夜勤から帰って来ると、夫(ER医, NY出身)は
その夜にあった面白い話を、私に
(それから、多分犬たちにも)
してからでないと、寝付けない
(一旦目を閉じると、5分で熟睡)

ホームレスの青年が真夜中過ぎ
ERへやって来た
サウス・カロライナの内陸にあるこのER
1年間にERに来る患者の数が
小さなこの町の10倍以上という変な場所
あそこは別の惑星の様な気がする、と夫
私もたま~のたまに、ここのERで
働くことがあるのだが、夫の言うことはよく分かる
その町ならではの気質というか、なんなのか
何だかよく分からないカルチャーがあるような
「彼になにか、食べる物あげてよ」と
夫がナースに頼むと
"I already gave him an Orange Nab."
オレンジ・ナブ?
「何、それ?オレンジナブって?」
やたら大きなヘタに葉っぱが付いた
まん丸いミカンが、何故か思い浮かぶ
nab(動詞):捕まえる、捉える、ひっつかむ
夫「今まで聞いたことなかったよ
ほら、ピーナッツ・バターが挟まったクラッカー、
オレンジ色のがあるじゃない?」
↑これ、うちの近くだと4ドル弱で売っている...
私たちが「ピーナッツバターが挟まった
オレンジ色のクラッカー」と呼んでいたものは
この辺りではオレンジ・ナブと呼ぶらしい
アレの何のどこが「ナブ」なのか?
ピーナッツバターを挟んだクラッカーを
初めに売り出したのは
ノースカロライナ州シャーロットのランス一家
家内工業で、奥方と娘さんがクラッカーに
ピーナッツバターを塗っていたとか
とにかく、これが地元で大ヒット
そこに目をつけたナビスコ(Nabisco)社
シカゴで始まり、現在ニュージャージーに
本社がある製菓会社だが
ノースカロライナに支店を作り
ピーナッツバターを塗ったクラッカーの製造開始
2つの会社が作るピーナッツバターサンド
パッケージ化された商品は、そのうち
ナビスコを縮めてナブと呼ばれるように
(ちなみに、ナビスコの名前は
National Biscuit Company から来ている)
現在生き残ったナブは、元祖ランス社の商品
でもライバル社、ナブの名前は生き残った
あの(言ちゃあ何だが毒々しい)オレンジ色は
チェダーチーズの色なんですって
(もちろん、着色料は入っている)

ナブの話をし終わった夫
満足したようで、コテンと熟睡