第11回 他者から生きられている自分を積極的に生きる | 同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

世界とは、貴方について書かれた書物である。

 中世ヨーロッパのカロリング・ルネサンス期と呼ばれる時期に活躍したエリウゲナは、自然を四つに分類したことで知られています。




 それは、創造されず創造する自然、創造され創造する自然、創造され創造しない自然、そして創造されず創造もしない自然、です。




 このうち、創造され創造する自然と、創造され創造しない自然は、被造物のことで、これに対して、創造されず創造する自然と、創造されず創造しない自然とは、創造主のことを指しています。




 わたしたち人間について考えると、自ら創造されたものであるが、同時になにかを創造する存在だということに気がつくでしょう。



 神と人間とが異なるのは、わたしたち人間が自ら創造したものではなく、創造されたものであるというのに対して、神は自ら創造したものであるということです。



 自分を創造しないわたしたち人間と、自らを創造する神。




 わたしたち被造物は、自分の意思では存在しない。




 いってみれば、それは創造主の意思によって創造させられたのです。



 自分の創造ということでは、わたしたちは木偶人形と言えるでしょう。




 ただ生きるという意思だけがあって、この世に生まれたという意思を持っていないのです。




 つまり、わたしたちの存在というのは、もうそれだけで他者の意思によるものだということなのです。




 自分としてあるのは、生き続けることです。



 もっとも、この自分の意思もまた、本当にあるものかどうか。じつは与えられたものではないか、という疑念も沸いてきます。




 ここであなたは気がつくことでしょう。




 自分のことを考えるとは、自分にとっての他者を考えることである、と。



 また、自分とは他者から創られたものである、と。



 あなたは、否応なく、他者を考えざるを得ないのです。




 そして、自分を生きるとは、他者を生きることであり、他者を生きることを通して、自分を生きるものであるという結論に行き着くでしょう。




 このことをまた、身体の神秘の調べ(ムジカ・フマーナ)に合わせて、あなたに語り掛けたいと思います。






 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに息づかせられます。






 あなたのからだであるものは、あなたの他者であるものを、あなたの血であるものにすることで、より強くあなたであるものに息づかせられるのです。









 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに導かれ、育まれます。






 あなたの耳であるものは、あなたの他者であるものを、あなたの胸であるものにすることで、より高くあなたであるものに導かれ、育まれるのです。









 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに在らせ、創造させられます。






 あなたの脚(足、被造物)であるものは、あなたの他者であるものを、あなたの腕(手、創造主)であるものにすることで、より限りなくあなたであるものに在らされ、創造させられるのです。







 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに満ち足らされます。






 あなたの肩(器)であるものは、あなたの他者であるものを、あなたの内腑(中身)であるものにすることで、より豊かくあなたであるものに満ち足らされるのです。








 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに守られます。






 あなたの背であるものは、あなたの他者であるものを、あなたの皮膚であるものにすることで、より堅固にあなたであるものに守られるのです。








 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに支え持たれます。






 あなたの肉身であるものは、あなたの他者であるものを、あなたの骨(依拠するもの)であるものにすることで、よりあなたであるものに支え持たれるのです。








 あなたは、あなた自身ではなく、あなたの他者であるものを通して、よりあなたであるものに味わわれます。






 あなたの目であるものは、あなたの他者であるものを、あなたの舌であるものにすることで、よりあなたであるものに味わわれるのです。











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