昨日の更新…できませんでした一昨日の続きになります。
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前回までの話神帰月のできごと① 神帰月のできごと② 神帰月のできごと③ 神帰月のできごと④ 神帰月のできごと⑤
色々と個性的な人々登場人物紹介
火葬場までの道のりをまるで観光に来たような雰囲気の義両親。
私を始め、親族はその様子に腹立たしく思っていました。
そんな中、火葬場に到着しました。
私と同時に智が
「…着いちゃったな」
とポツリと呟きました。
そう。もう父は骨になってしまう。
それが智も私も悲しかったのです。
こういう時は以心伝心というか…二卵性双生児、性別は違っても同じことを考えているんだなと思います。
住職様の読経の中、父の棺が火葬炉に入って行きました。
私にとっては、父方の祖母、母方の祖父母、そして義母の叔母…と数えるくらいにしか経験はありませんが、何度目であっても嫌なものです。
義母の叔母なんて、面識は全くない方でしたが…人が骨になるというのは何だか無性に嫌だと思ってしまいます。
1時間ほどの時間を待合室で食事をしながら待つことになり、母と私以外は待合室に向かいました。
母と私には住職様に火葬場までご足労頂いたお礼の挨拶があったからです。
住職様への挨拶を終えて、待合室に向かいました。
既にみんな座っている状態で、私たちを待っていました。
我が家の待合室は一部屋しかない和室だったので、畳に座ることができない人には椅子に座って頂いていました。
そのひとりが義母だったので、
(あれ?お義母さんは畳に座れない人だったかな??)
と思っていると、目が合いました。
てへぺろ
…ホントにそんな顔をされました。
73歳の『てへぺろ』…可愛くないです
アキエさんに
「蓮華はこっちに座りな!」
と声を掛けられて、主に母方の親戚が座るほうに誘導されるまで微動だにせずに固まっていたようです。
献杯のためにグラスにお茶を注いでもらっていると、後ろから
「あ~」
と聞こえてきました。
遥希が注いだ義父のグラスのビールが多かったようでこぼれそうになっていました。
(献杯なんだから少し注げば良いのに…)
と母は思って見つめたそうです。
すると、義父はそのグラスから零れないように…と口をつけたということです。
献杯の声がかかる前に。
目の前でグラスに口をつけられた親戚(父のハトコの息子さん)が固まっている中、義両親と遥希だけは宴会の時のように笑っていました。
「堅苦しいことは言うなよ…」と思うかもしれませんが、母や弟たちは何となく嫌な気持ちになったようです。
あまり人のことを悪く言う子ではない穣ですら
「蓮華ちゃんの舅さんって、サラリーマンだったんだよね?こういう場って何度も経験してるのに物を知らないね!」
と怒っていたそうです。
その前の色々なできごともあっての感情だと思います。
それからも義両親や遥希は
「これ食べられないから、お兄ちゃんに飛ばすわ~」
(「食べて」じゃなくて「飛ばす」という表現を使う人を義家族しか知らないのですが…)
と、そこだけ別世界みたいな様子で食事をしていました。
何となく、親戚の視線が痛かったです。
火葬場での食事は黙って食べろというわけではありませんが…はしゃぎ過ぎもいかがなものか・・・と思うのは、私が父を亡くしたばかりだからでしょうか。
コロナのこともあって…黙食に近い形で食事をしてほしかったから、個別に膳を用意してもらったんですが。
あまり義家族には意味がなかったようです。
そんなことがありつつも・・・骨上げの時間になりました。
15歳で中学を卒業してから亡くなる直前まで、ずっと海で仕事をしてきた父の骨は太くて・・・参列者みんなが
「こんなに残ったんだね」
と息を飲むくらいでした。
全員で骨上げをして、骨壺に納めていく間も…いえ、今もまだ私は父の骨を拾ったという気持ちは実感できないのですが…
帰りのバスで、智と穣は呆然としたまま父の骨壺を抱いていました。
次回は今日14時に更新予定です。