で売り出したんです。
そしたら、日本人でマーケットをやっていたMaHoRoBaから、
こっちにも置かないかと声がかかりましてそんで置かせてもらいました。
その後、MonacaやMetabirds、Happy Dispatchからも声がかかったので置かせてもらっています。


emo8889 Xeno: 1L$で多彩な商品ありますよねー。



Seagel Neville: いや、どれも習作ばかりで商品としての完成度は低いと思っています。
私の商品はフルパームなので、むしろ買ってくれた人が改造して良い物を作って欲しいと。
例えばサッカーボールは画期的と思ったんですが、
今ではどんどん改良されてまして、やっぱりみんなすごいなーと思いましたね。


emo8889 Xeno: そんなSeagelさんにとって、SLはどんなツールだと思いますか?


Seagel Neville: うーん、やっぱり遊びの部分ですね。
ゲームとは言えないけど、遊んでいます。
ゲームと言えないとは、どちらかというとコミュニケーションツールという意味ですね。
ただ、必要に迫られたコミュニケーションではなくて、楽しむ為の物という感じです。


emo8889 Xeno: 遊びの部分とはどんなところですか?


Seagel Neville: もちろん全部が遊びですよ。
私は、商売してませんし質問されて答えるのも、
そういう遊びみたいな、RLに対して息抜きという意味です。


emo8889 Xeno: 2004年12月に始められた時に、これほどハマルと思いましたか?


Seagel Neville: いや、最初はどんなものだろう、というぐらいだったんですけど、
入って1日目からすぐに人が話しかけてきて、色々教えてくれたりしたので
もう1日目からハマりましたね。
あと特に、目的がなかったのが良かったのかもしれません。


「国が違ってもSLという舞台の共通話題があるのが魅力ですね」

emo8889 Xeno: SeagelさんにとってSLの魅力って何だと思います?


Seagel Neville: やっぱり生きてる人とのコミュニケーションだと思います。
国が違っても同じでも、漫然としたコミュニケーションではなく
SLという舞台の共通話題があるのが魅力ですね。


どこそこに面白いのがあるよ、とかこんなの作ったよとか、こんな事件があったよとか、
共通の話題があるとチャットもはずむんです。
この部分、最初に言ったIRCでのチャットを彷彿とさせるものがあります。


emo8889 Xeno: 人が増えたのはそのへんが理由ですかね。


Seagel Neville: あー、やっぱりリンデンがベーシックを無料化して、
人を増やす方針に切り替えたのが大きな原因だと思います。
人が増えてきたのでメディアも乗ってきたのかと。で、メディアを見た人が・・・という。
emoさんの記事で、ライターさんで私よりも古くからやってる人がいましたよね。


emo8889 Xeno: Estella Thereianさんですね


Seagel Neville: その記事でも、当時、編集長が記事にする事に対して、懐疑的だったとありましたよね。
ある程度人が集まるようにならないと、何も動かないんだなとは感じました。
よく、メディアに踊らされるとか聞きますけど、そのメディアが踊らせようと考えるためには、
ある程度の下地が必要かと。


emo8889 Xeno: ではSLのこれからの展望をどう考えていますか?


Seagel Neville: 個人のユーザーとしては、最初に入ってきた規模で、
コミュニケーションとしては満足していたんです。
今、どんなに規模が大きくなっても、自分がコミュニケートできる範囲は限られていて
実際のところ、当時とそう、変わっていないんですよ。


だから個人的にはやり始めた頃から何も変わっていなくて、これからも変わらないと思います。
SLをどうするか、どうなるか考えるのはリンデンに任せておいて、私は自分の楽しめる範囲で楽しみます。
だから個人的には何の展望もございません!


emo8889 Xeno: ありがとうございました!
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IRCをベースにSLの世界にごく初期から参加され、公式フォーラムでスクリプトをマスターし
スクリプトを利用した多彩な作品を作られているSeagelさん。
Second Life Wiki JapanでもSLの素晴らしい知識を利用しサポートも続けられています。


ご存知の方もいらっしゃると思いますが、そのサポート量そしてそれを補う知識は相当なもので
現在のSLで日本人が増えて続けている中、Seagelの役割は本当に大きなものです。
まずその実力を垣間見る事ができる「シーゲル雑貨店」に是非足を運んでみてください!