なんなんだろうこの世界観。江國ワールドが醸し出す恋愛小説はいつも独特のセンスを伴って発酵されてます。
すごい切ないとか。甘い、甘すぎる、とか、辛いとか、壁ドンとか、そういうんじゃないんだ。どの小説も等しく発酵臭のするようななんとも言えない味わい。
いや、怖いとか臭いとも違うんだよね。憧れるとも恋愛したくなるとも違うんだ。だからって身近でもなくて、うん。ワンダーランドだね。
夫婦の話なんだけど。噛み合わない会話、募る不満を抱える妻。でも、なんかなんていうんだろう、この人がいないことが当たり前になることは怖いっていう。
なんなのこの食感。憎いでも、尊いでも、美しい愛でも、綺麗ごとでもなくて、神経の奥深くが繋がってて、どうにもこうにもきになってきて、やっぱり帰り着く我が家。
でも、いない時の方が好きだし、いない時の方がより愛情持てるっていう。
それ、なんかわかるなっていう独特の価値観で展開する恋愛本!