転んであちこちが痛くて動けない
入院させろと凄む患者
転んだのは数日前
結構、派手なこけ方をしたようで
痛いのはよく分かる
でも、この数日間歩き回っていたわけで
痛いからだけじゃ入院の理由にはならないの
「それじゃ、仕方がないな」
ああ、やっと諦めてくれた、と思ったら
「痛みを紛らわすために、どこかで
ストリートドラッグでも買うしかないな」
そう来るか
「良心の呵責」作戦に出た患者
だが、その手は既に経験済み
それでコロッと「はい、入院させましょう」と
変わるほど私はルーキーではないのだよ
「それはお勧めできませんね
まあ、どうするか決めるのはあなたですけれど」
出来るだけ冷静に
そしてニッコリと笑って返す
予想と違った答えだったのか
患者、気まずそうに横を向くと小声で
「ど、どっちにしたって
ドラッグなんか買う金もないけどな
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まあ、その後も散々嫌味を言われましたが
スタスタとさっそうとした足取りで
帰って行かれました
カルテへの記載
「退院時の状態:Improved(改善)」

