優子さんと私が電車から降りた坂本は、日吉大社、比叡山延暦寺の門前町として栄えた地。

日吉大社の表参道の両側は、石積みに囲まれた建物が連なっている。

 

 

この石積みは、加工しない自然のままの石を崩れないように美しく組み上げた「穴太衆積み(あのうしゅうづみ)」と呼ばれるもので、「穴太」というのは、職人が居住した地区の名称だそうだ。

 

建物は、比叡山で修行を積んだ僧の隠居所で「里坊」と呼ばれ、独特の景観を作っている。

 

この季節の表参道は、色とりどり、さまざまな種類の桜並木がつづく。

 

 

 

 

 

日吉東照宮の拝観時間が4時までなので、タクシーがあればと探したけれど見当たらず、そもそも乗り場すらないので、歩き出したものの、太閤桜に魅かれて寄り道するは、参道の桜に魅かれて写真を撮るはで、いっこうに前に進まない。

 

右手に見えるのは、日吉大社の奥宮の八王子山だ。

 

 

目指す日吉東照宮は、日吉大社をすぎ、ケーブル駅のあたりまで行かなければならない。

 

(え、遠くない?)

(行けるの?)

 

心配になったとき、夢のようにバスがやってきた。

 

(えーーーっ)

 

表示に「坂本ケーブル駅行き」と書いてある。

しかも、優子さんと私が歩いている、すぐ前がバス停。

 

(どうする?)

(乗る?)

(歩く?)

 

そんな心の声に応えるかのように、車体のスピーカーから響く運転手さんの声。

 

「乗るの?」

「乗ります!!」

 

背中を押されるように、バスの中へ。

 

「バス停ひとつくらいだよね?」

「すぐに着いてしまうね」

 

といいつつも、車窓から眺めていると、けっこうな坂道で、距離もあり、

 

(これは、歩くのキツかったな)

(乗れてよかったー)

 

バスを降りてからも、日吉東照宮までは、そこそこの距離があったので、あのまま歩いていたら、拝観時間ギリギリで、ゆっくりお詣りできなかったと思う。

 

(なんというギフト!)

 

絶妙のタイミングでやってきてくれた天の助けだ。


***

 

 

優子さんおすすめの日吉東照宮の社殿は、権現造りという様式で、日光東照宮の雛形と呼ばれている。

推しは、200円の拝観料で、内部まで上がらせていただけること。

 

 

 

 

 

 

靴を脱ぎ、板の間にあがると、ひんやりとして、気持ちがいい。

彩色の美しさの残る調度は、静謐なたたずまいで、心が落ち着く。

貸し切り状態。

贅沢な空間に、いつまででもいられる。

 

外観も素晴らしい。

 

 

 

比叡山の麓、琵琶湖を見晴らす地に坐する社。

 

 

 

ちょうど、桜の下に椅子が並んでいる。

せっかくなので、お花見をする。

 

優子さんと食べようと思って、京都駅で桜餅を買ってきた。

優子さんは、大津でワッフルを買ってくれていた。

 

 

桜の開花は、人々に幸を届けてくれる「さ」の神様が、山から里に降りてきたことを知らせるサインだと、名前のことだま®山下弘司先生に教えていただいた。

 

花見はご神事で、宴は、神様へのお供えしたものをいただく直会だ。

さっそくお供えして、おさがりをいただく。

 

風が通るたびに、はらはらと花びらが散り、祝福を受けているようで、嬉しくなる。

 

 

 

眼下に琵琶湖が見晴らせる。

 

(こんな場所で、こんなに優雅に)

 

***

 

帰り道は下りなので、早い早い。

 

 

 

 

 

桜を愛でながら、ずんずん進んでいると、往路では気づかなかったお社がある。

 

 

 

案内書きによると「大将軍神社」と記され、大山祇命と、岩長姫命が祀られていることがわかった。

父娘がお祀りされている社に出逢えて、嬉しい気持ちになる。

 

比叡山坂本駅に着くと、まるで美術館か博物館の入口みたいな近代的な外観に驚く。

思わず、撮影。

 

 

ゆっくりしすぎて、本命の関蝉丸神社をお詣りする時間が危うい!

 

坂本から大津へ向かい、いよいよ、関蝉丸神社へ。

 

つづきます。

 

浜田えみな

 

この旅のつづきは

 

【稲葉優子さんと行くみちひらきの旅(大津・関蝉丸神社編 2023.4.2)】3

 

 

 

この旅の始まりは
 

【稲葉優子さんと行くみちひらきの旅(日吉東照宮~関蝉丸神社編 2023.4.2)】1