武豊から、笑みがこぼれた。「今日はまっすぐ走っていたね。体調が良くないときは、調教で右にモタれる癖がある。菊花賞(2着)も日経新春杯(3着)もそうだった。(優勝した)ジャパンCのときはまっすぐ走っていた。今日も良かったよ」
春の天皇賞は、1989年から4連覇。その後も99、2008年に優勝(2着は5回)するなど、通算6勝を挙げる“平成の盾男”も、06年ディープインパクトを最後に古馬最高峰のタイトルから遠ざかっている。
「盾男? ずいぶん昔の話じゃないかな」と苦笑するが、本音であるはずがない。「天皇賞はすごく重みのあるレース。強い馬でないと勝てない。菊花賞でも折り合いはわりとついたし、強い世代の2歳チャンピオン。去年のジャパンCの勝ち馬でもある。ここ2戦は勝ってないけど、今度こその気持ち。この馬を天皇賞馬にしたい」
第一人者が、意地と技術で再び、NO1ホースに押し上げる。