バランス・スコア・カードの浸透
EMEの小野です
A社さんは、大手食品メーカーの販社です。
A社さんの前社長B氏から、 バランス・スコア・カードの導入 のご相談を受けたのが、昨年の4月でした。
B氏は、大手食品メーカーの役員で、販社の社長を兼務していたのです。
B氏は、A社に赴任する数年前から、同じ販社のC社の社長をしていました。
B氏は、C社の社長当時、バランス・スコア・カード(以下BSC)を知り、早速、BSCの導入を支援している、公認会計士のD氏に導入支援を依頼したのです。
D氏も非常に熱心な方で、プロジェクトをリードしながら、BSCの導入を図ったのです。
導入後、1年目は、非常に成績も上がったようです。B氏は、その時点で、A社に移り、A社でもBSCの導入を図ろうとして、弊社にご依頼があったのです。
その時不思議に思ったのは、C社での成功体験があるのであれば、同じグループ会社に転勤で来られたのだから、D社に依頼するのが普通ではないのか、
そのように思って、最初にお会いしたときに聴くと、
B氏は、
「D社では、何かもう一つ足りない。食い足りない。そこで、ネットを検索していると、小野先生にたどり着いた」
と言われました(よくぞ、たどり着いてくれました)。
私は、
自社を客観的に分析することによって、皆さんの自然治癒力を最大限、活かしたBSCを創ります。
このような、方針をお伝えして、BSCの導入プロジェクトを支援することになったのです。
私は、徹底的に、「BSC導入の目的、自社の分析、あるべき姿の創造」にこだわりました。実際、他の企業さんでも、上記のあるべき姿の創造にかける時間は70%以上、BSC導入に携わる時間は30%未満です。
ここで、とんだハプニングがありました。プロジェクトチームが、自社のあるべき姿を抽出したところで、B社長が、またもや転勤になってしまったのです。
その後、複雑な事情があって、社長不在のまま、BSCの導入検討が進められたのです。
しかし、それが結果的に良かったのです。プロジェクトチームのまとまりが、ものすごく良くなりました。
そして、社長不在から、2ヵ月半、本当に安心して任せられるBSCが出来上がりました。
(その後、プロジェクトメンバーの一人が、社長を受け継ぐことになりました)
それから、2ヵ月後、新社長の就任後のバタバタが落ち着いた頃、A社を再度、フォローアップのために訪問しました。
そこで、新社長の口から出た言葉
「C社は、BSCを止めたらしいよ。業績も、一時の勢いがないらしい。
ウチは、新社長として受け継いで、一杯ゴタゴタがあったけど、プロジェクトのメンバーが、それぞれ活動をやっているよ。
みんなで、方向性を共有しているから、いちいち指示しなくても、私の知らないところで、キチンとやってくれているようだ。」
プロジェクトの運営中に、一度、C社のBSCを拝見しましたが、戦略と評価指標中心のBSCとなっていました。引き換え、A社のBSCは、目的と活動のBSCです。
BSCの導入に際しては、
戦略目標や評価指標も大事だが、
自社の振り返りを踏まえて、あるべき姿と活動項目の明確化が重要なのではないでしょうか
BSCは、仕組みでは動かない
BSCの導入は、意識・行動が変われば、主体的に動き出す。
コンサルタントは、自然治癒力を誘発する、漢方薬
のようなものでしょうか