このGWはカップルだらけで満室御礼!
通常シングルの部屋を二人で安く使って泊まっていただいたので、
単純に計算すればいつもの倍、人が泊まっていたことになります。
そりゃー、事件も起きますよね。
というわけで、またも事件が発生。
しかも今回は人命にかかわるもの!!!
事件が起きたその日は、とても忙しい一日でした。
その日の到着部屋数(=チェックイン人数)はなんと520!!!!
といってもホテル業界でない人にとって
この数字の意味する所が何なのかわからないと思うのでちょっと解説を・・・。
私の勤めるホテルは室数600強のビジネスホテルです。
ビジネス利用のお客さんが多い関係で、
月曜から泊まって金曜にチェックアウトする人が多いのです。
でも、もちろん皆が同じ動きをするわけではないので、
火曜や水曜にチェックインする人や、木曜や土曜にチェックアウトする人もいます。
つまりは木曜が一番の高稼働だからといって
イコール到着が一番多いというわけではありません。
うちのホテルでは大抵月曜が一番到着が多いのです。
そんな月曜の平均到着数は約400。
つまりはそんな月曜日の平均到着数よりも120人も多い!!
しかも通常のシングル利用とは違いカップル利用ばっかり!!
自然とチェックイン待ちの列も伸びるってもんですよ。
うちのホテルはチェックインカウンターに5人までしか立てません。
一人のチェックインにかかる時間が3分だとして
全員のチェックインが終了するまでの時間を計算してみます。
到着520人÷カウンターに立てる人数5人×3分=312分=約5時間!!!
スムーズにお客さんが到着したって5時間もかかるんですよ。
15時から5時間たったらもう20時です。
やってられん・・・。
でも、やらなきゃいけないんですね。
そんなわけで14時から17時までトイレ休憩も取らずに一心不乱にチェックインしましたよ。
その後30分の休憩を取り、
今度はレストラン勤務。
カップルがたくさん食べに来たので全部お世話をいたしました。
たった3人で30人のドリンクを作り、コース料理を運び。。。
と、ここまで書いた時点でどれだけ私がぐったりだったか
おわかりいただけたでしょうか?
でもこの時点ではまだ事件が起きてないんですよ。
事件が起きたのは、この怒涛の一日を終え
レストランの売上計算をしながら鼻歌を歌っていたその時でした。
時刻にして夜22時半。
支配人が私をめがけて前方からずかずかと歩いてきました。
手にはルームキーを持っています。
私は支配人の顔の険しさだけで悟りました。
女性客に何かあったのだ、と。
男である支配人では処理できない何かが起きたのだ、と。
ルームキーを受け取った私に発した支配人の一言は衝撃的でした。
「女性サウナの警報ブザーが鳴った。女性が倒れているらしい。
今現在このホテル内にいる女性スタッフはお前しかいない。」
「女手一人だけで倒れてる裸の女性を運び出せというんですね。」
「頑張れ。」
頑張れ、じゃねーよ!22時半に女性一人しかいないこの体制をどうにかしろ!
と心の中で叫びつつも
エレベーターに乗り込み大浴場へ急ぎました。
大浴場の扉を開けて更衣室を見回したところ、特に異変がなく、
制服着用のまま風呂場に突入しました。
湯気と人混みとで視界が悪く、人が倒れている気配など全く見えません。
はて、どうしたものか、と思いながら奥へ進んでいくと
確かに人が倒れている!!そして人だかりができている!!
それだけ人がいるならこの熱い風呂場から出してあげることができるだろうが。
としばし冷静に観察した後、
倒れている人の下にもぐりこみ肩を貸すようにして
とりあえず更衣室まで担いでいきました。
バスタオルを床に敷き、上からもバスタオルをかけてとりあえず体の水気を取りながら
彼女の意識状態を調べるため、状況を把握するために話しかけるも反応なし。
これはいかんな、と思い
近くにいたお客さんに彼女を任せ、私のいない間に部屋番号と連れがいるかどうか、
またできればどんな体調なのかを聞き出してもらえるよう指示を出して
私は支配人の待つ外へ出ました。
支配人に彼女の状態を伝え、救急車を呼んでもらえるよう指示を出し、
副支配人に1階事務所に待機してもらえるよう指示を出し、
タオルをたくさん確保してから更衣室に戻りました。
そこで先ほどのお客さんに部屋番号を聞き出し、
今度は内線を使い副支配人に部屋番号と連れがいることを知らせ、
患者さんの元に戻りました。
患者さんを励ましながらも周りのお客さんに
状況を聞きだし救急隊員を待つことに。
しかし、心無い人っているもんですね。
私は患者さんも見なきゃいけない、周囲のお客さんのパニックも抑えなきゃいけない、
救急車やスタッフの要請をしなければいけない、
救急隊員(男)を女性用大浴場に迎え入れる準備をしなければいけない、
そして支配人達との報告を密に取らなければいけない、
連れの男性に状況を説明し今後の対応を説明しつつ安心させなければいけない、
という緊急事態を一人で切り盛りしなければいけない状況だったんですよ。
なのに「患者さんを置いてどこに行ってたのよ。」とかさ、
「もっと早く救急車呼びなさいよ」とかさ、
この二つは一人が同時に出来る事ではないんだよね。
しかも具合の悪い患者さんの目の前でそんな事言うなんて
その神経が信じられないよ。
と、90%の冷静さを保ちつつ10%の怒りを覚えながらも
ようやく救急隊員が到着。
大浴場にいる人達に説明してる間にも
外から入ってくる人が着替えをし始めたり、と
救急隊員が来てから更衣室に迎え入れるのに少し手間取ったけれども
簡単な診察をしてもらい、やはり救急車に乗せるという診断が下されました。
救急隊員に外に出てもらって意識のない彼女に浴衣を着せ、
運ばれる最中に着崩れないように細工をし、
彼女の荷物をまとめ、再び救急隊員を迎え入れる事に。
しかしながらお客さんが多すぎて現場の収集がつかない!!
あまりにも外から入ってくるお客さんが多くて、
現場は混乱寸前。
遂にブチ切れた私は大浴場の外にいる支配人に対し
「これ以上お客さんが入ってきたら中が混乱します!!
ここにいるんだったら入場制限してください!!!」と一喝。
あ~~2年目の私が支配人に対してこんな口をきいてしまった・・・。
なんて思う暇もなく、
再び救急隊員を中に迎え入れストレッチャーに乗せるお手伝いをして、
ようやく大浴場から出る事が出来ました。
患者さんとお連れの方の面倒は支配人に見てもらうことにし、
私は入場制限をした事により混乱状態にあった大浴場に再び赴き、
現場収集へ。
協力してくれたお客様にお礼を言い、ご迷惑をかけた旨を皆様にお伝えし、
ようやく一息つきました。
そんな私に「大丈夫ですか?お疲れ様でした」と声をかけてくれたお客さんがいました。
人が倒れているというのに皆あまりにも無関心で悠然としていたし、
非協力的だったので、少し憤りを感じていた時だったので、この言葉に救われました。
お客さんが協力してくれないのは皆冷たいからではなくて、
どうやって協力すればいいのかわからなかっただけだろうなって
そう思えたので私が受けた軽い人間不信的な気持ちはこの言葉により薄らぎました。
救急車を見送り、途中で投げ出してきたレストランの売上計算を無事にこなし、
その日はへとへとになりながら帰途に着きました。
翌日出勤した時に、彼女の容態は悪くなく
明け方ホテルに戻ってきたとの事で報告を受け無事事件は終焉を迎えました。
私は天邪鬼な部分があるので、
周囲の人が感情を高ぶらせてくると逆に冷静になってしまう性格があります。
今回の事件ではこの性格が役に立ったなーと思いました。
意識のない人って初めて見たし、
自分一人の判断で人の容態に影響を与えてしまうという危機的状況は初めてで、
心の中では冷や汗ものだったけどね。
後日支配人に聞いたところ、
普段の対応からも私の冷静さを買ってくれてたとのことでした。
だから、先日の消防訓練も私にさせたのだ、と・・・。
ん?消防訓練ですか???
そういえば、消防訓練の日私は15時出勤だったにも関わらず
訓練をする為だけに12時に出勤させられましたね・・・。
よくよく考えればあの日他にも女性スタッフはいたのに
なぜ私がわざわざ早く出勤して訓練なんかしなきゃいけないんだと思っていたな・・・。
なんか支配人にうまく使われている気がしないでもない、と思ったけれども
まぁ今の支配人は好きなんで目をつぶってやろうと思いました。
あーー書くの大変だった。
今度の事件簿は部屋で見つかったとある物をめぐっての話になります。
それでは。