地球村研究室

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厳しい地球環境制約の中で心豊かに暮らすには?沖永良部島で実践しながら考えたいと思っています!!

 今年こそは9月末には畑を仕上げて冬野菜を・・・と思っていたものの、何やかやと優先しなければならないことがあり、10月も末になってやっと種まきを終えました。

何を優先しなければならなかったか・・・一つはワインセラー、6月から始めた工事で、出だしはこちらの都合でぼちぼち進めていましたが、セラーの本体が出来ると、それに土を被せて、さらに石垣積みをしなければなりません。これは一人ではとっても無理! 御近所さんがユンボを借りてくださり、効率よく一挙に片付けなくてはなりません。もらってきたサンゴ石にロープを掛けユンボで釣り上げてもらい、全速で走って石を受け取り所定の場所に、これを繰り返すのです。何と3㎏も体重が減りました。加えて11月9日にバックキャスト本出版が決まり、最終原稿に終われ、コロナ禍での11月15日の沖永良部発 第1回島暮らしデザイン・フォーラム開催などなど(実は年内お約束で、さらに2冊の本を書き上げなくてはならないのですが・・・)で追われていました。『折角、島暮らしを楽しんでいるのだからのんびり無理をしないでくださいな』と、温かいお言葉を頂くことも多いのですが、いつもその続きがあって、『でも、お願いした原稿だけは、納期までに宜しく』なのです。ワインセラーは8割まで完成です。後は表にもう少し石積みをしてから内装です。年内には完成させたいとは思っているのですが‥‥どうなりますか…

 菅総理が初の所信表明演説で2050年カーボン・ニュートラルを宣言した。温暖化の原因となる温室効果ガス(人為的に発生する二酸化炭素など)をゼロとし、脱炭素社会を目指すことを国民に約束したということだ。すでに世界では多くの国や自治体で「気候非常事態宣言」をし、2030年カーボン半減、2050年カーボン・ニュートラルに取り組み始めているが、やっと日本も重い腰を上げ、これでスタートラインに立ったという印象である。

 ただ、そのためのアクション・プログラムは年末をめどに作成するということであるが、それ程容易いものではない。特に二酸化炭素を削減するための施策、例えば再生可能エネルギーの導入や植林による二酸化炭素の吸収などという施策だけでは、カーボン・ニュートラルは達成できないことがすでに分かっており、全方位的なプログラムの策定が求められている。

 欧州では今年3月に「欧州新産業戦略」を発表したが、そのうちの重要な柱が昨年12月に発表された欧州グリーンディール政策である。これは、脱炭素と経済成長の両立を図り、2050年カーボン・ニュートラルを目指すもので、その主要な施策が「サーキュラー・エコノミー(循環型経済:CE)」である。CEを推進している、エレン・マッカーサー財団のレポートによれば、化石燃料から再生エネルギーへのシフトだけでは温室効果ガスの削減効果は55%に留まる。鉄・プラスチック・アルミニウム・セメントの4領域でCEを進めることでさらに40%削減でき、これに食料のCEを加えることで49%の削減につながり、再生可能エネルギーと合わせて2050年にカーボン・ニュートラルを達成できるという。具体的には、商材を利用者がシェアし、修理して長寿命化し、それでも使えなくなれば部品のリユースを図り、最終的にはリサイクルすることで、自然界にある枯渇性資源を可能な限り使わないという考え方である。同時に食料も安全・安心を前提として健康的で持続可能な食生活への移行を図り、廃棄段階では肥料等の原材料としてオーガニック土壌を増やし、あるいは発酵させてバイオガスを採るという戦略である。今年5月には、食品産業部門に関して、化学農薬を2030年までに半減させるなどカーボン・ニュートラルを進めながら経済成長を両立させるためのより具体的な「農場から食卓まで Farm to Fork」施策も発表された。

 要するに、対処療法的な対策ではとてもカーボン・ニュートラルは達成できず、ものつくりや暮らし方の原点からの大きな変更が求められる。商材は再生、長寿命、製品のサービス化が前提となり、大量生産という概念は希薄になるということであり、故障すれば買い替えを前提とするような商材は存在できなくなる。そうなるとものつくりの根本からの思考の変更が必要になる。シェア・修理・長寿命・リユース・リサイクルが重要な商材の性能となるからだ。

 欧州生まれのCEはとても先駆的な政策であることは事実であるが、現実的にはバージン原料を使った方が安くできるなど、欧州内でも議論が沸騰している。特に、コロナ対策としては幻想であるなどという日本の評論家もいるが、これは20年30年という時間をかけなくてはならない政策であることをあらためて認識する必要があろう。ただ、それでもCEには一つ重要な視点が欠けている。それは、生活者教育である。今回のコロナ禍で明らかになったように、生活者が三密を意識をするだけで温室効果ガスを30%も削減(英・米・日)出来たのだ。生活者自身がバージン原料を使ったり、修理できない商材を拒否し、生活者自身が大量消費という概念を捨て、少し手間のかかることを楽しみとした食文化や日々の暮らしを大切に思う環境が出来れば、それ程長く時間を掛けなくてもカーボン・ニュートラルが達成できるのでは無いかと思うのは楽観的過ぎるだろうか。そして思うのである、離島に暮らし始めて学んだ多くのことは、まさにちょっとした不自由さを楽しむ豊かな暮らし方のかたちなのである。これこそが世界が求めている暮らし方の手本なのだ。それを、分かち合い、子供たちに伝えることもカーボン・ニュートラルへの大事な一歩ではないかと思う。

  8月初めから庭の小山を掘ってワインセラーつくりを始めた、あれからほぼ3か月・・・詳しくはあらためて報告させて頂くが、これが何とも大変。。。。。基礎をつくって、内壁をつくって、外壁をつくって、内壁と外壁の間に鉄筋を何本も入れて補強し、セメントを流して固めるのだが、何せすべてが初めてのこと、毎日ヘトヘトになりながら、本日やっとセメントを注入すればとりあえずシェルが完成するところまで到達!! 今日は(姫は今日から出張中なので)一人でBARBARESCO(MANFEREDI)を開けて、キノコたっぷりのカチャツーラをつくってお祝い!!(笑) 本当にワインセラーとして使えるのか・・・自分でも少し心配。。。(大笑) これだけ手間をかけてただの倉庫にはしないぞ!! と意気込みだけはあります!

  9月のはじめ、日経新聞夕刊「人間発見」で5回の連載をして頂きました。昔話は苦手で、決して「過去のことなど未来に通用しない」などとカッコヨイことをいうつもりなど毛頭なく、自分の人生本当に遠回りばかりで恥ずかしくて今まで殆ど誰にもお話ししたことは無いと思います。今回、日経の記者さんが島にわざわざ来て下さり、2日間にわたり徹底的に取材し纏めて頂きました。もう懲り懲りですが、記念に記事をアップさせて頂きました。

 

沖永良部島の知名町が9月29日気候非常事態を宣言した。4R(ごみを減らすためのリデュース、再利用するためのリユース、再資源化のためのリサイクル、ゴミになる素材を使わないリフューズ)の積極的な展開、再生可能エネルギーの導入とエネルギー自給率の向上、豊かな自然環境の保全・再生を通して2050年二酸化炭素排出量ゼロを目指すものだ。国内では38番目(県市町村)の宣言であり、心からエールを送りたい。

気候非常事態宣言とは、国や、自治体、学校、団体といった組織が気候変動が異常な状態であることを認める宣言を行うと同時に、気候変動を緩和するための積極的な政策を打ち出すことによって、市民や事業者などの関心を高め、気候変動への行動を加速させるものである。世界で最初に宣言を出したのはオーストラリア・デアビン市で2016年12月に議決にこぎつけた。その後、欧米に拡大し、特に2016年に熱波で93人が死亡したカナダのケベック州では300以上もの自治体がこの宣言に参加し、世界では現在1700余りの自治体と30ヶ国が気候非常事態宣言を行い、そこに住む市民の合計はすでに8億人を超えた。

  日本では、長崎県壱岐市が2019年9月に初めて気候非常事態宣言をし、神奈川県鎌倉市がそれに続き、長野県、神奈川県は県としての宣言をした。壱岐市は、内閣府の「SDGs未来都市」にも選ばれており、気候変動による自然災害が顕著になってきたこと、そして海水温の上昇により、魚の住処となる藻場が大幅に減少したことが全国に先駆けて宣言を出したきっかけだったと聞く。すでに温暖化が環境という側面だけでなく経済的にも大きな意味を持ってきていることの表れだろう。

気候非常事態宣言を取りまとめている世界的な組織はCEDAMIAであるが、日本でも11月に「気候非常事態宣言とカーボンニュートラル社会づくり支援ネットワーク(略称;気候非常事態ネットワーク(CEN)」が発足予定でその準備が進められている。

  地球環境問題の中でも地球の修復能力を大きく超えているのが生物多様性の劣化と温暖化による気候変動であり、2030年頃までにしっかりとした対応が取れなければ、文明崩壊の引き金を引く可能性のある喫緊の課題である。地球温暖化の脅威は、単に地球の平均気温が上がるということではない。温暖化とは、ある所では熱波が襲い、ある所では寒波が襲い、ある所では豪雨が続き、ある所では干ばつが続くという気候崩壊のことである。産業革命以前を基準として地球の平均気温が2℃以上上がればその可能性が極めて高くなるため、何とか2℃未満、出来れば1.5℃未満に気温上昇を抑えたいというのが世界的な合意事項であるが、すでに1℃以上気温は上昇しており、1.5℃未満に抑えるには2030年までに二酸化炭素のような温室効果ガス発生量を半減、2050年には発生量をゼロにしなければならない。さて、どうやってそれを達成できるだろうか?

 もちろん、再生可能なエネルギーを積極的に採用し、あらゆるものを循環させるというのが基本的な方向であることに間違いはないが、その基盤となるものはライフスタイルを変えるということである。今回のコロナ禍で、日本では二酸化炭素の排出量が30%も削減された。新幹線は1時間に1本、飛行機は1/10に、通勤は無くなりサラリーマンはテレ・ワークで仕事・・・私たちが暮らし方を変えるだけで、最先端のテクノロジーを導入することなく30%もの二酸化炭素を削減できることを証明した。無論今回は「我慢」という制約下での行動変容であったが、これを我慢ではなく、ワクワクドキドキするようなオシャレな、喜ばしい制約に変えてやれば、心豊かなライフスタイルを楽しみながら30%以上の二酸化炭素の削減はきっとできるだろう。このようなライフスタイルを前提として再生可能エネルギーの導入やあらゆるものを可能な限り循環させるという社会システムを採用することで2050年温室効果ガス排出ゼロに向かえるのだと思う。

沖永良部島全島、さらには奄美群島全域で「気候非常事態宣言」を発し、連携したアクションプログラムの策定と実行ができれば、それは間違いなく未来の子供たちのバトンとなり、世界中の人々の憧れのエリアにもなることだろう。

  酔庵塾の米つくり部でお米を作り始めて今年で3年目、題して「酔庵米」。今年はジャンボタニシに部分的にやられて発育に凸凹はあったもののおいしいお米が取れました。もちろん無農薬、湧水100%栽培、有機肥料を使って、稲架天日干しです! まだまだ売れるほどの量は収穫できませんが、米つくり部の貴子部長は「来年は作付け面積を2倍・・・」などと申しております。部長の提案で今年は2つの子供園に10㎏づつを寄付させて頂きました。給食1週間分ほどの量でしかありませんが、早速「おいしかった!」との連絡を頂いたようです。

  水と土から一粒のお米(モミ)から500粒ものお米がとれるなんて、やっぱりすごい! たった6粒のお米でお茶碗一杯のお米に生まれ変わるなんて本当にマジックです。自然ってすごいな! 来年も3月の田植えが楽しみです。

 

  コロナ禍で日本経済は大きな打撃を受けている。実質GDPは年率換算で27.8%(4-6月)減で、リーマンショックの17.8%を超えて戦後最大である。GDPの過半を占める個人消費は外食や旅行などのサービス業を中心に急減、過去最悪の落ち込みを示し、完全失業者と休業者を加えた不完全雇用率は11.5%、非労働人口として4月に労働市場から退出した人を含めると12.6%にも達するという、無論戦後最大の失業者数である。特に失業者の多くが、サービス業を中心とした労働集約的なところに集中しており、製造業に打撃が大きく及んだリーマン時に比べると雇用回復にも時間がかかる。さらに失業者の1/3は観光業(6月)である。

   多くのメディアではインバウンド(訪日外国人)の急減が大きな問題のように取り扱っているが、いくつか別の視点もあるようだ。確かに訪日外国人数は1月は昨年並みの266万人だったものが4月2900人、5月1700人、6月2600人と昨年比99,9%の減少である。一方市場としては、観光業28兆円のうちインバウンドは17%の4.8兆円、日本から海外旅行などで海外市場に出てゆくお金が約3兆円なので、差し引き26.2兆円は日本人観光者が創った市場である。これを取り戻すことが大事だと星野リゾート代表の星野さんが提唱しているのがマイクロ・ツーリズム(ご近所旅)だ。コロナ禍で他県をまたいで観光が出来ない今、地元のおいしいものやすてきな場所の再発見が出来れば、観光産業が事業者だけのものではなくて、みんなが参加できて楽しめるものに変わっていくはずだという提案である。こういう観光から26.2兆円を取り戻す足場をつくろうというのは素晴らしいと思う。

  ただ大事な点は、人は『非日常』を楽しむために観光するということである。今まで当たり前に見えていた地元の景色が違って見えたり、日々当たり前に頂いていた食材が予想もしなかった料理に変身したり、あるいは初めて知る地元の歴史の中に非日常を見つけ出すということもあろう。その工夫が無ければ、マイクロ・ツーリズムは成功しない。

  今回のコロナ禍で沖永良部島でも多くのサービス業の方々が大変な努力の中で島人に島の素敵を提供する企画を展開している。島人御婦人グループが、あるいは家族で島のホテルへ泊まり、旨い食事をとり、夜通し盛り上がったとか、子供たちが初めてケービング(地底探検)をして感動のあまり泣き出してしまったとか・・・ ホテル宿泊、ダイビング、SAP,魚釣り、ケービング、エコツアー・・・非日常なのである。そんな中、さらにすごい企画が進行中である。小学校の修学旅行を従来の沖縄ではなく島内に変更しようというのだ。『ちゃーま(ちょっと)旅』という企画だ。マイクロ・ツーリズムよりもっと小さいナノ(マイクロの1/1000)・ツーリズムともいえる。

 持続可能な島つくりには2本の柱が必要である。一つは自足、エネルギーも食も学びも経済も出来る限り自足すること、そしてもう一つの柱は、島自慢できる島人を増やすことである。島自慢が出来れば、島はもっと憧れの島になる。それはわかっていても、多くの島人は昔は良かったと言い続け、子供たちは自然と人が素敵と言いながらそれを深くは理解できていない。10分間島の素敵を話せる子どもはほとんどいないのが現実だ。しかし、修学旅行は良い、皆で議論しながら島の非日常を探す、島の魅力を再発見することで島のアイデンティティーを確立することにもなろう。島を誇りに想い、島自慢できる子供たちが大人になったら… 島は間違いなく島人にとっても島外の人にとっても憧れの島になり、少子化、高齢化、人口減少など、過去の語り草になっているのだと思う。

  大変なコロナ禍ではある、でもそこから学ぶことも沢山ある。元に戻すのではなく、新しいアイデアが苦労している人たちからふつふつと湧き上がってくることに大きな感動を覚えるのは私だけではあるまい。ちなみに『ちゃーま(Charma)』とは、英語でスパークリングワインつくりのことである。小さな泡が湧きたつように、次々と新しいアイデアに包まれたいと思う。