ジュリエットの母26 | えみゆきのブログ

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涼風真世さんのファンです。
パロディ小説を書いています

大きなキャピレットの館は葬儀の後、静まりかえった。
義父の部屋に行くと彼はいつも同じことをつぶやく。
「どうしてかな。どうして死んだんだろう」
義姉は何を話しかけても、「ええ」「そう」としか返事をしない。


そんな母を心配してティボルトは私に言う。
「ママ大丈夫かな。僕、心配だ」
そして、私を見上げて訴える。
「僕、エド叔父様に会いたいの。エド叔父様ならママを元に戻してくれるかもしれない。そう、思わない?おばさま」
「ええ、そうね。エド叔父様ならね」
「うん。僕、エド叔父様、大好き!」
父の話をしなくなったティボルトに私はうなずいた。


私もよ、ティボルト。エドが好きだわ。
好きだわ。好きだわ。とても!


彼がいなくなってから、私は気づいたのだ。
彼を愛していると。

ふたりで働いている間、目の回るような忙しさだったけれど、とても充実していた。私は皆に必要とされ、一緒に働いている彼には全部を言わなくてもわかってもらえた。
上手に人と付き合えない私でもエドとなら、なんでも自由に話せる。彼は、聞いてくれる。
彼は話してくれる。


いや、それだけじゃない。私は彼のそばにいると、自分が生き生きしてくるのがわかるのだ。この世の中が、自分がとても好きになれたのだ。

ああ、会いたい。もう一度会いたい。
私は、エドを愛している!


だけど、エドは何とも思っていないだろう。
私のことを無知で臆病な女としかみていないと思う。


たとえ、万が一、彼が私に好意を持ってくれたとしても、どうなるものでもない。
義兄の妻の弟と義兄の弟の妻の恋。
それはスキャンダル。一族を傷つける。決して許されない恋だ。


私は心の奥深く、この気持ちを閉じ込めよう。
再び、エドと会っても、誰にも気づかれずに、特にエドに気づかれないようにするのだ。



眠れない夜、バルコニーから星を見ながら、私はそう決心していた。
どんなに決心しても、いつの間にか彼のことを想うのは、やめられなかったけれど。
思えば、舞踏会の夜、初めて会った時から、私はエドに恋をしていたのだ。
心の中に浮かんでくる彼の面影に戸惑い、それがどうしてなのかわからなかった。
あの時、気づいていれば、私は決して結婚しなかっただろう・・・。
いや違う。ママの屋敷を守るため、ダンヴァース夫人のために私は同じことをした・・・。

だから、よかったのだ、幼すぎて恋を知らなかった私で。
ただもう、私は夫を愛せない。
愛がどういうものか分かった今、もう誰も愛せない。続く