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the Church of Broken Pieces
(アメリカ救急医の独り言と二人言)

期待に反して忙しい夜でした。収穫感謝祭の夜、皆おうちでくつろいでいるはずなのに。地元のフットボール・チームのゲームも夕方からあったので、皆TVに釘付けでERはきっとガラガラ….

とんでもない。ひっきりなしに患者が来る来る。でも、楽しかったです。普段、12時間のシフトは嫌で嫌でたまらないけど、昨晩はとっても楽しかった! 研修医4名がとても良く動いてくれました。ナースもてきぱき動くベテランの人ぞろい。冗談を言いながらもチャッチャと仕事を進めていく。良いチームに恵まれると、忙しかろうが難しいケースが続こうが、このスタッフと仕事ができて良かった!と感謝の思いでいっぱいになります。

さて、「収穫感謝祭スペシャル。」

家族が集まり、団欒のひと時。でも、祭日ムードとアルコールのせいでちょっとタガが外れて、これまで表面化しなかった家族問題が浮き上がることは珍しくありません。

主訴:laceration

ディナーテーブルでの出来事。ヤムというサツマイモの口当たりをちょっとサラッとさせて色がオレンジのお芋があるのですが、これにマシュマロを乗せて焼いたcandied yamという料理は収穫感謝祭定番メニューで、うちでも作ります。甘いお芋+ブラウンシュガー+マシュマロですから、とっても甘い。私には甘すぎますが、好きな人は好きなんでしょうね。で、このヤム料理が喧嘩の原因。親戚の一人が「お前、それ取りすぎだ!」と言い出し、包丁で切りつけてきたそうです。

研修医は各患者のことをアテンディング(専門医、スーパバイザーですね)にプレゼンしますが、プレゼンを聞いている間、

「殺傷ごとに発展させるヤムって….すっごいおいしいんだろうなあ….

レシピ、頂きたいものです。

主訴:GSW

救急車で搬送される患者が出入りするドアは二重のガラス戸です。多分、ドアが開けっ放しになって外気が入り込むのを防ぐため二重なのでしょうか。で、外側のガラス戸の向こうに車がいきなり止まりました。扉の数センチ手前で。で、人が飛び出してきて手を振っている。

「何、アレ?」

「後ろに下がって!そんなに近いと開けられないから!」

「誰か、警備員を呼んで!」

治安が良くない所ですから、むやみにドアを開けると危険です。別の入り口から数人の警備員(<- フットボールの選手並みに体格が良い人たち揃い)が出て行き、車を取り囲みました。

「お腹を撃たれた!」

助手席のドアを開けると、半分ズリ落ちるように人がでて来ました。ストレッチャーに移して、外傷用の部屋へ運びます。お腹を撃たれた? 着ているTシャツの表面に血はついてないけど服を脱がせると、銃創が脇腹両側に。

腹部、胸部への銃創はそのままオペ室に行くことがほとんど。プロセスを迅速に進めるため、患者到着の時点で外傷外科医、オペ室ナース、血液バンク等の人たちが一気にERに集まるようにポケベルをならします。この患者も血圧が下がっているし、そのままオペ室行きに。

その他、押した押された、殴った殴られた、全部嫌になって薬物過剰摂取……

感謝の思いを捧げるはずの収穫感謝祭。美しく飾られたディナーテーブルの写真がフェイスブックやインスタグラムに次々とアップされる日。悲しいかな、普段抑制されている鬱憤が、爆発する日でもあります。

夜中12時半ごろ、ベッドにつく前の夫がERに電話をしてきました。

「じゃあ、お休み。Thank you for everything.

今ある状態に、いま持っている物、家族・友人に感謝。