ローゼマインは女神としてフェルディナンドの産まれた日からずっと側に寄り添っていた。
姿は普通の人間には見えないがフェルディナンドだけには見えていた。
母が居る時も居ない時もずっと寄り添い、側仕えが虐待しようとしてもローゼマインがそれを防いできた。
フェルディナンドの額に浮かんだ魔法陣はローゼマインが施した彼を護る魔法陣。それが体内にある限り誰であっても彼を害する事はできない。この魔法陣はローゼマインとフェルディナンドを繋ぐ絆。
フェルディナンドを迎えに来たアーデルベルトは…
「其方がクインタか?私は其方の父だ。ここを出て私の領地に行くことになる。そして今日から其方の名前はフェルディナンドだ。」
「フェルディナンド…私の父?…ここを出る?」
「そうだ。」
「母様も一緒ですか?」
「フェルディナンド。母様は一緒には行けません。どうか…父様のもとで幸せになって…」
「えっ?そんな…」
と、そこに光り輝く女神が姿を現しました。
「女神様」
アーデルベルトとセラディーナは平伏しました。
「女神様?」
フェルディナンドはいつも優し目で見守っていてくれた美しい人が女神様だと初めて知りました。産まれてから常に自分の眼の前にいた綺麗な人。母が居ない時側仕えが酷く罵ったり叩いたりすると己を優しく包みこんで護ってくれた。その人が見えるのは自分だけらしく母にも側仕えにも見えないらしく誰に聞いても知らないと言われた人。それが女神様だった。
「セラディーナ。貴女にはフェルディナンドと一緒にエーレンフェストに行ってもらいます。」
「え?でもわたくしが代わりに魔石にならなければランツェナーヴェは黙っていないはず。」
「大丈夫です。」
と、行って女神ローゼマインはフェルディナンドの額から虹色魔石を取り出しました。
「これはフェルディナンドが産まれたときから育てていた魔石です。彼の余分な魔力を吸って大きく育ちました。これを貴女の寝台に置いておきなさい。貴女の魔石だと思ってくれるでしょう。そして…貴女には姿を変えてもらいます。」
そう言うと女神ローゼマインはセラディーナに手を翳すとセラディーナの髪の色は薄いエメラルドグリーンになり瞳の色は綺麗な水色になりました。
「貴女はフェルディナンドの家庭教師として付き添い乳母の役目を果たしなさい。アーデルベルトもよろしくって?フェルディナンドだけではなくセラディーナの事もヴェローニカから護りなさい。」
「かしこまりました。さぁセラディーナ。」と言って手を差し伸べました。
「アーデルベルト。セラディーナの名前は今日このときからエリザベスです。セラディーナもよろしくって?」
「はい。女神様。」
「それから…フェルディナンド。今日から母様の事はリズと呼びなさい。けして母様と呼んではいけなませんよ。そうしないと母様を危険にさらします。聡いあなたならわかるでしょう?」
「はい!女神様!母様と一緒にいられるなら!あっ!いけない!リズと一緒にいられるなら!」
「良いお返事です。間違えないようにね。それではエーレンフェストの領地に行くまでエリザベスとフェルディナンドの姿を消します。見えるのはアーデルベルトだけです。いいですね?」
「はい。ありがとうございます。」
そう告げると女神ローゼマインは姿を消しました。
しかし…フェルディナンドにはずっとその姿は見えたままでした。
アーデルベルトに導かれフェルディナンドとエリザベスは無事にエーレンフェストに着きました。
と、ここまで。