みみより日和


文筆で食べていくということは、
河原で石を売ることなのだろう。
誰が書いても等しく同じ文字を使って、
ただ、その並べ方を変えるだけで。


才能はどんぐりのせいくらべ。
ごろごろ転がる河原の石だ。


*    *    *


2月~3月は、ぜんぜんダメだ。
何をしていてもどこを見てもネガティブになる。


(冬眠したい)


「2月生まれなのに元気じゃないのはどうして? 誕生月は普通は元気なのに」
とよく言われるけれど、節分が過ぎると、本当に寒々・冷え冷えとした空疎な気持ちが続く。


一昨年だったか、年の天中殺のことを知ったとき、わたしの月の天中殺が2月~3月だと知って、心の底から納得できた。


時間があって空間がない。活動の場がない。天が味方しない。


(なるほど)


グラウンディングできていない気持ち悪さがずっと続くような、どうにもカンベンしてほしい気持ちで、息がつまりそうな、おぼれそうなヘタレな日々……。


どんなに寒くても、澄み渡るように蒼く冴え冴えと思えた宝石のような12月や1月の夜も、2月に入ったとたん、先の見えない霧のような重苦しさで石のように重く沈鬱な闇になる。


(しまった、もっと1月のうちに、がんがんやっておくのだった!)


と後悔することしきり。
だけど、もう2月になってしまったので仕方がない。


何を考えてもネガティブになるので、大事なことは決断しないでおこうと決める。
地道にやるべきことを坦々とこなす。
種をまく気にも育てる気にも花を楽しみにする気持ちにもなれないけれど、地面だけは耕しておく。


2月にこういう状態になるということを、すっかり忘れていたほど、ずっとテンションが高かったので(笑)、明日も週末も来週も再来週も、人と会う約束ばかりだ(汗)。


わたしがどういう状態であれ、セッションは一期一会。
そして、場のないところに場を拓くことが、鑑定で一番大切なこと だと、山下弘司先生から伝授していただいた。やはり私はことだまの神様にすくわれている。


空間のない月にあって、自分の言葉が着地できる場をいただけるとは。


そう思ったら、ちょっと元気になってきた。
明日からまた、たくさんの人とお話する。
運気鑑定のシートも、三年目にして初めて、オリジナルなものを作成した。
明日、初めて使う。 

わたしにとって、まるで温泉に入っているような癒しの空間・京都伏見のたゆたうカフェで、運気と家系のモニター鑑定をさせていただく。


*    *    *


以上は、前置き(!)


今日、パソコンの前に向かったのは、村松恒平先生の言葉を書きたかったからだ。

前述のように、ヘタレな日々を鬱々としながら、SBA大阪セミナーに向けて、村松先生とは着々と計画がふくらんでいる。


開催日も決まった。天中殺を超えた卯月の春爛漫。
このセミナーを皮切りに、2013年の浜田を見てくれ(笑)  と言えるよう、きちんと準備を整えたい。


そんなわけで、告知の文面を考えようと、最近の村松先生のメールマガジンを再読していたら……


「才能はどんぐりのせいくらべだ」


この言葉が、太ゴシック24倍角で迫ってきた。
前にも読んでいるはずなのに。そのときは、気にも留めなかったのに。

今、この言葉が響く。


わたしはきっと、この言葉で、一生、書いていくだろう。
村松先生は、そんな言葉を、くれる。


「才能はどんぐりのせいくらべだ」


(才能がないからなんて、言い訳にもならない)


*    *    *


メールマガジンには、つげ義春さんの『無能の人』の中の「石を売る」という作品についても書かれてあった。


~多摩川の河原で拾った石をその河原で売る男の話だ。
もちろん誰も買わない。~(メールマガジン 文章上達〈秘伝〉スクール 通算272号より) 


(あたり一帯に転がっている石の中で、その石に値段をつけて並べて売る?)
(そんなん、買う人がいるわけないやん。同じような石がタダで落ちてるのに!)


そう思った瞬間、頭の中の河原の石が、石ではなく、すべてが「言葉の塊」になった。


同じような言葉があふれかえる中、自分の言葉だけが特別だと思って売ろうとしている。
同じようなブログがごろごろしている中、自分のブログを読んでもらおうとしている。


(……)


痛烈な衝撃だった。


文筆で食べていくということは、河原で石を売ることなのだろう。
誰が書いても等しく同じ文字を使って、ただ、その並べ方を変えるだけで。


たくさんの河原の石の中で、拾ってもらえる石とはどういうものか。
売れる石とはどういうものか。
お金を出して買う人がいる石とはどういうものか。


わたしのやろうとしていることは、河原で石を売ることなのだろう。
つげ義春さんの作品を読んだことがないので、実際はどういう風刺が描かれているのかはわからないけれど。


才能はどんぐりのせいくらべ。
ごろごろ転がる河原の石だ。


(やってやろうやん♪)


浜田えみな


村松恒平先生のSBAオープンセミナー&表現の会スペシャル 4月13日(土)14日(日)開催です!