ユナイテッドシネマ札幌の6番スクリーン(Screen X)にて鑑賞。
観客は自分含めて10人くらい。
今回初めてScreen Xで鑑賞しました。
これは全面のスクリーンに加えて両サイドの壁にも映像を投影するという3面映写システムが特徴のシアターです。
プレミアムラージフォーマットと呼ばれる種類の一つだそう。
ユナイテッドシネマ札幌に導入されたのは去年(2023年)の12月。
元々あった6番スクリーンは通常スクリーンでしたが、改装してScreenXの設備に。
座席が8つほど削られていたりして、かなり広々とした空間になっていました。
この劇場には結構通っているのですが、半年間これをずっと放っておいたことに自分で驚いています。
個人的にこのフォーマットは画期的というか、映画の常識をぶっ壊すようなものなんじゃないかなと。
今までたくさん映画を観てきて、「映画のスクリーンは一面」というのに何の疑問も抱いていなかったわけですが、よく考えたら2面でも3面でもいいんだよね。
まさに視界一杯に広がる映像は映画への没入感をアップさせてくれるはず。
期待の「猿の惑星」新作、そして初体験のシステムということで。
久々にワクワクした気持ちで観に行ってきました。
猿の惑星/キングダム(Kingdom of the Planet of the Apes)
公開日:2024年5月10日
ジャンル:アクション/SF
上映時間:145分
「人間はかつて
いろんなことができた。
ワシのように空を飛び、海を越えて話せた。」
感想
面白くなかったな…
☆2/5くらい。
ちょっと残念でしたね。
「猿の惑星」シリーズは新3部作しか観ていないのですが、本作は一応この3作の続編ということで。
キャッチコピーに「完全新作」というものがあったと思うのですが、バリバリ続き物だったというね。
中でも、3作目に当たる「猿の惑星: 聖戦紀」(2017)は一番好きだったので、本作で一体どんな幕が開けるのかかなり期待していたのですが…
そろそろ本当の「完全新作」が欲しい
本作で描かれるのは前作から300年後の世界です。
猿インフルエンザによって人類の大半が死んでしまった地球。
生き残った人たちは変異ウイルスによって知能が低下し、言葉まで喋れなくなってしまいます。
それとは対照的に猿達は知能が向上して言葉が話せるようになり、自分達のコロニーを築き上げていくのです。
本作で完全に「猿の惑星」化したのかと思いきや…
最後のシーンで「まだそんなに生き残っていたんかい」と驚きました。
300年も経ったのに、まだあのレベルで踏みとどまっている点があまり気に入らないですね。
まるでつい最近人類が滅亡したかのように元気でした。
人vs猿というのはもう3部作で見飽きたし、結局また「新世紀」→「聖戦紀」というループが起こってしまうんじゃないかなと。
まぁ、あくまでここまでの話は「猿の惑星」(1968)の前日章なので、そこまで発展してなくてもおかしくないんだけれども。
初代に追いつかなければ、もうなんでもアリという感じですね。
ノヴァみたいな人は居てもいいけど、もう戦うんじゃなくて共存ルートでお願いしたい。
いつか猿と人間が共同生活しているという世界も見てみたいものです。
朝の通勤電車に猿と人間が乘ってるみたいな。
せっかく見つけたのに…
プロキシマス・シーザーがどうしても開けたかった扉。
そこには人類の英知が詰まっていたわけですが、これほど重要な拠点をダメにしちゃうのは残念でした。
なんなら次回作までここを引っ張ってもいいくらい。
他にも色々重要な物がありそうだったんですけどね。
水被ったくらいなら大丈夫なのかもしれないけど…
また、キーアイテムであったハードディスクみたいな物の存在感ですよ!
あれほど苦労して取りに行ったのに、「え、それだけ?」と思ってしまうくらいショボかった。
何か重要な情報が詰まっているのかと。
「これがあれば人間はまた喋れるようになる」というセリフはそういうことだったのね。
てっきり本当に喋れるようになるのかと思っていたため、余計にワクワクしてしまいました。
↑単純すぎる…( 一一)
キャラクターは魅力的
毎度このシリーズでは人間の愚かさについてハッとさせられます。
飽くなき欲望が自らの破滅をもたらすのです。
そのため、猿を見下す傲慢な人間のキャラクターはお約束。
しかし、これによって取り残され犠牲になったノヴァは非常に魅力的に描かれているんですよね。
前作では喋れない子供として、本作ではしっかりした強い女性として登場します。
誰に対しても優しいノヴァは、まるで猿と人間との懸け橋のような存在であり。
「猿の惑星」シリーズの大きなスパイスとなっていると感じます。
オリジナルシリーズは観たことないけど…
また今回初登場のプロキシマス・シーザーも良かった。
悪役ではあるものの、他の猿達と比べて頭が良くて巧妙な所が気に入りました。
人間に対して敵対心満載な猿達の中で、彼は「利用価値のある人間は残しておく」というムーブを見せます。
こういうのは割とありがちな展開ですが、これを猿が人間に対してやっているというのがいい。
なんというか痛烈な皮肉を感じます。
あと、ウィリアム・H・メイシーが出てきたのには驚いた。
髭がもじゃもじゃだったので、最初はマーク・ハミルかと思いましたよ。
しかしよく見ると、ランディガードさんじゃないですか。
「ルーム」(2015)以来ですかね、久しぶりに見ました。
Screen X は自分に合わないかも
今回一番楽しみにしていたScreen X。
ぶっちゃけ、期待外れでした。
本編開始前に流れるPVは良かったんですよ。
「今まであなたが観てきた世界を広げるッ」というような内容でして。
初めて1面から3面上映になった時は凄かった。
まるでスクリーンに吸い込まれるような感覚でした。
しかし「3面スクリーンで観る映画」という点では、個人的にかなり気が散りました。
慣れてないという点はあるかもしれません。
壁面に映る映像のクオリティがね…
解像度は低いし、テクスチャも粗い。
ただ映像を引き延ばしただけで、色合いという面くらいでしか仕事をしていないような感じを受けました。
もう少し詳細に描かれていて、「新しい画面外の様子を見ることができる」と思っていたのに。
中でも、一番驚いたのは全編通して3面ではないということ。
こればっかりは全く知らずに観たものですから、かなり焦りました。
「もしかして故障?(;O;)」という風に。
実は3面になるのは映画の一部シーンだけで、それ以外のシーンは正面の1面だけの状態なんだそうです。
迫力のある場面だったり、キレイな風景の場面で拡張されるようで、それが終わると自動的に切り替わります。
なるほどね~。
なかなか面白い仕組みになってますな。
でも、いい所もあって。
カメラがズームイン・アウトする場面ではかなり効果はあったと思います。
壁の映像が正面の映像と合わせて観客に迫ってくるような動きをするため没入感がありました。
映像のクオリティについても、映画によって変わってくるのかもしれないし。
再チャレンジは是非してみたいです。
CGは本作でも相変わらず良かった。
猿の描写が本当に自然で、とても製作費がかかってそう。
ただ、「お金をかければいい」という訳でもない気がする。
今年のアカデミー賞(2024)で、視覚効果賞に「ゴジラ-1.0」(2023)が選ばれたように、「少ない製作費でも工夫してなんとかする」という点も大事だと思う。
画面の見えないところで、観客を楽しませるにはどうしたらいいんだろう。
こういったアイデアこそ、映画製作の醍醐味だよね。
そういう意味では「画面は一つでいいのかなぁ」なんて思ったり。
あんまり関係ないか。