東京ドームに詰めかけた3万4722人の観客がどよめいた。それだけ衝撃の本拠地先発デビュー戦だった。
「オープン戦にもかかわらずこれだけ多くのお客さんが来てくれた。期待に応える投球をしようと思った」。最速149キロにカーブ、スライダーも駆使して4回無失点4三振。初々しい表情で振り返ったが、マウンドでは別人の強心臓だった。
次々とストライクを先行させて先手を奪った。13人中10人を3球以内で追い込む攻撃的な投球。圧巻はWBC日本代表の中島への投球だ。オール直球の真っ向勝負。3ボールからフルカウントにすると外角低めの147キロの直球で見逃し三振に斬った。「フルカウントから四球ぐらいなら思いっきり投げようと思った。走者を出してからが投手の仕事ですから」。この度胸。胸を張って小走りでベンチへ戻った。
限られた投球数で何イニング投げられるか。首脳陣のテストに満点回答だ。54球中40球がストライク。4回で54球は9回に換算すれば121球相当。完投能力も実証した。早打ちを誘うカーブも有効に使った。2回にG・G・佐藤を初球で空振りを取り、大島も2球目に三邪飛で4回2死まで完全投球。「カーブはキャンプから取り組んでいたので少しでもできてよかった」と手応えを口にした。
原監督は「最高だと思う。自分のスタイルで投球ができているのが素晴らしい。(開幕ローテーション入りは)いい位置ですね」と絶賛。オープン戦の投球次第では62年の城之内邦雄氏以来球団49年ぶりの新人開幕投手も見えてきた。次回は12日のオリックス戦(京セラドーム)に登板予定。19日のロッテ戦(甲府)で登板の可能性があり、中5日で25日・横浜戦(東京ドーム)の開幕投手も現実味を帯びる。
「もっと投げ込めば切れも速さも出る」。座右の銘は「猪突猛進」。前だけを見て突き進む黄金ルーキーの本領発揮はこれからだ。