ふと気になる黄色 | 同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

世界とは、貴方について書かれた書物である。

 ふと、気になる光景がある。


 たとえば、このかんきつ類の持つ、まばゆいほどの黄色。



同胞たる、おっとりとした頬を求めて!


 あたりは、こんな暖かみのある色がなく、この場所だけ春の陽光のような鮮やかな黄色が輝いているのだ。


 でも、じつのところ、それが気になったというのではない。


 気になったのは、このかんきつ類の実のそばに、母子がいたことだ。


 男の子は小学校の低学年くらい。


 母親は、おそらく二十代後半か三十代だろうが、二人とも後姿しか見えない。


 男の子はブランコに乗っている。


 そのかたわらで、母親が男の子の背中を押している。


 ただそれだけだ。


 だが、この母子と、その手前のかんきつ類の黄色が、なにか無性に胸に迫った。


 どうしてだろう、と思い、ふと、自分の過去のことを振り返る。


 男の子にとって、母は自分の大事な思い出なのだ。


 そして、母にとっても、わが子と過ごしている時間はとても大事なものだ。


 母子として過ごせるのは、そう長くはない。


 母と子は今、互いにとってとても大切な時間を過ごしているのだ。


 かんきつ類の黄色が、そんなことを思わせてくれる。



    ***



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 互いに対等なものどうしを生き合うものと、自身を超えて自身を生きるものとの対立と調和の物語です。



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