朝、眠りと目覚めのはざまに
私は漂っていた。

ひとり「そこ」にいるのだけれど
どこかど、誰かと
対話しているような感じもする。

私は軽く膝を抱え
「そこ」にいる感覚をただ感じている。

どこへともなく私は言った。
いや、言ったのか
それとも、ただ思っただけなのか
それはわからない

けれど、
私はこんなふうに感じていた。



今、ここ、という質の中にいる時
なにもない。

恐れも、不安も、苦しみも、ない。

私はただここにいる。
すべては私の中にある。




目覚めてから時間が経てば経つほど
そのとき自分が口にした
あるいは思った言葉が遠ざかってゆく。

そして、残っているのは、
その「感覚」だけ。
けれど、その「感覚」は強烈に残っている。
今でも感じられるほどに。

私は、ただただ穏やかで、満ち足りて、
「そこ」こそが私達が
本来在る場所なのだとわかった。
来たかったのはここなのだ、と。
やっと来たんだ、と。



穏やかさと心地よさの中、
膝を抱える自分を見ていた。
他人がそれを見るように。

他には誰もいなかったのに、
私はひとりではなかった。
どこかとつながっていた。
何か大きく
あたたかいものとつながっていた。



はっきりと目覚めて
私はこの体験を覚えていたくて
ぼんやりしながら
隣にいたabuに話しながら
言葉としての記憶は遠ざかり
表現に困った私は
また、いつの間にか眠りに落ちた。



押し寄せてくる。
どんどんやってくる。
体験が私に示そうとする。

私(私達)は何者なのかを。