先日、日本語の授業中に

 

ある生徒が自分と友だちとの間の

 

議論について話してくれた。

 

この二人の国籍は伏せておくが、

 

どちらもカナダに留学中のアジア人である。

 

生徒曰く、

 

二人は一緒に仲良くランチに行ったのだが、

 

そこの料理が驚くほど不味かった。

 

(※あくまで生徒主観だが)

不味すぎて完食が困難なレベルだった。

 


ところがこのレストランは

 

家族経営のこじんまりとした店で

 

その時店には店主と生徒達しかおらず、

 

店主との会話に花が咲きまくった結果

 

止める間もなく

 

サイドとデザートがサービスで出て来た。

 

悲しいことにこれも生徒の口に合わず、

 

ここに難攻不落のランチが築かれた訳である。

 

 

 

なんという詰みゲー・・・。

 

 

 

うちの生徒はこれの攻略を早々に諦め、

 

結局大部分を残した。

 

ただ、本人曰く罪悪感で死にそうだったので、

 

「美味しかったけど、少食だから・・・」

 

と一応言い訳はしてきたらしい。

 

まぁ生徒は非常に小柄な女性なので、

 

恐らく店主はこれを信じたと思われる。

 

一方生徒の友人は店主に

 

「持ち帰りたいから全て容器に入れてほしい」

 

と伝えた。

 

この後二人はサイクリングに行く予定だったので、

 

この大量の食べ残しを一体どうするつもりなのか

 

と生徒は内心訝しんだが、

 

特にそれを指摘することなく

 

一緒にお会計をして店をでた。

 

店を出て少し歩いたところにあるごみ箱に

 

友人は食べ残しを全て捨てた。

 

 

 

おいおい、挙動不審か。

 

 

 

と思った生徒がすぐに何事か尋ねると、

 

友人は

 

「持って帰れないし、持って帰っても食べないから」

 

としれっと答えた。

 

じゃあなぜわざわざ持ち帰ったのかと言うと

 

「あんなに残したら失礼だと思ったから」

 

である。

 

一方でうちの生徒は

 

「容器とそこに詰める労力を無駄にしただけ」

 

と主張し、

 

両者の議論は平行線となった。

 

 

先生ならどうしますか?

 

と問われ、私は少し返答に困った。

 

まぁここでの優等生解答は多分

 

「全て残さずに食べる」

 

なのだろうが、

 

大量の口に合わない料理を前に

 

自分ならどうするだろうか。

 

まあ少なくとも

 

▶ 外のゴミ箱に捨てる

 

という選択肢は選ばないと思うが、

 

大量に残して帰ったら失礼

 

という考えには共感はできる。

 

 

いやそれでもごみ箱には捨てんがな。

 

 

とはいえ

 

私はカナダの事情には明るくないが、

 

スコットランドでは

 

ほとんど手つかずの料理でも

 

普通の顔で残したり捨てる人が実に多い。

 

残り物 = ゴミ

 

という文化圏で育った人間にとっては

 

こんな議論はするだけ時間の無駄だろうから、

 

これが議論のネタになる間は

 

まだ救いようがあるような気もする私である。

 

 

 

+++++++++++++++++++

 

 

 

3世紀くらい前に書いた英国の食品廃棄事情↓