「う」の音は、
受けいれたものを、浄化し、熟成して、生みだしていく働きがある。
「い」の音は、いのち。
「う」は、いのちを受け入れて、浄化し、熟成して、
もっと素晴らしい、次のいのちを誕生させる。
これが、「え」のことだまにつながる。
* * *
禅タロットカードの、虹のクイーンは、「開花 FLOWERING」
真円の光の輪。満開の桜ふぶき。陰と陽が融合した豊かなに波うつ髪。
いろとりどりの花の髪かざり。虹の腕輪。
萌える緑のスカートは、春の訪れをつげる花々が満開だ。
楽しげに、うずまきを作る水の上に浮かぶ、濃いピンクの蓮の花。
ゆったりとあぐらをくんだ彼女は、
いのちの祝祭に、手を打ち鳴らしている。
彼女の腹は、くびれた下腹部の皮がたるみ、
まるで出産を終えたばかりの妊婦のようだ。
まなざしは、慈愛に満ち、その微笑は、バラいろに紅潮して、
透きとおっている。
二つの乳房は、今にも乳があふれそうに、はりつめている。
彼女の衣のたもとには、たくさんの種が入っていて、
風が吹くままに、幸せをまきちらしている。
全世界が、祝祭の宴をわかちあい、
生あるよろこびに、躍動し、酔いしれている。
「豊かに生きる」「全面的に生きる」
「強烈に生きる」「最大限に生きる」
「あふれ出るように生きる」「つきぬけるように生きる」
「あまねくように生きる」「わかちあうように生きる」……
すべてが肯定され、ゆるされ、歓びと、感謝と、あふれる愛で、
おもいのまま!
* * *
「え」のことだまは、「枝」 「枝わかれ」 の意味をもち、
「発展」「成長」「繁殖」のことだまだ。
枝は、枝わかれし、その先に、葉が出て、花が咲き、実がみのる。
これから、発展していく兆しを伝える、すばらしいことだまだ。
女性に「え」の音の名前が多いのは、
子どもを産み育てるという働きを、
生まれながらにもっているからだという。
えけせてねへめえれ… え段のことだまには、
どの音にも、その根底に、発展と成長をうながすはたらきが、ながれている。
え段のひびきを持つ人に出会ったら、
今やっていることが、展開し、大きく成長するとき―
からだの成長に必要なものは、
バランスのとれた栄養ある食事。
たましいの成長に必要なものは、
信頼と慈愛にみちた、心からの、ことばかけ。
(ゆ)
* * *
十年前に書いた。
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リクトへ
おっぱいをごくごく飲んで
おなかがいっぱいになって満足して
自分から離した小さなくちびるから
「うぇ~」とか、「ほー」とか
やすらかでやわらかな音をもらす
うれしい! 満腹のサイン
横抱きにしていた体を支えなおし
膝の上で正面を向かせて
顔と顔をつきあわせる
「おなかいっぱい?」
瞳をのぞきこむと
満足でとろけそうな二重まぶたを
長い睫毛でおしあげながら
大きな瞳を、いっぱいにひらく
まだ少し不安定さの残る頭をゆらし
スローモーションでほどけていく結び目のように
くちびるの端が 上がる
ほっぺたの肉が
きゅうくつそうに 押しあげられる
それはそれは、嬉しそうに
ついさっきまで、言葉も耳に入らないほど
泣きさけんでいたのにねぇ
にらめっこは、いつもリクトの負け
ぴょいぴょい膝を曲げて
からだ全部で 笑ってしまうから
でも、ほんとはお母さんの負け
だって、お母さんはもう
心のかたちが、とけだしてしみだして
いつだってあふれてる
指の先からも 膝の上からも
おっぱいからも まなざしからも
いとおしくてたまらない
リクト
小さなからだじゅうのパワーを
全部あつめて
だれより強い力で
まっすぐ お母さんの顔をみつめてくる
負けないように
がんばって見つめかえしているけれど
その無邪気な瞳に
(私があなたの母親でいいのかなあ)と
いつもドギマギしています
私を、試すことも図ることもしない
素直な素直な瞳
心の底からいとおしいリクト
何をしても「すごい」リクト
笑っても、さわっても
破いても、つかんでも
おしっこしても、うんこしても
「すごい」リクト
そのしぐさの一つ一つを
追いかけて見まもって
ほめて騒いで抱きあげて
止めることも叱ることもない
ただ、応援してる
でも、そのうちに私はあなたに
してはいけないと 言わなくてはならなくなる
これはダメだと 止めなければいけなくなる
どうしてそんなことをするの? と
非難するかもしれない
覚えていてね、リクト
どんなにあなたが愛されているか
暖かなまなざしだけで 包まれていたか
かけがえのないリクト
今日 初めて寝がえりできたね
お父さんとお母さんの見ている前で
あたたかい日ざしのさしこむリビングで
白いスムースキルトの肌着のままで
おむつを替えおわって
あっというまに、反転していたね
びっくりして、思わず顔を見あわせる
お父さんとお母さんの前で
リクトは、
まるでこんなこと、
「ずっと前からできていたよ」ってそぶりで、
はらばいの胸を しっかりと張って
頭をあげて 得意そうだった
「がんばったねー、リクト!」
いつも、こんなふうに声をかけてきたよ
「がんばったね、がんばったね」
小さな肩を だきしめてきたよ
寝がえりできたリクトのがんばりに
お母さんも、あなたのことを書きのこしておこう
やさしい気持ちだけで リクトを見ている
今の 今の お母さんの気持ちを
もしも、この気持ちを 忘れてしまっても
いつでも思いだせるように
(H12.1.3)
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