強くしなった鉄棒のバーから、伸身2回宙返り2回ひねりの「新月面」で飛び出す。内村は大きな弧を描いてピタリと着地。100年以上の歴史を持つ世界選手権で、誰も成し遂げられなかった3連覇の快挙にふさわしい姿だった。
ゆかの3回ひねりを手始めに、次々と着地を決めた。本人も「(つり輪と鉄棒を含む)3種目で決められたのがよかった」と自賛。しかし、直後に「全種目で決められていないのが来年の課題」と言った。わずかに弾んだ跳馬と平行棒に満点を与えない姿勢が、王者をここまで強くした。
昨年大会は左肩痛、今回は疲労で両足がつる不安を抱えたが、それもねじ伏せた。予選と団体決勝を含め、全選手中ただ一人18種目を演技。現在の採点方式では驚異的と言われる合計90点以上を、1週間足らずで3度も並べてみせた。
3連覇の感想を問われると、「点数は気にせず、一つ一つを丁寧にやろうという気持ちが結果につながった」とだけ言った。目標だった「団体で金」が果たせなかっただけに、破顔一笑とはいかない様子だ。
昨年、2点あまりだった2位との得点差は、3点以上に広がった。3度落下しても、まだ優勝が狙える数字。ロンドン五輪だけでなく、その先も―。「内村時代」は、まさに全盛期を迎えている。