気持ちの良い話ではありません。気分を害したくない方はブラウザバックをお願い致します。
色々と個性的な人々登場人物紹介
事故で命を落とした父。
警察が入ることになり、遺体は検死に回されることに…。
検死には数日かかるかもしれない。
1週間くらいかかった方もいる。
そんな話を遥希も葬儀社でしていました。
でも、何日かかろうと、私は実家に留まるつもりでいました。
これは「我儘」といえば、我儘です。
でも、父がいなくなった家で…親子・兄弟で話したい
こんなことがなかったら、帰省することに良い顔をされないから…と諦めてきた私の、数少ない我儘だと思いました。
葬儀場から帰宅して、父の遺影に使う写真を母と探しました。
最近撮ったという小型船舶免許証に使ったという写真は…私の記憶にある父の姿ではありませんでした。
75歳という年齢です。当たり前のことですが…父の面影のある【おじいさん】で私の記憶の中の【お父さん】の姿ではなかったのです。
「これは…ちょっと」
私だけでなく、母も弟たちも同じ意見でした。
次に見つけたのは…私が結婚する数年前の写真でした。
「これが…お父さんだよ」
智が言いました。
「そうだね…若いかもしれないけど…お父さんって言ったらこの顔だよね」
家族で見つけた写真と、船舶免許証用の写真。
どちらにするかは家族では決めていたものの…他の人にも聞いてみようか…と話がまとまったのです。
同じころ、遥希は蘭花や当麻と部屋の片づけや掃除を、ずっと一緒にしてくれていました。
普段は母ひとりで掃除している家なので、なかなか手が回らず行き届いていない…というのもおこがましい有様だったので、家族総出でとりあえず物置に運んで掃除機をかける…そんな感じでした。
でも、家主の母にとっては大事なものや必要なものは、私たちではわかりません。
なので、物置に運ぶだけで良いという話だったのですが、遥希はそれでは片付かない!と思ったのでしょう。
埃がついているから…
もう古くて使わないだろう
と自分の基準でゴミ袋に詰め込んでいたのです。
もちろん、お願いしたのはこちらの家族なので、母も
「これは確定申告で必要な書類だから触らないでね」
「これは穣のものだから、穣に片付けさせるから良いわよ」
と伝えていました。
でも、遥希は
「お義母さんはさっきから文句ばっかり!」
と不満に思ったのだと思います。