みみより日和


口の中でころがしていると、
なんともいえない情感とともに、
言葉にできないあわいのなかに消えていく。


「まほろば」と呼ばれる場所は、
いったい、どんな場所だろう。


*    *    *


◆住吉大社から堺へ


白波が立つ海原を見晴らしているような住吉大社の境内から、太鼓橋を渡って一路、堺へ。


〈住吉大社から堺〉といえば「神輿渡御」

夏に行われる住吉祭では、8月1日に住吉大社の神霊がお乗りになる神輿が、堺市の宿院頓宮までお渡りする神事がある。
中世までは、堺は住吉大社の神領であったそうだ。


身一つでも足元がおぼつかない、あの反り橋(太鼓橋)を神輿をかついで渡り、大和川も、ざぶざぶと練り渡る。
御渡りの一行は、街道を堺まで進む。


住吉大社からの神輿が到着する御旅所の宿院頓宮は、大鳥大社の御旅所でもある。
摂津と和泉の神様の御霊が、堺を鎮守する。

現在では、7月31日に大鳥大社の神霊を乗せた神輿を、8月1日に住吉大社の神霊を乗せた神輿をお迎えし、祭典が行われている。


そういえば、小さいころは「おみこし」が何なのかもわからなかった。


(神様がお乗りになっていたのだ)


◆神様たちの名前


今も、神社で行われている数々の神事。
有名なものは、ニュースなどで目にするけれど、その起源や意味を理解しているとは言い難い。


(そもそも、「神様」って誰?)


漠然と心に思い描いていたけれど、古事記などを読むと、冒頭から、次々に神様が誕生するので本当にびっくりする。
一読したくらいでは、名前などの漢字は正しく読めないし、ふりがなをみても覚えられない。


でも、よしこさんは、どの神社を訪れても、そこに祀られている神様たちの名前を嬉しそうに、いや、 【親しそうに(!)】 教えてくださる。


日本の神様の素晴らしいところは、生活の中に身近にいらっしゃることだ。
「天地八百万の神様」と言い表すように、神様たちは、そこかしこにいらっしゃり、自らバリバリ仕事をこなし、働き者でフレンドリーだ。

日本人は、生まれたときから死ぬときまで、神様たちと共に暮らす民族であることこそ、誇りに思い、大切に考えるべきだと思う。


名前は、包括するすべてを表したもの。


産土神社にお祀りされている神様の名前を知っていると、たとえ、生まれたところを遠く離れていても、その神様のお名前を見かける場所では、いつも見守ってくださるような気持ちになる。


そして、日本は、いたるところで神様がお祀りされている。
神様のことをあまり知らないわたしでも、「神様ネットワーク」は素敵だなあと思うのだ。


◆和泉国一宮 大鳥大社



みみより日和


大鳥神社は15000坪の境内に広がる種々の樹木に称えられるように坐している。
鳥居をくぐると、参道が滑走路のように伸びて空を分かち、そこに居るだけで、すがすがしい気持ちになる。


参道は、こんもりした緑の気配に守られた回廊のようだ。
まわりこむと、二の鳥居の奥に拝殿が見えてくる。



みみより日和


荘厳としか言いようのないたたずまいは、重厚なのに凛と澄み渡り、どこまでも深く呼吸ができる。どこまで吸っても苦しくなくて、どこまで吐いてもまだ吐ける。


気づかないうちに呼吸が楽になり、みるみる細胞が癒えていく。


みみより日和


日本武尊の像があったので、驚いた。


日本武尊が亡くなって遺体が葬られたのち、その魂が白い鳥となって飛んでゆき、最後に降りたのが、この大鳥の地なのだそうだ。

古事記にある望郷の歌が、自然に、思いだされる。


やまとは くにのまほろば たたなづく あをがき やまごもれる やまとしうるわし


「まほろば」という言葉は、口の中でころがしていると、なんともいえない情感とともに、言葉にできないあわいのなかに消えていく。

「まほろば」と呼ばれる場所は、いったい、どんな場所だろう。
それぞれの心のスクリーンにしか映し出されることのない、この世の中で、歩いて行くことはかなわない場所なのかもしれない。


*    *    *


車に乗り込み、次は、いよいよ河内国一宮 枚岡神社へ。
東大阪市をめざす。


(わあ、高速にも乗るなんて!)
 
山下先生、かっこいー!(浜田は運転ができないので、なんでもすごい)


◆河内国一宮 枚岡神社


みみより日和


「枚岡神社は大阪の根です」


と山下先生がおっしゃった。


「大阪で活動されるかたは、まず、枚岡神社に御挨拶に行くといいですね」


枚岡神社は、歴史も古く、神聖で鎮静された深いたたずまいだ。


そろそろ傾きかけた陽射しの中、奥深く続いている神域の前に立っているだけで、偽りの気持ちで自分を取り繕う隙さえ与えない静謐さに、打たれ続けていた。
枚岡神社は、圧倒的な存在感で、この地に座し、大阪を見晴らしている。


山下先生は、ここで初めて、静かにおみくじを引かれ、少し離れた場所で開いていらした。


(いったい、どんなことが書いてあったのだろう?)


わたしたちのおみくじは、「八番!」「四番!」などと大騒ぎで開示しているけれど(笑)、山下先生のおみくじは、声をかけることもはばかられた。


ふと見ると、よしこさんが、なぜかおみくじの前にいる。


(大吉だったのに?)


不思議に思っていると、またまた満面の笑顔で、


「わたし、住吉大社のおみくじで、幸運の鍵が“招き猫”って書いてあったんです!」


本当に嬉しそうだ。
そこに置かれていたのは、おみくじの中に七色の招き猫が入っているというものだった。
幸運の鍵に、神様の場所で出会えることは、お導きにちがいない。


「うわー 四十八番!」


またもや「四」と「八」
招き猫は「金色」だった。


よしこさんは、拝殿で鈴を鳴らすと、必ず、脇に下がって膝まづき、こうべを垂れて、とても丁寧なお祈りをされる。


一宮の神様たちに、よしこさんが感謝の心とともに、ご報告され、今年、大阪でさせていただくこととして、誓われたことはなんだろう。


今日から新しい年。
よしこさんに、輝かしい未来が待っている。


”幸運の鍵”の招き猫を見せてくれて、はずむような笑顔のよしこさん。

自分のおみくじのことを思い出した!

 

(幸運の鍵 )と書いてあった!


ふと見ると、


(あるんだなー これが(笑))


さまざまなお守りの隣にあるものは、確かに“鈴”(!!!)


(神様からのお言葉がつながっている!)


よしこさんのおかげで、わたしも、「鈴」を求めることができた。
さっそく、カバンにつけてみると、ひとゆれごとに鳴り響く音とともに、薄紙がはがれるように、もやもやが祓われていく。

一歩踏み出すたびに、リリ、リリリ。

リりりり、リリリと、心が澄み切っていく。


(鈴の音は祓い)


鈴の音とともに、グレードが変わるように心が軽くなっていく。


◆お笑い神事


みみより日和


参道階段の前にある注連縄は、お笑い神事(注連縄掛(しめかけ)神事)で掛け替えられるものだ。

枚岡神社のお笑い神事は、神々たちの笑いによって、天岩戸が開いたことにちなんで行われている。
知らなかったのだけど、毎年、12月25日に行われているそうだ。


(クリスマス!)


世間では(下界では?)、枕元をさぐり、プレゼントの箱に喜びの声をあげ、包み紙を開ける子どもたちの声が響き渡るクリスマスの朝、枚岡神社では、まだ寒い朝八時半から、氏子総代が白装束で注連縄作りを開始する。


関係者や参詣者の見守る中で、できたばかりの注連縄が掛け替えられる。

お祓いのあと、最初は宮司が先導して儀礼的、「わーはーっはーーーっ」と、何度か繰り返して笑う。
そのあと、宮司から、注連縄掛(しめかけ)神事と「笑い」についてのお話を聴いたあと、20分間、笑い続けるのだそうだ。
宮司も巫女も参詣者も、みんなが大笑いして、邪気を祓う。


(20分間!)


20分間、笑い続けるというのは、かなり長いと思う。
でも。


おかしくなくても笑うことで、ハッピーになっていく。
ハッピーだから笑うのではなく、笑うことでハッピーになる。


掛け替えたばかりの注連縄は、そんな「わはは」を、いっぱいに吸いこみ、揺れながら放っている。


「このお笑い神事、一度、来てみたいんですよね」


と、山下先生もおっしゃっていた。


*    *    *


「枚岡神社はね、梅林が有名なんですよ」


と、みんなで梅林のほうへ足を伸ばした。
まだ、つぼみも見えないけれど、咲くとみごとだろう。


「禊場」もあった。
今いる場所も、山の奥も、すべてに神霊の力が及んでいるようなこの地で、高い所から落ちてくる滝に打たれる人は、どのような思いを砕いて浄化し、清められたいと願うのだろうか。


暮れかけている日の陰りのせいか、ご神域の気配なのか、枚岡の地は、ひたすら畏れ多く、ゆるぎなくて、「大阪の根」だという言葉を、ただ体感していた。


*    *    *


◆海と空と山


すべてめぐったから気づいた。
それぞれの神社で感じるものが、ちがう。


どの神社も、気持ちいい。
でも、自分が一番、気持ちいい場所に気づいた。


気づいたら、


(なぜだろう?)


と思った。


(なぜ、わたしは、その神社が気持ちよかったのだろう?)


考えていたら、思い当った。


住吉大社は 海だ。
大鳥大社は、空だ。
枚岡神社は、山だ。


(大阪の地は、海と空と山を守る神様に抱かれている)


摂津国は海を。
和泉国は空を。
河内国は山を。


それぞれの境内の心地よさは、海と空と山。


わたしは、大鳥大社が気持ちよかった。
キーワードは「空」?


「海」も「山」も、守られている場所。抱かれている場所。
羊水に浮かんで胎内にいるような今までの自分から、解き放たれて、空を往く。


または、和泉の地に御縁をいただく。
それぞれの神様が見守ってくださるなか、和泉国の神様が、手招きしてくださった。


この直感を、信じて。


(神様からの手紙は文字のない手紙)


浜田えみな(つづく)


まだつづく!! 予告編


大鳥神社の神様からの手紙は、望郷の歌にあった。


やまとは くにのまほろば たたなづく あをがき やまごもれる やまとしうるわし


なぜ、わたしが「ことだま」に魅かれたのか。学び続けているのか。
この歌に、そのヒントがあった。

一気に書くつもりだったけれど、これ以上長くなると誰も読んでくれないので(哀)、渾身の力で誘惑を断ち切り、次回にする(泣)


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◆神社巡りのご案内


よしこさんが、この日の四社参りでご挨拶されたことは、今、されている仕事に加えて、


・神様とご縁をつなぎたい方を神社へご案内します。
・神話の講座をとおして、神様のことを皆さんにご紹介します。


ということだとブログに書かれていた。

さっそく、よしこさんと神様との約束が始まる。


「開運♪あかりに招かれて 神社仏閣☆幸(さいわい)☆巡り」


今回、ご案内されているのは、第一弾 「住吉大社堪能編」だ。
詳細及び申込みは、よしこさんのHPへ → 
「あかりアカデミー21」

ツアーは、3月3日 3月15日の 「初辰まいり」に合わせて行われるそうだ。


初辰まいりにお参りする四社の御神徳を見ると、事業や商売をされている人には、必要なものばかりだ。


そのうちの楠珺社では、裃(!)を着た招き猫の土人形を集める願掛けがある。
偶数月は右手(商売繁盛)、奇数月は左手(家内安全)をあげたものをそろえてゆき、四十八体集めて満願とし、繁栄を祈願するものだそうだ。猫好きな人にはたまらないかも。


住吉大社近くのお店に入ると、この招福猫を目にすることが多い。
初辰まいりの日は、ものすごい数の招福猫が売られているそうだから、「幸運の鍵」に囲まれて、よしこさんの笑顔も満開なことだろう。


たいへんな賑わいだと思うけれど、人生経験豊富で、聞き上手で話上手なよしこさんの明るく誠実なお人柄に、ふれてほしい。

神様やことだまのお話も、たくさん、飛びだすと思う。

よしこさんといっしょに、笑顔あふれる一日を。

笑いは祓いです。
神様からの手紙を、どうぞ、うけとってください。


*    *    *


◆ことだま初級講座のご案内


大阪では、3月9日(土)~10日(日)
10時~17時  大阪此花区民センターで開催されます。

詳細及び申込みは、こちらから → 命名言霊学協会HP 初級講座日程


ことだまのことについては、望郷の歌とあわせて、次回に詳しく書く予定です。
お楽しみに。