ランナーズハイのような、清々しい気分。


先生にも看護師さんにも迷惑をかけてしまい遠回りしてしまったけど、聞きたい事が聞けて胸のつかえが取れてよかった。
ずーんと沈んだ心のまま家へ帰らなくて、本当によかった。

そうだ。
とりあえず、さっきの看護師さんに謝りたいな。
めちゃくちゃ心配かけてしまったし、先生に話つけてくれたし、お礼も言いたい。

今日の事を振り返りながら待合室で待っていると名前が呼ばれた。

あっ。
よかった。同じ看護師さんだ。

「先ほどはすみませんでした」
「いえいえ~。ちゃんと先生とお話できたみたいでよかったですね」
「はい。本当にありがとうございました」
「いえいえっ。それじゃあ、骨密度測りましょうか。かかとやすねの骨に超音波をあてて、簡易的に骨密度を測定します。靴下を脱いでこちらに足を置いてくださーい」
「はーい」

なんだか看護師さんと話していると、子供に戻ってしまう。
恐らく私より10歳は年下だろうけど。
頼りがいがあるのと子供に話すときみたいに「ゆっくり・わかりやすく」話す口調がそうさせるのかもしれない。

 

恐らく生まれて初めて骨密度測定。

測定前には以下のような問診があった。

  • 今まで骨折したことがありますか?
  • 身長が低くなっていませんか?
  • 家族に骨折した人はいますか?
  • (女性は)生理不順があるか、または閉経の時期はいつでしたか?
  • 今までどんな病気にかかったことがありますか?
  • 現在服用している薬はありますか?
  • タバコは吸っていますか?吸っていたらどれくらいの頻度ですか?
  • お酒を飲まれますか?どのくらいの頻度ですか?
  • 運動を定期的にしていますか?

看護師さんは問診の回答を見ると「大丈夫そうですね」とうなずいた。

少し安心した。

靴下を脱いで、フットマッサージャーみたいな機械に足をのせる。
こんなんで骨密度が測れるのか。すごいなぁ。

「骨密度判定が1から5の5段階の数値で出てくるんですよ~」
「へぇ~そうなんですねぇ」

機械からレシートのような細長い紙が出てきた。

ほ~。
それに結果が記されているのね。

 

子供の頃から40年骨折もしてないし、両親も骨折歴ないし、牛乳とヨーグルト好きだし大丈夫だろう。

「5、ですね」

やっぱり!
まさか最高値の「5」とは思わなかったけど、私の骨丈夫なんだなぁ。

「念のためもう一度測りますね~」
「はーい」

再びびょーんと伸びたレシートを手に取り、看護師さんが結果に目をやる。

「5かぁ」

ん?

さすがになんか反応がおかしいなと思って聞いてみた。

「あの、もしかして、5が一番骨密度低いんですか?」
「そうですね……」

ガーン。

そういえば、昔からインドア派でお日様の光をそんなに浴びてこなかったしなぁ。
視力が弱くて運動もあまり好きな方じゃなかったし。
せめていわしせんべいくらい食べておけば「4」はいけたか?

 

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「あの……こんな状態で注射しても大丈夫なんでしょうか?」

「骨を強くするお薬が処方されるので、大丈夫ですよー」

 

それなら問題ないか。

もう手遅れということもないだろうし、これからの食生活と生活習慣見直さないと。


「続いて、リュープリン注射しましょー」
「は~い」
「右腕か左腕どっちがいいですかー?」
「じゃあ左腕でお願いします」
「わかりましたー。皮膚の下に徐放性のお薬を注入するので、それが固まってカプセルみたいになりますけど、気にして触ったりこすったりしないでくださいね」
「カッ、カプセルですか?」
「はい。しこりみたいな感じですね~体内に注入された薬剤を含むマイクロカプセルに周囲組織が反応して固まるんです。そうすると受容体が減少して、女性ホルモンの分泌が抑えられるんですよー」

「へぇ~…」

なるほど?
よくわからないけど、医学ってすごいんだな。

人間の体ってすごいんだなってことはわかった。

カプセルみたいな硬いものが皮下にあったら、気になっちゃうけどな。
もし触って万が一注射部分が傷ついてしまったら、化膿したりする事もあるらしい。
絶対に触らないようにしよう。

「アルコールアレルギーとかありませんかー?」
「大丈夫でーす」
「はーい、それではちょっとチクッとしますよ~」
「は~い」


偏見かもしれないけど、看護師さんってみんな注射をする時なんだか楽しそう。
こちらを不安にさせないための配慮?
気のせいかもしれないけど、そういう気遣いはありそう。

チクッ。

インフルエンザの予防接種はほぼ一瞬で終わるが、こちらはなかなか、例の薬剤の量が多いのか単にゆっくり注射する必要があるのか私が身構えているからなのかわからないが時間が長く感じた。

「大丈夫でしたか?」
「はい」

あとは他の注射と同様、止血用のテープを張られた。

「今日リュープリン注射したので、骨粗鬆症治療のお薬が処方されます。骨密度の数値が少し低かったので追加で骨に必要なビタミンDが入ったお薬も先生に処方してもらいましたよ。帰りに薬局で受け取ってくださいね」
「おお、よかった。ありがとうございます~」

骨密度判定「5」の救済策もちゃんと用意してくれたし、これで安心して帰れる。
私の骨よ。リュープリンの副作用に負けないでね。