「伝える」って、アクションを起こさせることだ。
* * *
棚には、二冊の本が置かれていた。
毎日、通勤電車の車内で目にするキャラクターが、そこにいた。
一冊読んで、
(きゃーっ)
二冊目をめくって、
(きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ)
とりこになった。
(ホンモノ観たい!)
で、原画展に行ってきた。
わたしは全く知らなかったけれど、「バムとケロ」は、もう、二十年近く前に出版された本で、五冊のシリーズになっているそうだ。
その最初の作品が『バムとケロのにちようび』。
子供たちに大人気の本なのだろうけど、オトナの絵本だよなあって思いながら、読んだ。
バムみたいに、だれか(彼だったり、子どもだったり)の世話をやき、見まもり、励まし、つつみこみ、すこやかな笑顔のために手をさしのべる喜びを感じながら、
ケロちゃんみたいに、感情のままに、全身で想いを表現し、遊びたいときに遊び、嬉しいときに笑い、困ったときに困った顔をして、泣きたいときに泣き、眠りたいときに眠る、まるごとの自分を無条件に愛されたいと、思っている。
ケロちゃんの無邪気なしぐさと表情は、(今、何歳であっても、どんな立場であっても)、こういう表情を見せる瞬間が、私たちにあることを、思いださせてくれる。
だれでもが、バムの部分と、ケロちゃんの部分をもっている。
だれかを、こんなふうに、愛することができる。
だれかに、こんなふうに、愛されている。
なんども出てくるおふろのシーンは、イヤなことやつまらないことを、洗いながしてくれるようで、サッパリするし、山のような、おやつづくりは、おいしそうで楽しそうで、うきうきする。
なによりも、バムの無償の愛が、読む人を勇気づけてくれる。
わたしを、原画展まで駆りたてたのは、二冊目の『バムとケロのさむいあさ』の中の一枚の絵だった。
ケロちゃんは、人間で考えると、二~三歳くらいの幼児レベルだろうか。やりたいことをやりたいようにやり、自分のこともあまりきちんとできず、バムの手を焼かせているのだけど、ある冬のさむい朝、裏の池で凍りついていたアヒルを、保護して家につれて帰ったときから、なんと、アヒルのかいちゃんのために、かいがいしく、まめまめしく、せっせと、動きまわり、お世話をする。
でも、かいちゃんには、ケロちゃんの一途な気持ちは、あまり通じず(笑)、疲れたみんなが寝てしまった間に
「お世話になりました」
の書きおきを残して、池にもどってしまった(!)
ショックで、まくらに顔をうずめて泣いているケロちゃんの、無防備なあたま・かた・せなか・おしり・あしさき……トイレットペーパーを使ってミイラごっこをしていたので……ぐるぐるまきの泣きじゃっくり。その、あまりの悲しみように、おろおろするバム。
そのシーンだけを見ても、
(それが何か?)
だと思われるだろうけど、
一冊目から、けろちゃんとバムに感情移入していた私の目に、まっすぐに飛びこんできた、けろちゃんの
“あたま・かた・せなか・おしり・足先のライン”
は、メガトン級に、いじらしくて、棚の前で立ち読みしていたにもかかわらず、枕にすいこまれていく熱い涙の、しめった感触までが、ほほに伝わってきた。
その、いたいけない背中を、いつまでも、さすってくれるてのひらの、あたたかさとともに。
愛したい。愛されたい。
まもりたい。まもられたい。
日々を元気に。日々を楽しく。
日々をおいしく。日々を嬉しく。
安心で。安全で。すこやかに。
願いであり、祈りであり、なくしたくないぬくもりと息づき。
そんな世界を、みつけてきた。
* * *
(どこで?)
そもそも、京都には「ひすいこたろう&白駒妃登美 出版記念公演会@京都」 を受講するために訪れたのだ。
それだけでも飽和しそうなのに、ランチに立ちよった店の一階の店舗で手にとった絵本から、講演後に京都駅に向かい、絵本作家二名の考え方にふれることになった。
ノート三十ページと、手帳十ページのメモ。
こんなにたくさんのメッセージを、どういうふうに料理していけばいいのだろう?
途方にくれている。
ゼロアーティスト養成講座の「最後のブログ宣言」もまだなのに(!)
「講座の余白」もまだなのに(!)
伝えるとは、どういうことだろう?
ゼロで七ヶ月間、たしかめてきたことも、ひすいさんが講座で提示してくれたメソッドも、みんな、つながっている。
自分の言葉で、相手に何かアクションを起こさせることができたら、「伝える」ことができたのだ。
バムとケロちゃんの絵本を手にとりたくなったり、美術館「えき」KYOTOに行ってみたくなったりして、行動を起こしてくれる人がいたら……
愛したい。愛されたい。
まもりたい。まもられたい。
日々を元気に。日々を楽しく。
日々をおいしく。日々を嬉しく。
安心で。安全で。すこやかに。
願いであり、祈りであり、なくしたくないぬくもりと息づき。
そんな気持ちを。
浜田えみな


