鳥取二日目。
せっかく一日フリーなので何をしようかと考えた。
鳥取と言えば砂丘。
そんなに期待はしてなかったけど、せっかくだし行こうかという程度。
でも宿の方とお話していて、早朝に行くとまだ誰も足跡をつけてない砂が見られるかもしれないと教えてもらい、テンションが上がった。
無人の砂の上なんてロマンチックでなかなか出来ない経験かもしれないと思い早起きしようと決めたら、4時半には目が開いた。
国道9号の海岸線をひた走る。
左手にキラキラした海が見えて、すぐそばに広がる田園も見えた。
こんな美しい風景を見たことがないと思うくらい綺麗だった。
早朝から波乗りをする人たちも見えた。
空いた道のドライブを楽しんでいると、鳥取砂丘にあっさりと到着した。
向こう側の見えない階段に期待は高まる。
遠くに二人ほどおられるので広さがわかりますでしょうか。
すごく広い。
とにかく広い。
私は裸足になり、ひたすら歩いた。
見渡す限り砂の風景で、距離感がわからない。
細かくて綺麗な砂が素足に気持ちいい。
ようやくてっぺんに登り見えたものは、
海だった。
穏やかな日本海を一望できる。
少しだけれど風紋を見つけることができた。
気がつくと誰もいなくて、砂丘を独り占め。
本当にひとりになって、てっぺんから海を見下ろして、ずーっと海を見ていた。
何も考えない時間。
心が自然と無になった。
気持ちがいい。
これが必要だったと感じる。
心ゆくまで、誰かを気にすることもなく過ごす。
時間を湯水のごとく使う。
これが本当の贅沢なのかもしれないと思った。
ーーー なんでこんな砂丘ができたのかなあ?
思いがけず、鳥取砂丘に魅了されてしまった。
母に写真を送ると、父と何度か行ったことがある、懐かしいと返って来た。
けっこうな急勾配なのに登ったのか聞くと、それは出来なかったと。
ラクダに乗るのを勧めたが乗らなかったそうだ。
父と母が二人で旅行に行ける余裕が出来たのは70を超えてからだから、体力的に出来なかったことも多々あるのだろう。
私は父の代わりに砂丘のてっぺんで父のように過ごせただろうか。
ちょっとしんみりしたけど。
お次はここ。
浦富海岸クルーズに行ってみた。
入り組んだリアス式海岸を島々を見ながら船に揺られる。
揺れる波に歓声を上げたり
鳥取の海の色はまるで沖縄
山陰地方って海のイメージないけど、今まで見た中でも上位に入る海の美しさだった。
誕生日を迎えて決めたことがひとつあって、
毎日(無理に毎日でなくてもいいけど)何かしら新しい今までしたことのないことをやってみようと思っている。
これをしないと困るかもとかそういう、恐れからの行動ではなくて、単純に楽しむために、好奇心の赴くままに行動してみようと思う。
有限の命を、自分なりに謳歌しようと思っている。
そして、立ち寄った白兎神社。
2人の砂像。
どんな会話をしてるんだろ。
運転しながら八上姫について考えてみた。
最初は荒々しい八十神の中から結婚相手を選ぶものだと思っていた八上姫だけど、大穴牟遅命の優しさと群れない強さを感じてハッっとしたのかもしれない。
強引にやり込めるだけが強さではないと。
そう言えば鳥取島根というと、神話の舞台が多くある。
お宿に置いてあった古事記を読んでみた。
スサノオや大国主命は苦難の道のりを朗らかに前向きに歩いている。
いろいろな助けを受けながら。
昔読んだときとは印象が全く違って感じる。
鳥取には神話をなぞられた場所が多く点在している。
赤猪岩神社や清水井、母塚山など「再生神話」ゆかりの地など近くにあり、
大穴牟遅命をめぐる旅もいいかもしれないと思った。
そして今夜の宿に出逢う。
お宿はこちら、「木屋旅館」。
続く。