昨日、ケア後にマッサージ
ここ最近は、腹壁転移の痛みがあるようで、
以前のように足ツボグリグリはしない
気持ち良い程度にとどめるようにしている


確実に、悪化の道を辿っているのだろう


私の手に負えなかったか


実家へ行くバスの中から、
実家近くの公園の桜が満開なのに気づく


来年は…
と思うと、涙が溢れそうになる


たぶん、これが最後のチャンス
散る前に行けるのは、今日が最後だな…


そう思っていたのだけど、マッサージ後も
母に切り出せずにいた


息子の写真を見せる約束をしていたので、
スマホの画面を見せていた
息子を見て喜ぶ母
春休み中、3泊4日して一緒にいたけど、
やっぱり嬉しいんだな…


色んな写真を見せている時、
この前息子と実家へ行った時に撮った桜の
写真があることを思い出し、見せる


 きれいー!すごい咲いてるんだねー!


その時しかないと思った


 そういえば、バスから見たら◯公園の桜が
 満開だったよ!
 体調平気なら、観に行こうよ!いまから

 え…
 大丈夫かしら…
 そこの道まっすぐ行くだけ?

 そうだよー

 そのままバスで帰るの?

 まさか!
 ちゃんと家に戻ってから帰るよ!
 そこでじゃあねーなんてしないわ
 じいじじゃないんだから

 そうなの?バス間に合わなくない?

 次のバスで帰るから気にしないでよ
 これが最後の桜になっちゃうかもしれないよ
 絶対見ておいた方が良いって!
 
 最後…笑
 そうよね、もうこれが最後だよね
 ちょっと行ってみようかな

 無理そうなら、折り返そうよ
 結構寒そうだから、あったかくしよー


というわけで、最初は拒んでいた母だったが、
勇気を出して行くことに


徒歩数分の場所
きっとできる
いや、絶対できる
あとは貧血を起こさないかと、皮膚の擦れる
痛みが心配


実家においておいたモコモコの私の上着を
羽織らせ、首にもストール巻き巻き


子どもと同じ
親子が逆転してる
これが、闘病か…と心が痛む


玄関で靴を履く際、前にかがむ
痛いと言う
でも、靴は自分で履かせた
翌日、腎瘻カテーテル交換があるからだ
その時、自分で脱ぎ履きしないといけない


さぁ出発!


外に出ると、突然の晴れ間☀️


 ほらー、神様が行けって言ってるよ!!!


それだけで、涙が出そうになる


覚悟してるのに、出来てないんだな
思い知らされる


すぐに曇ってきて、母と笑う
人間都合よく考えがちだよねーと


実家は昔のニュータウン
整備された道
同じような家が立ち並ぶ


花を綺麗に植えている家を見て、
綺麗だねー、素敵だねー


道なりにまっすぐ歩くと、公園だ


公園に入るまで、桜は見えない


公園に入ると、満開の桜が目に入ってきた


 わぁーーー!!!
 すごい!!!

 ね、これ見た方が良いでしょ!
 写真じゃ伝わらないよ


桜の前でママ友で写真を撮っていた


立ってみるつもりはなかったので、
ベンチに座る


目の前に桜


そしたら、太陽が顔を覗かせた


 あったかいねー
 あんたに言われて見なくていいやって
 思ってたけど、来て良かった…
 ありがとうね


そんなこと言われたら、泣けてくる
ここで泣くわけにいかないと、必死に我慢


いつかその時が来たら、
この桜を思い出すのかな…


 来年も見られるかもしれないよー!

 笑
 そうかね?

 こればっかりはわからないけど、
 見て良かったよね!
 これは見ておかないと後悔するって思った
 から…

 外の空気は気持ち良いね
 体の中が巡ってる気がするよ
 

なんだか夢みたいだった


他人から見たら、最後かもしれなくて2人で
花を見てるだけに感じるかもしれない
でも、私たちにはこの時間が特別なもの
もう出来ないかもしれない、その現実を
受け入れられないような受け入れてるような
現実なのか夢なのか…


今、こうして記録しているときも、
涙が止まらず
どうしたら良いのかわからない
誰も助けてくれない
誰にも私の気持ちを伝えられない


頑張ったんだよ
三大治療が無意味な母に、私は少しでも
楽になって欲しくて…
痛みさえなければ、なんだっていい
苦しまなければ、なんだって


他に何かやってみたいことがないか調べ、
もし皮膚から突き出してきた場合の対処法
を調べ


腹壁を突き破ることの情報が皆無なことに
絶望


ついに、見捨てられたか


頑張ってもダメなことってある
そんなのわかってるけど、
皮膚からはやめてほしい
それだけは…


どうしたら良いんだろう
先生に泣きたいても、放射線で痛みをとる
緩和ケアだろう
最終的には、それも視野にある


そこまでいく前に、
きっと母は死にたいと言うだろう


皮膚の痛みで歩きづらさを感じ始めている
つまり、QOLは著しく低下する


座る、寝るだけなら、今は痛みがない
そのまま、そのままでいいから、
今のままで止めておきたい


桜を見ながら、私の心は母のお腹の事ばかり


私は来年も見られるって思っているんだろう


母がいなくなる
それが、私にとってどんなに苦しいことか、
やっぱりわかってなかったな


これが快復したら、また忘れるはずだ


なんてバカな自分なのか


その横で、母は私に感謝している
心が痛い
罪悪感と受け止められそうにない気持ちで
いっぱいになった


お日様はずっと私たちを暖めてくれた
この時間に母の病が良くなればよいのに


そろそろ帰ろうか?となり、帰宅した


帰ってからもずっと、


 行って良かったよ!
 できるんだって自信にもなった
 たまに擦れて痛いけど、よくなるイメージ
 をしようと思う
 外の空気に触れられて良かった


最期の別れみたいに言わないで


良かった良かった!と言いつつ、私は母が
いなくなることを想像している


生きるって辛い
生きてるってすごい


何かしてなきゃ、やりきれない


忘れよう忘れよう


良いことをした!とだけ思おう


母に幸福感を感じてもらえて、良かった
それだけを思おう


涙って、どれだけ流しても出てくるんだな
母が病気になってどれだけ泣いただろう
人生で1番泣いている
それで良いんだ
これで良い


前を向こう
上を向いて歩こう


まだ諦めてない私の心を奮い立たせよう





 



来年も見られますように


みんなが幸せになりますように