Tさんから、物語が届いたのは、誕生日の前日。
メールに添付された、まだ、開封していない、物語のファイルは、四角いアイコンで、開く前の本の表紙のようだ。
それを目にしたとき、子どものころ、いちばん嬉しかったのが、本を買ってもらうことだったこと、本を手渡された瞬間の、ワクワクや、ときめきが、いっせいに、胸いっぱいに蘇ってきた。
物語の中には、何が詰まっているのだろう。
(本文より)
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2023年10月に、オジャさんのノベルセラピーに出逢い、主人公に「名前」をつけることから始まるワークショップに、たちまち夢中になり、大好きな物語と、ライフワークである山下弘司先生の名前のことだま®とのむすびを感じ、物語のメッセージと主人公の「名前」からのメッセージをひもときたいと思い、翌11月に、さっそくノベルセラピストになった。
これまでにも、何度か、ノベルセラピーのことを投稿している。
1月27日に開催された、ネクステ・ノベルセラピーワークショップで、新たな境地を体験したので、記しておく。
◆ノベルセラピーWS
ノベルセラピーWSは、セラピストが用意する10数個の質問に直感で答え、それをつなげて、即興で物語を語る。
「直感」という乗り物が連れてくる言葉や出来事は、心の中の、開けたことのない(と、顕在意識は思っている)扉が開かれる感覚だ。
そして、その体験から時間をおかず、いきなり口から飛び出してくる物語は、その扉と繋がっている。
ノベルセラピストからの質問の答を書いたメモから、大きく離れてしまってもOK。
順番どおりじゃなくてもOK。
抜けてしまってもOK。
わけがわからなくなって、終わってしまってもOK。
物語を語る人以外は、目をとじて聴く。
終わってから感想をシェアしあう。
善人が物語を語り、シェアができたら、zoomは終了。
24時間以内に、口で話した物語を、文章にする。(オジャさんは、「文字化」と表現されている)
文字化した物語を、ノベルセラピストに提出するまでが、ノベルセラピーWSだ。
(文字化すると、どんなことが起きるだろう)
体験するとわかるけれど、とても大事なプロセスだ。
口から即興でしゃべっているときは、多少、つじつまがあわなくても、混乱してグルグルになっても、エイヤ! で物語は進み、終わることができる。
ところが、文章を書いていると、つじつまがあわないままでは、先に進めなくなる。
なんとかしようとする気持ちが働き、それがさらに、物語の構造を発展させ、隠れていた大切なものが、不意に飛び出してくるきっかけとなることも。
登場人物への感情移入や、共振、共鳴も、よりリアルに、深まっていく。
(アトラクションを外から見ているのではなく、実際に乗り込んで操縦しているように)
(主人公を、外から俯瞰するのではなく、内側から表現が生まれ、あふれ出すように)
このことは、私が体験したことなので、何が起こるか、どんな体験をするかは、そのかたによって、そのときによって、違うと思う。
ノベルセラピーを創始されたオジャさんのお話では、WSで話したことと、文字化した作品が、ぜんぜん違う内容になるかたもいるそうだ。
そのようにして、イメージの世界にあったものが、しっかりと現実の世界に着地し、自分の肉体に宿る。
◆グループワーク
私が、これまでに体験したノベルセラピーWSは、2~3人のグループだった。
同じグループのかたが話しだす物語を聴いていると、さまざまなシンクロが起きていたり、魅力あふれる構成に魅かれたりして、もっとお話したい! という気持ちになる。
でも、WSの時間には限りがある。
参加者は初対面同志のことが多い。
連絡先を交換することはないため、名残惜しくzoomから退出すると、それきりになってしまう。
画面に表示されている名前もニックネームだったり、フェイスブックをされていないかたもいらっしゃるので、探す手立てもない。
そんななかで、1ヶ月近く経って、つながることができたかたがいる。
1月27日に開催された、ネクステ・ノベルセラピーWSで、3つのノベルを共に創ったTさんは、お互いの話す物語が、まるで鏡の世界のようだった。
まず、そのときに来ていた服が、私は赤で、Tさんは緑。
ビジュアルからも、お互い補色の関係だったことで、ブレイクアウトルームで同室になった瞬間から、フラグが立つ。
最初の物語で、私の主人公は男性で、家族は妻と娘。
Tさんの主人公は女性で、家族は夫と息子と祖母。
次の物語で、私の主人公が大学に通う22歳の女性なら、Tさんの主人公は同じく18歳の男性。
私の物語で、母親との確執が描かれていたら、Tさんの物語では、父親との確執。
最後の物語で、私の主人公が高校に通う16歳の男の子なら、Tさんの主人公は、同じく17歳の女の子。
多くは、同じ回で、お互いの物語が、二極が向かい合う鏡の世界のように展開するのだけど、登場するアイテムやエピソードが、違う回でシンクロすることもあり、3作を通じて、お互いの世界がつながっていることを感じるとともに、私の物語で描けなかった対極が、Tさんの物語で表現されていることを感じて、高揚が止まらない。
また、Tさんから表現される言葉やアイテムは、
〈自分には絶対に思い浮かばない!〉
〈でも、絶対に必要で求めていたもの!〉
と、痛切に感じられるもの。
さらに、私なら、ここで物語を終わりにするという場面から、Tさんは、さらにいくつもの場面を展開され、予想もつかない場所に運ばれる。
何よりも、冒頭で語られるTさんの主人公の「名前の響き」に、はっとさせられ、私の中で、たくさんのスイッチが押されている感覚が止まらず、Tさんと、Tさんの物語に魅了されていく。
すっかり、Tさんのファンになった私は、WSが終わって、自分の物語を文字化したとき、Tさんの物語も、
〈読みたい!〉
〈読ませてほしい!〉
という強い願いが高まる。
とはいえ、言い出せないまま、日が経っていき、翌月のネクステ・ノベルセラピーWSの開催日になる。
参加者のギャラリービューに、Tさんがいるのを見つけ、さっそく嬉しくなる私。
さらにTさんが、私の名前を呼んで、にっこり笑ってくださったことで、勇気をもらう。
そして、オジャさんがフェイスブックの投稿で、タグ付けされている参加者の中に、Tさんらしき人の名前があるのを見つけた。
(お願いできるかも!)
というわけで、勇気を出して、Tさんにお友達申請をして、自分の気持ちを伝えて、文字化作品を読ませてほしいとお願いしたところ、快く、物語を交換して読みたいと言っていただけた。
(わーい)
◆プレゼント
Tさんから、物語が届いたのは、誕生日の前日。
メールに添付された、まだ、開封していない、物語のファイルは、四角いアイコンで、開く前の本の表紙のようだと感じる。
それを目にしたとき、子どものころ、いちばん嬉しかったのが、本を買ってもらうことだったこと、本を手渡された瞬間の、ワクワクや、ときめきが、いっせいに、胸いっぱいに蘇ってきた。
物語の中には、何が詰まっているのだろう。
今年の誕生日のプレゼントは、物語。
物語のテーマを、この1年で見つめ、統合していく。
その暗示だと、感じている。
そして、Tさんとお話する中で、さらに思いもよらないプレゼントが!
少しずつ、連載します。
まずは次回、一つ目の物語から。
浜田えみな
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