【有馬記念】内田ゴールドシップ、最後方から大まくりで3冠締め | スポーツは筋書きのないドラマ

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人馬一体となった走りでライバルたちをねじ伏せた。内田の両腕が動き始めた3コーナー過ぎ。最後方を追走していたゴールドシップが馬群の大外を一気に加速した。10番手までポジションを上げて、10万人を超す大歓声に包まれた直線へ。確信に満ちた右ステッキに応えて、躍動感はグングン増していく。他馬が止まって見えるほどの勢いで、内の馬群をのみ込むように突き抜けた白い馬体。1馬身半という着差をはるかに上回る強さを感じさせる圧勝だった。

高々と左腕を突き上げた後、首筋をポンポンと叩いて愛馬をねぎらう鞍上。引き揚げてくるとホッとした表情を浮かべた。「強かったですね。頭が下がります。少々外を回っても、この馬の力なら突き抜けるんじゃないかと思いました」。信頼していた通りの結果を導き出した人馬に「ありがとうという気持ち。本当に感謝です」と須貝調教師。検量室前で待機していたが待ち切れず、馬場まで迎えに出て言葉をかけた。

特別な1年だった。昨年5月11日の大井競馬で落馬し、頚椎歯突起を骨折。辛く、厳しい時期を乗り越え、8か月半後の今年1月28日にようやくターフへ戻ってきた。その2週間後、共同通信杯で重賞初タイトルという大きな“勇気”をくれたのがゴールドシップ。結果的にJRA移籍後、自己最多となる重賞8勝を挙げた充実の1年をともに歩んできた。「自分でも怖いぐらい。うまくいきすぎてます」。昨年はテレビでオルフェーヴルの圧勝を見ていた暮れのグランプリ。皐月賞、菊花賞の2冠を手に入れ、1年後にその主役になっているとは、誰が想像できただろう。

来年は海外遠征の選択肢はなく国内に専念する予定。始動戦は未定だが、春シーズンは天皇賞と宝塚記念が大目標になる。もちろん、内田の視線もすでに先を見据えている。「来年がすごく楽しみ。素晴らしい馬になると思う」。次元の違う豪脚で3つ目のタイトルを手に入れたグランプリ。歴史に残る名馬へ―。多くの夢と希望を乗せた“黄金の船”はまだ出航したばかりだ。