まるで、いっしょに植えた種が、
土の下から、むくむくと芽をもたげようとして、
ちょっとだけ
顔をのぞかせた白緑色の輝きを発見したみたいに、
嬉しそうに、自慢そうに、ニコニコと
* * *
「おかあさん、おかあさん、ちょっと、けぇはえてきた」 ひゃはははは。
と、とても、うれしそうに見せに来た。
(うれしいんやー)
と思ったのが、第一声。
(えええっっっ)
と思ったのが、第二声。
けぇって言った? 今?
「ちょ、ちょっと、見せて」(狼狽)
「いやー」
(いやーって、見せに来たんちゃうの!)
お風呂あがりの、まだ湯気の立つ体をよじって逃げていく。
はずかしがるのを追いかけて、どれどれー と思ってみるけど、どこにもそんな徴候はない。
「え? どれ?」
「これ……」
「えええっ? 明るいところに来な見えへん。こっちおいで」
「ややあ」
「あかん、ほら」
と、廊下の暗がりから、ちょっと明るいところに連れ出して、よくよく顔を近づけて目をこらしたけど、
(どこ?)
よーくよーく見たら、産毛?よりもまだ薄い体毛のようなものが、あるといえばあるし、ないといえばない。
鼻の下の産毛のほうが、よっぽどしっかり生えている。
何も言われなければ(言われても)、まったく気づかないけれど、コツメが「あっ」と思ったのだから、いつもとはちがう光景なのだろう。
それは、ふよふよとして、うっすらともしていなくて、細くて薄くて、影よりも薄かったけど、それでも、コツメは (!)って思ったのだ。
思って、すぐ言いにきたのか、昨日、オフロで洗うときに気づいて、今日、もう一回たしかめて、やっぱりあるから、(わー)って思って、どきどきしたから来たのか、それはわからない。
でも、その変化を、(やだなあ)とか、うしろめたいことのように思って、自分の中に隠さないで、すごく嬉しいことがあったみたいに、わたしに教えてくれたことを、本当に嬉しいと思う。
意識して子どもと関わってきたわけではないし、いい母親とは言い難いのに、こんなに素直に育ってくれて本当に感謝する。
まるで、いっしょに植えた種が、土の下から、むくむくと芽をもたげようとして、ちょっとだけ顔をのぞかせた白緑色の輝きを発見したみたいに、嬉しそうに、自慢そうに、ニコニコと教えてくれた顔が印象的だ。
まだ四年生だから、発育としては早いと思うし、親としては、びっくりするけれど、コツメ自身が、恥ずかしいことじゃない、悪いことじゃないと、成長する自分のからだを明るく受け止めている。そのことに逆に教えられた。
これから、そう遠くもない日に、生理も始まるだろう。
一生に一度しかない、その前後の気持ちをどう包んでやるかは、その子の女性性を左右する大きなことだと思う。
(わー。自信がない(汗))
コツメが戻ってきた。
「おとうさんに言ったらあかんで」
(あ。ナイショなんや)
「うん」
いったん、向こうに行ったあとで、また戻ってきた。マンガみたいだ(笑)
ニコニコしながら顔をのぞかせて、
「おばあちゃんにも、言ったらあかんで」
(そうなんや)
「うん」
「じゃっ」
おかあさんとコツメの秘密。
(うわー すげー)
嬉し― ひみつひみつ。
おとうさんにも、おばあちゃんにも、言わないよ!
(ブログに書いてますけど)
浜田えみな(つづく)
後半は、ここから展開する「不惑のアダージョ」編です。映画 観た人いますか?