ユナイテッドシネマ札幌の11番スクリーン(IMAX)にて鑑賞。
観客は自分含めて20人くらい。
20:40~23:53の回という激遅の時間帯だったのですが、結構いましたね。
↑IMAX上映が次の日までということもあるのでしょう。
入場者特典のポスターでも貰えればもっと早く行ったんですけど、今回はナシということで「そんなに急がなくてもいいかな」と観るのを引き伸ばしていました。楽しみはあとに残したほうがいい的なね。
ただ、やっぱりクリストファー・ノーラン監督作品はIMAXでないといけないという思いが強かったので、なにがなんでもIMAXの回で観るというのは前々から決めていたわけであり。
本作といえば、配給がいつまでたっても決まらなかったり、バービー騒動があったりと、公開前からなにかと問題続きでした。
「原爆の父」の話で、クリストファー・ノーラン監督作品ともなれば超話題作ですよ。「どんなすごいもんか」と。
個人的に、配給の件は「公開を渋るほどヤバイ映画なのか…」とちょっと期待してしまったり、バービー騒動の件は「バービー」(2023)があんまりおもしろくなかったのもあって「原爆をネタにすんじゃねぇよ」という思いで見つめていました。
今となっては結構昔に感じます。
公開から27日、、、
ようやくこの作品を観に行ってきました…
オッペンハイマー(Oppenheimer)
公開日:2024年3月29日
ジャンル:スリラー/歴史映画
上映時間:180分
「この"音楽"が聞こえるか?」
あらすじ(観た感じの)
原爆を作った男J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた作品。
1943年、世界情勢が不安定化する中、アメリカのニューメキシコ州ロスアラモスでは恐ろしい計画が進行していた。
その計画とはアメリカ中の優秀な科学者を集め、大量破壊兵器である原子爆弾を開発することであった。
これの先頭に立ったのがオッペンハイマーという男である。
彼はどのようにして原子爆弾を作り上げたのか。
そして、その先に彼を待ち構えている運命とは―
感想
いつだったかレンタルしたDVDについていた映画「リミット」(2010)の予告編。
その冒頭で流れる戦場カメラマン渡部さんの言葉を急に思い出しました。
「衝撃の 映像を 見て しまいました…
凄い 映画です。」
まあ、このセリフは凄い映画だったらどんな作品にでも言えることなんですけどね。
渡部さんゴメンナサイm(__)m
要は本作を観て思ったことが、まんまこれだったということです。
一回観ただけでは理解できない
上記のようにすごいテキト―な感想になってしまうのも仕方がない。
というのも、多分字幕の8割くらいが理解不能だったんですよね。
元々自分は映画を観るときに字幕を完璧に認識せずに観てしまっていることが多いのですが、本作はもう始まった瞬間からダメでした。
↑えぇ…( ̄ー ̄)
原爆開発シーンでの量子力学?の専門用語とか、聴聞会・公聴会での取り調べ・やり取りとか正直チンプンカンプン。
「 誰が何について話してるの?」っていうね。
もちろん映画の大まかな流れは分かりました。
オッペンハイマーの学生時代の話とか興味深かったし、彼が原爆への好奇心と脅威による不安との間で葛藤する様子はとても印象に残っています。
しかし、上映時間の半分は占めていそうな聴聞会・公聴会シーンで繰り広げられる難しい言葉の応酬には参りましたね。
観終わった後には、誰がなんのために、どんな役割を果たしていたのか確認したくなりました。
ただでさえ登場人物が多く出てくるので大変ですが、これが分かればもっと面白くなるでしょう。
オッペンハイマーとしてのキリアンマーフィー
本作で第96回アカデミー賞主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィー。
引用元:
ノーラン作品では常連ですし、それ以外では「28日後…」(2002)とかで見たことがあります。
あんまり主演というイメージはなかったので、今回こんなに彼の姿を見たのは初めてかもしれない。
まさに主演男優賞納得の演技というか、「オッペンハイマーってこういう人なんだろうな」と勝手ながら感じさせてくれるほどで。
こう、本当にそのままというか、人間らしさがあって1人の人間としてリアリティがありました。
だからこそ怖いんですけどね。
特にりんごのエピソードはびっくり。
↑そこ!?
一歩間違えたらコトでしたからね。
幸い、すんでのところで危機回避できたようですが、それほどまでに病んでいたというのは…
成績優秀で頭の良い人だったのは間違いないんでしょうけど、メンタル面ではやや不安定なところがあったんですね。
愛人のくだりはどうなんだと感じましたが、他人想いが故なんでしょうか?
失敗が許されない国家の一大プロジェクトということで、成功はとても嬉しいはずなのに「これによってどれほどの被害が出るのか、今後の戦争の形を変えるのではないか」と苦悩する優しい人物?(で片付けて良いものなのか・・・)であるのではないかと思ったり。
ルドウィグ・ゴランソンの音楽が最高
ノーラン監督の前作「TENET テネット」(2020)では、長らくコンビを組んできたハンス・ジマーに変わってルドウィグ・ゴランソンが音楽担当することに非常に驚いたのを覚えています。
引用元:
観る前までこの人について全く知らなかったので、今までずっと名曲を生み出し続けてきたハンス・ジマーが作曲じゃないことに対し、正直不満を感じていました。
が、とんでもない。
冒頭でかかる「RAINY NIGHT IN TALLINN」を聞いた瞬間にガッチリ心を掴まれましたよ。
不満なんか感じていた自分が本当に情けない。2020年の時点で普通に有名だったみたいだし…
「こういうのが聞きたかったんだよ!」という「TENET テネット」のサウンドトラックでした。
本作「オッペンハイマー」でも連続で彼が担当したわけですが、これがもう、、、
「どうやったらこんなアイデアを思いつくの…(泣)」と感動してしまうくらい、本当に素晴らしい曲の数々でした。←作曲家でもねーのに
「自分達は今恐ろしいものを作っているんだ」という深刻さや緊迫感を感じさせてくれます。
特に、「Can You Hear the Music」「Manhattan Project」「Destroyer of Worlds」がお気に入りです。
・「Can You Hear the Music」
・「Manhattan Project」
・「Destroyer of Worlds」
ノーラン監督作品のサントラには、なんというか勇ましさ的なものが毎度組み込まれている気がします。
やっぱり監督の意向というのは作曲に大きく影響するものなのでしょうか。
公開が遅れた理由はなんなのだろう…
これだけ日本公開が遅れたことで、映画を観る前は「よほど日本の扱いがひどいか、原爆賛美のものなのか」と思っていました。
でも、観終わって思ったのはそんなにヤバそうな映画とは思えなかったということです。
あまり理解できなかった自分には気づけなかったポイントがあるのかもしれないけど…
上記でもあるように、本作ではオッペンハイマー自身の原爆に対する葛藤が描かれていまして。
「作らなきゃよかった」とは決して言ってないけど、原爆によって後戻りできない、世界が大きく変化することに対する彼の非常に強い懸念が数多く描写されています。
↑周囲は開発成功でウキウキなのにですよ?
広島・長崎への投下にも、もちろんちゃんと触れています。
実験成功後の集会シーンでは成功を喜ぶ周囲との温度差という描写があったり、原爆の被害映像シーンでは目を背ける関係者の描写があったりと、「自分のした事に目を背けるアメリカも表現されているのではないか?」と思わせるくらいでした。
投下が仕方がなかったというスタンスではいたものの、「俺達はこんなスゲーもの作ってやったぜ!!イヤッホー」的な原爆を賛美する内容ではなかったのは間違いないでしょう。
大統領がひどすぎた…
はだしのゲンとの違い
広島を舞台に太平洋戦争末期から戦後までを描いた漫画「はだしのゲン」。
初めて読んだのは多分小学校低学年くらいの頃。
家にあった数少ない漫画というのもあって、僕は熱心に何周も読み返していました。
その当時はギャグ要素が面白くて読んでいて、戦争の悲惨さというのはよくわかっていなかったと思います。
でも、「原爆が明日落ちてきたらどうしよう」と考えたことはありますね。
1945年8月6日が描かれる第一巻(中公文庫のもの)には、本作でも登場するマンハッタン計画について一応触れられているのですが…
引用元:中沢啓治,はだしのゲン①,1998,中公文庫
いくつか映画とは違う部分があるんですよね。
でも、自分がずっと見てきた漫画と今観た映画とがリンクする瞬間でした。
実際にあったことで、本当に恐ろしいことです。
当時の日本人は何も知らなかったんだろうな…
映画が終わったのは夜11時50分過ぎ。
覚悟して行ったのですが、やっぱり終電が怖くてダッシュで帰りました。
エンドロールすら観ようか迷ったレベル。
まぁ問題なく乗れたんですけどね。
普段一緒に映画館へ行く友達にも勧めたい映画ではあったものの、以前観に行ったノーラン監督作品「インターステラー」(2014)が相当不評だったらしく、彼の観る気を起こすことはできなかったようです。
↑貴重な公開当時のポスターの「いらない」と。
映画の好き嫌いって人それぞれだよね。