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『カレルチャペックの紅茶店のレシピ』 (山田詩子著 白泉社刊) 参照




イラストの三枚目で、ビュッフェのテーブルを描いているとき、


(食べものを描くのが好きだ!)


と思った。
ちゃんと、色をつけたいと思った。描いてみたいと思った。


そして。
文章ですくわれたのと同じくらい、食べ物や飲み物で、すくわれてきたことを、思いだした。
がちがちの心が。ひびわれた心が。こわれそうな心が。
どんな言葉より。
それは、あたたかいごはんだったり、味噌汁だったり、コーヒーだったり、あまいものだったり。


だって。
どんなときでも、ひとは、たべなきゃ、だめだ。
どんなたべものにも、光と水と大地と風がおりなし、育んだ力がある。
たべものは、生きる力でできている。
その声に、抱かれてほしいし、耳をすませてほしい。
人がつむぐ、どんな言葉より。
あたたかくて、やさしくて、大きくて、強い。


受けとってほしい。


なので。
オープンしました。(たぶん一日だけ)


cafe e mina


アイヌ語は、文字をもたないそうだ。


え みな 


あなたが 笑う
あなたの 微笑


たとえば。
今日は一人でいたくない。
何も話したくないけど、まっすぐ帰りたくない。
なんにもしたくない。

そんなときに、立ちよってください。

あなたの舌に、あなたの喉に、あなたのからだに。
光と水と大地と風と
やさしさとあたたかさが、とどきますように。


どんなときでも、だれかがつくってくれたもの。
だれかが、さしだしてくれたもの。


あなたの笑顔のために。


浜田えみな


*       *       *


オレンジティー & ジャム入りマフィン


紅茶は、なんでできている?
透きとおった水。どんなものでも浄化する水。おいしい水。
日当たりのいい斜面で、太陽の光をいっぱいに浴びて育った茶葉。
風に吹かれ、雨にぬれ、月と星の光に抱かれて、人の心をあたためる夢を、いつも見ていた。
カップを抱えこむと、そのメッセージが伝わってくる。


オレンジは、なんでできている?
毎日、おひさまとお話しながら、まるくまるく、黄色く黄色く、たわわにたわわに、育ってきた。
いつも笑って、いつも元気で、みんなと一緒で、何があっても、〈守られている〉記憶。
小さな木いっぱいに実をつけるオレンジは、見る人を幸せな気持ちにする。
オレンジの匂いは、いつもなつかしくて、安心で、大丈夫だよと、言ってくれる。
力を抜いていいんだ。無邪気になっていいんだ。ひとりで頑張らないでいいんだと。


ジャムは、なんでできている?
実り。熟した実。たった一粒の種が生育した歓びで、輝いている実。
どんなものでも、やわらかく、ゆるめる砂糖。
浸透する時間。コトコト煮つめる時間。
今、必要な時間を、いちばん必要なかたちで、手にすることを教えてくれる。


*       *       *


『カレルチャペック紅茶店のレシピ』(山田詩子 白泉社刊)は、絵本の国のお茶会の本です。
わたしは、コーヒー党で、紅茶は飲まないので、山田詩子さんのことも、この紅茶専門店のことも知りませんでした。だけど、この本をめくると、カップを手にとり、その湯気に鼻をうずめてみたくなります。
そして何よりも、思わず、描きたくなる焼き菓子が満載で、気がついたら、描いていました。
レシピは、14ページに掲載されています。