現在(又は過去の)パートナーと
知り合った馴れ初めみたいなのは
色々なお話しがあるかと思います
学校の同級生とか
職場の同僚だとか
友人の紹介だとか
そんなパターンが多いのではないでしょか
うちの場合は、「紹介」に含まれるのか
私の職場へ見学へ来た夫と
なんとなく気が合ったのかどうだか
それから結婚するまでに
片手で数えるほども会っていないという
お互いよく知らない状態で結婚
それから21年経っていた、みたいな
最近、インタビューに来た医学生
私は「なぜ、医者になろうと思ったのか」
「なぜ、うちの研修プログラムに来たいのか」
「なぜ、救急医になりたいのか」みたいな
医学生の方も聞かれる準備をしている様な
質問は訊いても訊かれても面白くないので
医学生側からの質問がなければ
会話が普通にできる人かどうか
(願書はきちんと読み、下準備をしたうえで)
ブラインド・デートの様に(したことないけど)
世間話をする様にしています
その時、なにがきっかけだったのか
この学生さんの婚約者の話になりました
「彼女とはどうやって知り合ったの?」
ちょっと照れながら
でも、嬉しそうな顔をして
教えてくれた彼女と知り合ったきっかけ
「僕の研究は脳に関したもので
ショウジョウバエを使った実験をしていたんです」
ショウジョウバエ
あの、熟した果物にたかるハエです
あんなちっちゃなハエに
実験に使えるほどの脳があることが
まず、驚きなのですが
「僕のハエの一匹が逃げ出して
同じ研究室で研究をしていた彼女の
ウェスタン・ブロットに入っちゃったんですよ」
ウェスタン・ブロットとは
何やかんや色々混ざった液体から
特定のタンパク質を検出する方法です
もともとサザン(南側)という名前の人が
考えた方法がサザン・ブロットと呼ばれ
ノリの良い研究者たちがいたのでしょう
それから派生してできた次の方法には
ノーザン(北側)・ブロットと命名
その次の方法が発明されたのは
アメリカ西海岸にあるシアトルだったので
名前はウェスタン(西側)・ブロットに
(こういった真面目にふざけている様な
人達こそ天才だと思う)
ごめんなさい、僕のハエがお邪魔してしまって...
みたいなところから始まった会話
ショウジョウバエから始まった出会い
「ね、ね、これってすっごく可愛くない?
こんなキュートなラブストーリー
久々に聞いたわ!」
一時期、生化学とか分子遺伝学とか
ものすごく好きで、その方面の研究者に
なりたいと思ったこともあったので
「ハエとウエスタン・ブロットが取り持った仲」
なんて話にはイチコロです
昔お世話になった研究室の先生
学生時代の友人が改良した大腸菌に
恋人の名前を付けた、とおっしゃっていました
恋人、喜んだかな...