川は……
比喩かもしれない。
私にとっての「川」

それは……


*    *    *


寝屋川市にある森邸で開催された、岡田恵さんのEXカードのワークショップのあと、みんなでゴハンを食べに行った。

メニューをカスタマイズしたり、参加してくださったNさんのマクラメ編のアクセサリーを見せていただいたり、いろいろな想いをシェアしたり、共通の知人のことを話したり……
そんな中で、わたしの


〈首肩背中(右半身)のコリがとれないのはなぜか?〉


という話になり、隣にいた恵さんが、からだをさわってくれた。


「えみなさんの家の近くに、、あります?」


ふいに言われて、言葉につまった。


「え?」


(住んでいるマンションの横は川だけど…… 小さいし、汚いし)


「そういう川じゃなくて……、うーん、えみなさんの行きたい川とか」
「行きたい川……?」


急に言われても、川の名前など思い浮かばない。

これまで、「温泉倶楽部」で、たくさんの滝や川の傍を歩いたけれど、今すぐに、もう一度行きたいほどの川があるかと問われたら、別にどっちでもいいとしか言いようがない。


「川に行ったら治るんですか?(喜)」
「それはわからないけど、えみなさんに触れていたら、“川”って……」


(川……?)
(海じゃなく……?)


そのときは答えも出ず、帰宅してフェイスブックかメールを起ち上げたら、何かヒントがあるかもしれないということで、その話題は終わりになった。


*    *    *


みんなと別れて帰宅する電車の中で、


〈頭の中にすぐに浮かんだけれど、そのときに言えなかった川〉


のことを考えていた。


〈なぜ、言えなかったのか?〉


頭の中に浮かんだ映像は、『千と千尋の神隠し』のハクの川だったからだ。
何度、思いだしても感極まる、ハクが、自分の名前を思い出したシーン。


(そうか!)


川は……
比喩かもしれない。
私にとっての「川」。

それは、


(自分の本当の名前)


*    *    *


『千と千尋の神隠し』のストーリーは、 「言霊」と「名前」がキーワードだ。

私は、山下弘司先生から〈名前のことだま〉を教えていただいた、命名言霊学協会のことだま師だ。


名前の音が持つ力を知る前の私は、湯屋にいたときの、名前を隠された千(せん)だったと思う。


「名前のことだまを知る」ことは、「自分の本当の名前を知る」こと。
古来のことだまの力とつながり、生まれてきて為すべきことを受け取ること。
神隠しの場所から抜け出して、本当の自分を生きること。


川の名前は、湯屋の自分を解き放ち、本来の自分を生きる場所へ連れていくパスワード。


それは、ひとりひとりに必ずある。


名前は、ちから。
名前は、いのり。
生まれたときに、だれもが神様と約束した、しるし。


今、
「せん」として生きていますか?
「ちひろ」として生きていますか?


*    *    *


不思議なことがある。


わたしの中で、「名前のことだま」のことを再認識して大好きになったり、ものすごくいいセッションの時間を持てて嬉しくなったり、ことだまの世界の未知の扉が開いて高揚したりして、


(魂レベルがあがった!)


と感じられるとき、必ず、なんらかのアクションがある。小さなノックのように。

鑑定の申込みだったり、問い合わせだったり。
ブログや、フォームや、コメント欄などを通して音連れる。


わたしの小さな頭の中で起きているような、微細なエネルギーの変化を、ものすごく遠くから察知して近づいてくれる魂があることに、いつも驚き、感慨深く思う。


「ことだま師」というのは、門戸を開いていないわたしにとって、ノックされたことがわかる扉。
そして、今回も。


ほんとうの名前を思い出したときのハクの川に、身を躍らせて飛び込み、水源へ昇るような気持ちで家に帰ると、フェイスブックを通じてメッセージが届いていた。
ずっと前に、ことだまのお話をした人からだった。


(このタイミングで)


名前のことだまの鑑定をされてることだま師の先生は、既にたくさんいらっしゃるので、私は、もうやらないでいいと思っているけれど、こんなふうに、見えない何かを察知してつながりあう人は、大切にしたいと思う。


「名前のことだま」は、受け取る時機があるから。
わたしの「名前のことだま」が、その人にとって必要だから。
その人の「名前のことだま」が、わたしにとって必要だから。


*    *    *


ハクのことを思いだしたら、森邸の裏にあった社のことが気になってきた。
さっそく、インターネットで調べてみると、 「鞆呂岐(ともろぎ)神社」の奥宮 「若宮八幡社」だとわかった。
名もなき御社だと思っていたら、なんと


(奥宮!)









境内の中にあった、「史跡 茨田蛇の池跡」という石碑も気になってくる。
これも検索すると……


>蛇や竜は水の神様の御遣いです。

>昔、このあたりから、淀川の堤防まで広がる大きな池がありました。

>奥宮の若宮八幡社は、氏子さんは竜神さんと呼んでいます。


などなど。


(埋め立てられた池)
(竜神様)


昔の地図を見ると、池は淀川の近くまで及ぶ大きなものだった。
現在の地図と並べてみると、ちょうど田んぼの位置と一致している。

森邸は、池のほとり。

茨田池の竜神様とも関わりが深かったのかもしれない。


池を埋め立てられ、主の竜神様はどこに行ってしまわれたのだろう。


マンション建設のために埋め立てられたハクの川と、茨田池がオーバーラップする。

森邸の近くに広がっていたれんげ畑も、竜神の眠る池の名残。





***


わたしのまわりには、竜神さまと御縁のある人が多い。

白い竜。
青い竜。
虹色の竜。


温泉倶楽部で巡った渓流や神社にも、いつも竜神様の姿がある。
森邸に魅かれたのも、竜神様のお導きだったのかも。


〈川の名前を、知りたい〉


浜田えみな


これで終わったら、かっこいいーっ
でも、終わりませんよ。

浜田の身体から、“川”が発散されていた理由とは……


数日後、浜田は京都へ行きます。
京都で、浜田を待ち受けていた二つの川。


つづく。


本編のEXカード ワークショップレポート → ★★★