シアターキノのA館にて鑑賞。
観客は自分含めて20人くらい。
公開から結構たつのに凄い混んでました。
予告が終わって本編が始まる直前、スクリーンに垂れ幕がかかって正方形に近い形にトランスフォーム。
なんでも本作のアスペクト比は1.33:1らしく。
昔はスクリーンに垂れ幕がかかってたなんて聞いたことあるけど、実際に稼働しているのを見たのはこれが初めてかもしれません。
元々ミニシアターというのもあって、大分ミニミニサイズでの投影になってました。
PERFECT DAYS
公開日:2023年12月22日
ジャンル:ドラマ/劇
上映時間:124分
これは良かった。
面白かったというよりいい時間を過ごせたという印象です。
観ていて和やかな気持ちになりました。
こういう日本の姿っていいよね。
ほんとに何も起こらない話だった気がする。
同じような毎日を過ごす主人公の姿がずっと映し出されるのは、ドキュメンタリー映画っぽさすらありました。
何も起こらないからこそ説教くさくないというか。
最初に本作がトイレ清掃員のドラマ映画って聞いたときは、周囲からバカにされたり避けられたりするトイレ清掃員の姿を描いて、「清掃員へのリスペクトを忘れずに」的な話を予想してたんですけど全然違ったというね。
冒頭にちょっぴりあったけども…
正直言うと、どんなメッセージを伝えたいのか結局分からなかったのです。←ダメじゃん
「木漏れ日のように人生の一瞬一瞬を大切に」みたいなものもあった気がするし。
でも分からなくても全然良かった。
それ以上に、日常のなんでもない事にも幸せを感じることができましたし、多くを語らない一人のおっさn…いや、おじさんの小さな小さな生活に心が温まったのであります。
ただ、汚い描写はちょっと欲しかった気がする。
カメラに映るトイレは凄くきれいでしたから。
トイレ清掃、ましてや公衆トイレともなれば、上からのものも下からのものもたくさん見ることになるんじゃないかな。
まぁ、「それを見たいか?」って聞かれると…
ちょっと見たい。
主演の役所広司さんがすごいの一言。
「どの辺が?」って聞かれると困るんですけど、もう主人公そのまんまって感じでした。(語彙力)
引用元:https://twitter.com/perfectdays1222/media?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
毎日早朝にトイレ掃除しに行って→神社で昼飯食って→銭湯行って→寝る。みたいなサイクルを送ってる無口なおじさん。
毎日の楽しみとして、出勤前に近所の自販機で買う缶コーヒー。
自販機で買ったら高そうだけど、コレがまたいいんだよな~。
週に数回の楽しみとして、いきつけの居酒屋での一杯も。
趣味といえば、写真と育苗と読書くらいという時間の食わなそうなものでして。
一見地味な生活なんですけど、本作の役所さんを見ていると毎日が新鮮で楽しい体験をしているように見えたんですよね。
精一杯がんばって生きてるんじゃなくて、幸せをかみしめながら生きているという感じ。
これを演じるって結構凄いんじゃないかな?多分。
「妹さん?がお金持ち」っていう設定も悪くない。
裕福というか社会で成功してる人みたいな。
結構ベターなのかもしれないけど、主人公の孤独さがより感じられます。
あの涙は哀れみによるものなのか。
彼の過去含め、色々想像したくなるシーンでした。
そして音楽も最高。
車でかかる古い曲も良かったですけど、個人的にはエンドクレジットでかかる「Perfect Day (Piano Komorebi Version)」で心をがっちり掴まれました。木漏れ日verってなんかかわいい。
本編が終わった後、この曲が素晴らしい余韻をもたらしてくれます。
後半1分くらいの繰り返しのメロディー、そして英語で説明される「木漏れ日」の説明文…
天才としかいいようがない。
いやー、「幸せ」ってひとそれぞれ。
いろんなところにあるもんですな。
あっちこっち探しに行くのもいいけど、実は結構身近にあるのかも。
外国人がここまで日本らしさのある映画を撮ったことにも驚き。
ヴィム・ヴェンダース監督の作品は「パリ、テキサス」(1984)だけしか観たことがありませんが、あれってかなりアメリカンなものだったし。
本作もそう思えるほど、その国の人に刺さる内容だと感じました。
「こんなふうに
生きていけたなら」
良いキャッチコピー。