ピース・ウォールとガイドさん | That's where we are

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the Church of Broken Pieces
(アメリカ救急医の独り言と二人言)


北アイルランド・ベルファスト

その観光名所の一つ「ピース・ウォール」

 


名前は「平和の壁」なのだけれど

もともとは、敵対する人達をき引き離すために

建てられた「緩和」のための壁だった

 


だった、というと、全く過去のように聞こえる

 

1998年のベルファスト合意で、一応

アイルランドとイギリスは、和平を結び

カトリック教徒とプロテスタント教徒

全アイルランド統合支持者(ナショナリスト)と

イギリス残留支持者(ユニオニスト)

距離は狭まり、ある程度交わるようになった

 

でも

 

二級市民扱いされたカトリック系アイルランド人は

それを忘れることはないし

ナショナリストは、今も北アイルランドが

アイルランド共和国に融合され、島全てが

一つの国家になることを願ってやまない

 

北アイルランドの人口は、三分の2がプロテスタント

三分の1がカトリックだったのが

今年初めて、カトリックの方の数が多くなった

 

マイノリティの立場に立ったプロテスタントの

自分たちの立場はどうなる?という危惧もある

 

あちこちで、建物、車が爆破されたり

検問所を通ったりすることはなくなったけれど

まだ、終わったわけではないのだ

 

9年間にベルファストを訪れた際

義父の古い友人が、車で案内してくれた

義父の友人であるから、もちろんカトリック教徒

 

カトリック教徒が住むフォールス通りは

数か所止まって、説明してくれたのだが



プロテスタント側であるシャンキル通り(だったと思う)を

運転している時は、物凄くナーバスになっていて

完全素通り状態

 


「ジロジロ見ない方がいい」

とまで、言っていた

 

車で案内役を買って出て下さったのは

非常に有り難かった

(その時は、義母も子供も一緒だったし

小雨が降っていたし)

 

でも

私には、何がなんだかよく分からなかった

 

これは、私の癖なのだが

私の頭の中の地図にプロットされないと

観光が上手くできないのだ

(ERのシフト中でも、私の頭の中には地図があって

その地図の中に、患者の情報が入っている)

 

もう一回、ちゃんと見てみたい

これが、ベルファスト旅行を提案してきた

夫にお願いしたことだった

 


そのピース・ウォールを見に行くのに

一番、良い方法は何か?

 

信頼するホテルのコンシアージュに

尋ねると、タクシーでのツアーを勧められた

 

また、車で回るの?

前と同じやん、それじゃ

 

と思ったが

その前日、夫は足首を軽く捻ったらしく

私が気になっていた歩くツアー参加は無理

 

(ちょっと、渋々)ブラック・キャブ・ツアーへ

 

観光名所になっているピース・ウォールは

西ベルファストにある

フォールス通りとシャンキル通りの間の壁

 


ピース・ウォールと、その周辺にある壁に

書かれている壁画をタクシーで見て回り

北アイルランド紛争についての

説明を聞くツアー

 

勧められたツアー・ガイドさん

多分60代半ばか、後半くらいの男性

知識は物凄い豊富

 

ピース・ウォールには

北アイルランド紛争とか、戦争とか平和とか

そんな物に全く関係がないような

アート?落書き?なんなんだろ、コレ?

みたいなものまで描いてあって

その上に自分のメッセージを書いていく人もいる

(多分間違えて、ピース・サインの代わりに

メルセデス・ベンツのサインを書いている人もいた)

 


ガイドさん「一筆どうですか?」

ポケットから、サインペンを取り出した

 

まあ、なんと用意周到なびっくり

でも、いえ、結構です

遠慮させて頂きます



ピース・ウォールに沿って走るフォールス通り

そのフォールス通りとクロスする道の一つに

義父が生まれ育った家があって

「僕の父はXXに住んでいたんです」と

夫が言うと、ガイドさんはそこへ連れて行ってくれ

「誰が住んでいるか、見てみましょう」

(いいです、そんなっ、と断ったのに)

その家のドアベルを鳴らすという

大変、サービス精神旺盛

(現住人の方、申し訳ありませんでした)

 


なんだけど、いかんせん、凄いベルファスト訛り

そのうえ、物凄い早口

そして、知識を「段落」で覚えてるわ、この人

 

( 日本関係?とはわかるけれど
絶対、日本人作じゃないよな、コレ
英国人ストリートアーティストの作品
サンドラって、いったい誰???)

質問をすると、ちゃんと答えてはくれるのだけれど

「あれ?この文章、さっきと一緒じゃない?」

答えだけじゃなくて、答えに付随する前後の文章が

さっき聞いたのとまったく同じ

 

年号やら条約の名前やら、沢山憶えないといけなくて

ガイドブックか、Wikiだか、丸覚えしているのだと思う

それを切り貼りできず、丸ごとアウトプット

 

丸ごとを、早口のベルファスト訛りで

繰り返し繰り返し聞くものだから

 

つっ、疲れた...ガーン

耳も頭もキャパシティー超えた

 

 

 

 

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