中学生の頃
自分の意思を主張するようになると
父親との対立が激しくなり
ことある度に罵倒された。

それまでは
なんでも「ハイ」と言う通りにした。
口答えもしなかった。
こわかったしね。

だから、とっても可愛がられた。

けれど、成長するにつれ
その生き方が
とても苦しいものであることが
また、それを強いる父の理不尽さが
はっきりとわかるようになり

怯えていい子を演じるだけの少女に
小さな反逆精神が芽生えた。



中学生の頃
ちょうど「つっぱり」
という言葉が流行った。

昔で言うところの
不良を指していう言葉。

私の周りにも「つっぱり」がいた。

校則違反の髪型をし
かばんをぺったんこにつぶし
制服のスカートを引きずるくらい長くし
(昔の不良はスカートが長かったんだよー・笑)
授業をサボり、先生に反抗し
タバコを吸い、お酒を飲む。

気に入らない生徒がいれば
呼び出してヤキ入れ、リンチ。

万引き、カツアゲもしてたな。
シンナーを吸っている子もいたっけ。



そんな「つっぱり」を見ながら
いいなぁ…って思っていた。

どんくさい田舎の
中学生だった私は
パッとしない普通の子供だった。

そんな普通の子供の心の中は
父の暴言暴力に
どうやって生きていっていいか
わからないまま
苦しみの渦が
ドロドロとぐろを巻くように
渦巻いていた。

父に対する反発心こそ生まれたものの
実際に激しく反発することは
できなかった。

いい子でいることをやめた程度で
家では、口をきかない
暗い子供でいるのががせいぜいだった。

だから
「つっぱり」を見て
いいなぁ…って思ったのだ。

私も「つっぱり」になりたいなぁ。
ああやって、つっぱって
先生や親に徹底的に反抗して、困らせて
自分がいかに苦しいかをぶつけてやりたい
そう思っていた。

行動で父に
「お前のせいだ!」
と言いたかった。



けれど、いくじなしの私は
結局、グレることができなかった。

そう
グレるのにも勇気がいるのだ(笑)

周りからは

「あの環境(父のこと)で
 よくグレなかったよね!」

と言われるけれど
違うのだ
グレられなかったのだ(笑)

自分はいくじなしだって思った。

突き抜けることも
はっちゃけることも
はみ出すことも
いくじなしで
できないことがいっぱいあった。

本当は、はじけて
ぎゃーっ!!!って
やりたかったのだ。



今日、ふと、思い出した。
ああ、そんなこともあったなぁ、って。



私は昔からいくじなし。

いくじなしだから
できなかったことがいっぱいある。

そして、いくじなしだから、
しなくて済んだこともいっぱいある。

別に
何をしたからいい
何をしたからよくない
ってことはない。

みんな、みんな
それがあるから今がある。
だから、オールオッケーなのだ。

ただ、いくじなしで
笑っちゃうなぁ、って
あったかい気持ちで
昔の自分を思い出したのだ。



私は今もいくじなしだ。

人の目を気にしてオロオロして
言いたいこと
言えなくてガマンして
私はこう!って
わかっていることが主張できなくて
そんなのもうやめるぞ!って
思っても相変わらずで

結構スキだな、そういう自分。

ぐじぐじしながら
ああ、またやってる、って
自分を眺めてる。

そんないくじなしの
結末に困りながら
さて、この結末をどう転換させようかと
いじくなしなりに奮起する辺りなんか
特にスキだな。