青空のゆくえ


ひとつになるために、透き通っていく
行動は「動の祈り」


書くことは「祈り」


*    *    *


青森県で「森のイスキア」を主宰されている佐藤初女さんの講演会に行く。


手元にある『おむすびの祈り 「森のイスキア」こころの歳時記』(佐藤初女著 集英社文庫)の第一章の扉を開くと、こんな文章が飛び込んでくる。


私、“面倒くさい”っていうのがいちばんいやなんです。
ある線までは誰でもやること。
そこを一歩越えるか越えないかで、
人の心に響いたり響かなかったりすると思うので、
このへんでいいだろうというところを一歩、もう一歩越えて。


二章の扉を開くと、


手を合わせて祈るのは「静の祈り」、同じことを心に抱きながら、行動するのが「動の祈り」だと思います。
私は、この生きている瞬間瞬間が祈りだと思っています。


*    *    *


佐藤初女さんの名前を聞いて思いだすのは、黒い海苔を巻いた、大きなまんまるのおにぎり。


食べるとは、いのちがいのちをいただくこと」
「調理は食材のいのちと心を通わせること」


こんなこともおっしゃっている。


「すべて、いのちあるものと接するときには、私は精いっぱいの心をつかいたいと思っています。それが人であれ、料理の素材であれ、同じことです。ですから、料理をするときには、まず素材の気持ちになって、常に心を通わせることを大切にしています」


野菜をゆでているとき、火のそばを離れずに見ていると、野菜が大地に生きていた時より、鮮やかな緑に輝く瞬間があるそうだ。


その時の茎は透き通っているという。


その状態をとどめるために、すぐに火を止めて水で冷やすと、おいしくて、体の隅々まで血が通うおいしい料理ができるそうだ。


私たちのいのちと一つになるために生まれ変わる瞬間、野菜は透き通るのだという。


初女さんは、それを 「いのちの移し替えの瞬間」 と呼んでいる。


蚕がさなぎに変わる時も、最後の段階で、一瞬、透明になるそうだ。

焼き物も、今まで土だったものが、焼き物として生まれ変わる瞬間に、窯の中で透き通り、全く見えなくなるそうだ。


いのちといのちが一つになる瞬間、すべてが透き通る。


「透き通るということは、人生においても大切なこと」
「心を透き通らせて脱皮し、また透き通らせて脱皮するというふうに成長し続けることが生きている間の課題ではないでしょうか」


こんなふうに話す佐藤初女さんに、絶対、会いに行く。


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ある線までは誰でもやること。
そこを一歩越えるか越えないかで、
人の心に響いたり響かなかったりすると思うので、
このへんでいいだろうというところを一歩、もう一歩越えて。


初女さんの扉の言葉は、背中を押し続けてくれる。この先ずっと。


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なぜ、表現するのか。
なぜ、伝えたいのか。


……
うまく伝わったときは、かくれみのの下にもぐりこんでいて、わからない。
伝わらなかったとき、「感情」となって、顔を出してくる。


伝わらなかったとき、どんな気持ちになるのか?
そのためにどんな対処法を取るのか?

それをひもといたとき、隠れていた目的が顔を出す。


【相手のことを思って行動した場合】


なんとかして伝えたいと願う。
伝わらないことで不自由する相手を思い、たまらなくなる。
なぜ伝わらなかったのかを考える。

言い方がわるかったのか。やりかたがまずかったのか。
プライドを傷つけたのか。タイミングが悪かったのか。


受け入れてもらえる方法を考える。

どうやって伝えるかを考える。


伝わるまで、伝え方を考える。
伝わると、喜びと達成感がある。


すべて相手のための行動だ


【自分のことを思って行動した場合】


がんばったことが伝わらない悲しさとむなしさでいっぱいになる。
努力をふみにじられた気持ちで怒りや悔しさが生まれる。

自分を認めてもらえないことに憤る。


相手に伝える方法よりも、収まらない自分の気持ちをなぐさめる。
認めてくれない相手を悪者にすることで自分を正当化する。
自分の行為を認めてくれる人に甘える。


受け取ってもらえない理由についてフィードバックしない。
認めてくれない相手に伝えることをやめてしまう。


自分のためにだけ行動している。


*    *    *


伝えたいと思ったことが伝わらないとき、すぐに後ろ向きになって、あきらめてしまうわたしは、


(自分のためにしか行動していない)


と気づいた。
だから、簡単にやめてしまえるのだ。


創作でたとえるなら、
心の中に浮かぶオリジナリティの世界を、なんとかして外に出そうとする熱意は、読んでおもしろいと言ってくれる誰かのためにヒートアップする。


絶対おもしろいんだ。
こんなのどこにもないんだ。
今まで誰も読んだことのない話なんだ。
わたしにしか外に出せないんだ。


そんな気持ちで、作家は執筆していると思う。


本当に相手に伝えたい気持ちは、どんなことをしても、伝えなきゃダメなんだ。
伝わるための表現方法やスタイルを模索していかなきゃダメだし、タイミングも大事。


すぐにやめてしまえるなら、簡単にあきらめられるなら、自分のことしか考えていない証拠。
目的から洗い直したほうがいい。
そう思った。


(なんのために書きたいのか?) 


耳に聞こえのいい言葉や、あたりさわりのない言葉に逃げずに、


(絶対にやめない理由)


を持てたとき、最後までやり抜くことができるのだろう。どんなことをしてでも。


(やめられない)


***


行動するのが「動の祈り」
生きている瞬間瞬間が「祈り」


わたしは、動いていることが好きだ。
それは「祈り」だったんだ!


初女さんの言葉を胸に、書き続けていく。


(書くことは、祈り)


浜田えみな


佐藤初女さんの講演会の案内はこちら → 夢を叶える学校「イベント案内」
握手していただけたら、うれしいなあ(^^)