先日、カフェでこのようなことを言われました。


「あなたアクセント(訛り)があるね!どこ出身なの?」


それは、レジでコーヒーを注文した後、カップに書く名前を聞かれ、”Emi. E-M-I.”と伝えた時のことでした。


アメリカに来て、私の英語のアクセントについて、日常生活の会話の中でこのようにハッキリと言われたのは初めてでした。


「日本出身ですよ。やっぱりアクセントに気がつきますか?」


そう答えた私に、レジの人は、


「うん。名前の“I“(アイ)を言った時に。」


と教えてくれました。


後ろに人が並んでいたので、それ以上の会話をすることができなかったのですが、その後しばらく心に引っかかるやり取りでした。


私の心に引っかかったのは、アクセントについて言われた時の私自身の心境でした。


言われた時に、


えっ。私の英語、指摘されるくらいの訛りがあるの!?

頑張って発音練習をずっとしてきているのに、まだ訛りがはっきりしているレベルにいるってこと!?

しかも、”I”って短い簡単な発音で、何度も口にしたことあるのに…そんな部分で訛りを指摘されるなんて。


と、自分で思っていたよりも自分の英語は「悪い」「ダメ」「まだまだ出来ていない」と知らされたような気分になったのです。


アクセント(訛り)があると言われて、あまり嬉しくない気持ちでした。


アクセントが強すぎると「何を言っているか理解しにくい」と相手にしてもらえなかったり、馬鹿にされたりするという話を聞いたことがあるので、アクセント=「悪いものだからできるだけ無くしたほうがいい」という印象を持っていたのかもしれません。


もちろん、レジの人の口調や表情から、彼女がネガティブな気持ちでアクセントのことを口にしたのではないとわかります。

むしろ、ポジティブな気持ちで私の英語や出身地に興味を持ってくれたような感じでした。


英語には様々なアクセントがあります。


私のように外国語として話す者がもつ各国・各地域のアクセントだけでなく、イギリスアクセント、オーストラリアアクセント、シンガポールアクセント…と英語を公用語とする国の人にもそれぞれ特徴的なアクセントがあります。


アメリカアクセントの中にも、南部アクセント、ニューヨークアクセント、カリフォルニアアクセント…と、日本に方言があるように、地域で違いがあったりするようです。


アクセントというのは、本当はネガティブなものでは全くないのです。


そのようなことを考えているときに、以前オンライン英会話で先生が言ったことを思い出しました。


“I can hear a certain hint of accents. That’s fine. It’s a part of who you are.

その当時は、アクセントがa part of who [I am]だということがあまり理解できませんでした。


もちろん自分は日本生まれ日本育ち、さらに日本で英語を学習してきたので、日本人特有のアクセント(訛り)のある英語を話しているんだろうなということは理解していました。


しかし、それが「私らしさ」であり、取り除く必要もないと言われても、素直に、「そうなんだ!じゃあこのままで!」とは思えませんでした。


だから、その後もずっとアメリカ英語の発音を必死で練習しているのですが


今回、アクセントを指摘され、それについて考えたことで、先生の言葉の意味が少しわかりました。


会話では、相手に理解してもらえる英語を話すことが大切です。これは大前提として据えておく必要があります。


でも、理解される範疇に収まるくらいのアクセントは、私の英語の「個性」として、集団(今住んでいる地域)の中で特別な存在として光る部分なのかもしれません。


私の話す英語に表れる「個性」を完全に消す必要はないよ、と先生は言いたかったのではないかと思います。


アメリカ生活4年。

自分から話題にしない限り、会話の中でこちらの人に、「どこの国から来たの?」とか「英語上手ですね」とか言われたことはほとんどないです。

(「アメリカに来て4年です。」→「そうなんですね。どちらから来たのですか?」や「英語はまだ勉強中なので難しいです。」→「あなたの英語大丈夫ですよ。」のような流れはよくあります。)


それは、多様なバックグラウンドを持つ人々が暮らし、多様な英語が飛び交う地域にいるからだと思います。

アクセントがあっても「その人らしさ」として自然に受け入れられているのです。


自分の英語を聞くと、思っているのと違って(映画やテレビで話されているようなアメリカ英語の感じと違って)ガッカリしたりすることがありましたが、今後は、そんな自分の英語を少し愛しく感じることができそうな気がします。


アクセント(訛り)については、日本人の英語学習者や英語教育関係者の間でも意見が分かれるところだと思います。


日本人はアクセントを気にしすぎて、キレイに話そうと意識しすぎて話せなくなっている!

アクセントは気にしないで、どんどん話そう!


という意見もあれば、


日本アクセントは聞き取りにくくて理解しにくいと言われる。だから、アクセントをなくして相手に伝わるような英語を話すように練習しよう!


という意見も。


私は今回の記事を書きながら、自分がどちら側に立っているのかわからなくなりました。


どちらの意見も間違っていないからです。


では、中間をとって、相手が聞き取りやすい・理解しやすい程度のアクセントで話すようにするのはどうでしょう。


するとこのような疑問が浮かびます。


相手はどの程度のアクセントまでなら受け入れられるのか?

どの程度のアクセントを残すのはOKなのか?


これは一概に設定することができないと思います。人によって受け入れられる程度が違ってくると思うからです。


そうなると、アクセントがない英語を話す方が良いでしょう。

でも、アクセントを完全に消すのは難しいし、時間もかかるでしょう。その間、自分の英語にネガティブな印象を持ち続け、英語を口にすることを躊躇してしまうかもしれません。


何が良いのか、どうしたらいいのかわからなくなってきます。


ということで、ここでは、私なりの現時点での個人的な決意を書いて終わりたいと思います。


私は、自分が「今」話しているアクセントのある英語を受け入れ、その「個性」をポジティブにとらえようと思います。


でも、ここで学習や練習を止めるのではなく、私が目指すアメリカ英語のアクセントにより近づけるように努力は続けていきます


完全にアクセントを消すことは難しいと思うので、他者にも理解してもらえる程度のアクセントで「自分らしさ」を残して私の英語が仕上がっていくといいな、と思いますニコニコ