イザナミノミコトは、12ひめ神の、1番目のひめ神だ。

 

1番~5番までのひめ神が表しているのは、一人の女性の中にある基本的な魅力のうち、自分の中から引き出していくもの。

 

大切なものは、最初か最後に登場することが多いと、山下弘司先生は、12ひめ神講座の中でおっしゃっていた。


イザナミは、日本神話で最初の登場するひめ神。

 

男女の区別がなく、両方の性質を持った七柱の神の出現のあと、五組十柱の男女ペアの神が現れる。

最後に現れたのが、イザナギ(男)とイザナミ(女)だ。

 

〈イザナミ〉という名前の由来は、「イザナ」(誘う いざなう)+「ミ(女性)」

〈イザナギ〉は、「イザナ(誘う いざなう)」+「キ(男性)」

 

〈いっしょにやりましょう〉

 

二人の名前は、〈男女が力をあわせていっしょにやる〉ことが、幸せの秘訣だと教えている。

 

それから、山下弘司先生のひめ神講座のベースとなっている重要な特徴は、「やまとことば(古代より使われていた日本語)」を基本にするということ。


だから、〈ひめ〉の定義についても、一般的に考えられているものとはちがっている。

 

西洋の物語に登場する姫は、白雪姫や、シンデレラ姫など。

日本の物語に登場する姫は、かぐや姫など。

 

多くの人がイメージする「姫」は、〈未婚〉〈未熟〉〈擁護される〉というものだと思う。

それに対して、ひめ神カードのひめ神は、〈既婚〉〈成熟〉〈大人〉だ。

 

これは、やまとことばにおける「ひ」「め」のはたらきに基づいている。

 

「ひ」は、やまとことばでは、「日(太陽、大事なもの)」「一(最高のもの)」を表す。

「め」は「女」であるとともに、「目(見る、知る)」「芽(育てる、見抜く)」を表す。

 

「ひめ」という言葉は、相手を見て、成長の芽を見抜き、見守り、魅力を引き出し、太陽のように光をそそいで、育てる、最高の女性を表していると、山下先生は教えてくださった。

 

ひめ神の基本的な力は、「見る」「愛する」「引き出す」「相手磨き」

 

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イザナギとイザナミの日本神話は、有名なものが多いので、ご存じのかたが多いと思う。

 

「おのころ島」

「ニ神の結婚」

「国生みと神産み」

「イザナミの死」

「黄泉の国」

 

「ひめ」の視点から眺めてみると、神様たちが、失敗を見せてくれることにより、私たちに伝えようとしてくれたものがわかる気がする。

 

イザナギとイザナミのテーマは、

 

「いっしょにやる」

 

ひめ」として関わることが重要だ。


相手の力を見抜くこと、見守ること、その力を引き出すようにふるまうこと。育てること。小さな芽が成長するには、時間がかかることを知ること。

 

たとえば、鉾をかきまわすとき、相手に鉾を持たせ、自分は見守る。

たとえば、出逢いのとき、相手を立て、自分から先に声をかけない。

たとえば、約束のとき、未熟な男は、きっと守らないだろうと見抜き、相手の立場にたって、策を講じる。

 

イザナミが、後世に生きる者に伝えているのは、「」の役割。

 

「め」の音は、未熟な相手を、長い目で育て、魅力を引き出していく使命がある。

「よめ」も「しゅうとめ」も。「むすめ」も「おとめ」も。

 

「め」の役割を担う女性のチャレンジだ。

 

***

 

神話をふりかえろう。


私が、かつて読んだことのある黄泉の国の神話は、マイルドにしてあったのだと思う。

 

だから、愛する妻の死が受け入れらえず、黄泉の国まで追いかけていったイザナギと、死んでしまったあとも、イザナギのことが忘れられず、愛しくて恋しくて焦がれているイザナミの、「愛」しかない物語が、どうして最後に、

 

〈伊邪那美命言、愛我那勢命、為如此者、汝国之人草、一日絞殺千頭〉

(イザナミノミコト:「愛しいあなたが、このようなことをされるのならば、わたしは一日にあなたの国の人間たちを千人殺してあげましょう。」)

 

〈爾伊邪那岐命詔、愛我那迩妹命、汝為然者、吾一日立千五百産屋〉

(イザナギノミコト:「愛しい女神よ。あなたがそうするなら、わたしは、一日に千五百の産屋(うぶや=出産のために建てる家)を建てましょう。」)

 

という、一日に千人が絞殺され、千五百人の産屋が立つという、とんでもないバトルで終わるのか、しかも神様たちなのに! という衝撃は大きかった。

 

でも、カードを描いてくださった大和田縁奈さんが、イザナミを描いているあいだ、ずっと、

 

「どうして、ひとりなの? イザナギといっしょじゃないの?」

 

という声が伝わってきたとおっしゃっていたことや、その後のひめ神の話を講座で学ぶうちに、

 

〈想いを伝えあう〉

 

ことが、どれだけ難しく、どれだけ大切かを、痛感している。

 

イザナミは、あのようなことを、口にしたかったわけではなく、イザナギも、このような結果にあるとは、思いもしなかったはずなのだ。

 

特に、神話に登場する男神は、みんな未熟に描かれているので、言わなければわからない。

もしかすると、言ってもわからない。

 

自分勝手な解釈で行動し、約束は破り、相手の言うことをきかずに短絡的に行動する。

 

そんな男神の魅力を引き出し、成功するひめ神は、思いを伝えることに長けていると感じた。

クシナダヒメも、スセリヒメも。

 

イザナミは、最初のひめ神なので、反面教師として登場しているのだと思う。

 

イザナミができなかったことを、私たちは意識すればいい。

 

〈イザナミは、どうすればよかったのか〉

 

そのことを教えてくれているのが、日本書紀に描かれた物語だと思う。

古事記には登場しない「ククリヒメ」というひめ神が登場し、イザナギとイザナミの仲をとりもつ。

 

〈ククリヒメは、イザナギに何を伝えたのか〉

 

それは、イザナミがイザナギに伝えたくて、伝えられなかった思いではないだろうかと、山下先生は講座の中でおっしゃっていた。


記述がないので、真実はわからない。

でも、きっとそうだと思う。

 

***

イザナミノミコト

 

イザナミのカードが出たので、「ひめ」という基本の使命を、自分の中に響かせてみる。

 

〈自分がリードすることを手放す〉

〈なせ、そうしてほしいか、そうしてほしくないかを、素直に、ていねいに、伝えてみる〉

〈根底にある愛を、自分の中にも、相手の中にも、感じあう〉

 

ひとりでは、産みだせないものがあるから。

カードの中で、イザナミが手にしているのは、イザナギの勾玉なのだそうだ。

 

浜田えみな